今回は「重合」について勉強していこう。重合という言葉は聞いたことがあるでしょうか?重合は化学反応の分類のひとつで、身近なところにも広く用いられている手法です。

そんな重合について、重合を扱う研究室の一員である化学系学生ライターずんだもちと一緒に解説していきます。

ライター/ずんだもち

化学系の研究室で日々研究を重ねる理系学生。1日の半分以上の時間を化学実験に使う化学徒の鑑。受験生のときは化学が得意でなかったからこそ、化学を苦手とする人の立場に立ってわかりやすく解説する。

1.ポリマーとは?

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今回は重合について解説していきます。重合とは化学反応の分類のひとつで、ポリマーをつくるために必須の反応です。まずはポリマーについて簡単に見ていきましょう。

1-1.繰り返し単位

まずはポリマーという言葉について簡単に解説していきます。重合はポリマーを作るための反応ですので、ここからしっかり押さえていきましょう。ポリマーとは、「繰り返し単位を持った分子量の大きい化合物」のことを指します。さっそくですが、具体例を見ていきましょう。

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上の画像の化合物はナイロン6で、繊維に用いられる代表的なポリマーです。この化合物の構造式をよく見ると、6つの炭素と1つの窒素の部分で周期性を持っていることが分かると思います。これがポリマーの1つ目の特徴です。この特徴から、ポリマーの構造式は下の画像のように省略して書かれます。構造式の括弧の右下のnは繰り返し単位の数です。

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1-2.繰り返し単位の数

ポリマーのもうひとつの特徴はこのnに秘密があります。このnには100,1000,10000などのかなり大きい数が入り、これがポリマーの名前の由来です。

ポリマー(polymer)のポリ(poly)とは「たくさんの」という意味があり、これは繰り返し単位が膨大な数であることに由来しているのですね。そのため、ポリマーの分子量も膨大な数になることが予想できますね。

そして、このnにはもうひとつ特徴があります。このnは物質ごとに決まった値ではありません。普通の化合物では名前に対して構造式がひとつに決まりますが、ポリマーはそうではないのです。同じナイロンでもこのnには大きな幅があり、短い分子から長い分子までいろいろな長さの分子が混ざっています。分子量や繰り返し単位の数があまりにも多いと、分子の長さが多少変わっても分子の性質にはほとんど影響しないのですね。

2.重合とは?

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ポリマーについての理解が進んだところで、次は重合について勉強していきましょう。

繰り返し単位に相当する化合物(これはポリマーに対してモノマーと言います)をフラスコに加えて加熱したりすると、分子同士で次々と反応が進んでいき、徐々に分子量が多くなっていきます。このような反応の総称が重合です

先ほど、ひとつの物質でもnの値がばらばらであると説明しましたが、その理由はここにあります。ポリマーは重合によって合成されるので、分子量を制御することは非常に難しいのです。あるひとつのモノマーが他のどのポリマーと反応するのかを制御するなんて、直感的に考えただけでも難しそうですね。

3.重合の種類

3.重合の種類

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重合は上の表のように分類することができます。数も多く、聞いたことのない言葉も多いと思いますが、この中でも有名なものをいくつか見ていきましょう。

\次のページで「3-1.逐次重合」を解説!/

3-1.逐次重合

逐次重合は重合反応の大きな分類です。逐次重合とは、ヒドロキシ基やアミノ基などの官能基を持ったモノマー同士が反応していき、徐々に長いポリマーになっていく重合で、先ほど例に出したナイロン6の重合も逐次重合になります。

ナイロン6のモノマーは両端にカルボキシ基とアミノ基を持っているので、これらは副生成物として水を生成しながら何度も縮合を繰り返し、ポリマーへと変化していくのです。

逐次重合はさらに重縮合と重不付加に分類されます。重縮合は2分子が反応する際に副生成物を出す重合のことです。つまり、ナイロン6の重合も重付加になります。重付加で生成する高分子は、生成する副生成物を系中から除くことで平衡を生成物側に移動させることがポイントです。これに対して、重付加は副生成物を出さない重合のことになります。

3-2.連鎖重合

連鎖重合は、逐次重合とはまた違う機構で進む重合です。逐次重合のときは、モノマーはそれ自身が反応を開始し、時間が経つにつれて分子量を増していきました。これに対して連鎖重合は、モノマーだけでは反応を開始することができません。モノマーの中に少量の「重合開始剤」というものを加えるとこれらが一部のモノマーと反応し、このモノマーから重合が進んでいきます。

先ほど紹介した表を見ると、連鎖重合はさらに「ラジカル重合」「アニオン重合」「カチオン重合」「配位重合」に分類されることが分かりますね。実はこの「ラジカル」「アニオン」「カチオン」は重合開始剤の種類です

ラジカル性の重合開始剤(ラジカルを持っている重合開始剤)はまずモノマーと結合すると同時にラジカルを渡し、さらにそのラジカル部位が次のモノマーと反応し、といった具合に重合が進んでいきます。これはアニオン重合やカチオン重合でも同様です。

3-3.その他の重合

ここまで色々な重合の種類を紹介してきました。ここからは参考程度に、どのような重合があるのかを簡単に紹介し、世界を広げてみたいと思います。

重合はここまで紹介してきたものでほぼすべてになりますが、実は今までは1種類のモノマーの反応しか扱っていないことに気づいたでしょうか。重合は1種類のモノマーで行う必要はなく、2種類以上のモノマーを混ぜて重合を行う「共重合」という重合もあります。

共重合は新しい重合ではなく、重合の仕組み自体は今まで紹介してきたものであることに注意してください。2種類のモノマーがアニオン重合によって重合していくようなイメージですね。

共重合にも複数の重合の仕方があります。2種類のモノマーでどのようなポリマーが作れるか考えてみてください。モノマーAとモノマーBを共重合したとすると、-AAAAAAAAABBBBBBBBBB-のようにポリマー鎖の前と後ろにモノマーを分けて重合することもできますし、-ABABABABABABABABABAB-のようにモノマーを交互に入れることもできます。ポリマーには枝分かれも存在すると説明しましたから、もっと複雑な配置もとることができますね。

また、モノマーの比は必ずしも1:1である必要がない点も考えると、重合の自由度はかなり高いことが分かってもらえると思います

重合の可能性は無限大

今回は重合についてかなり広く解説しました。重合反応の可能性の大きさは理解していただけたでしょうか?高校化学ではあまり取り上げられない重合ですが、出会ったポリマーはどの重合方法でできているのかなど、ぜひ考えてみてください。

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化学物質の状態・構成・変化理科

重合ってどんな反応?種類や特徴も化学系学生ライターが簡単にわかりやすく解説

3-1.逐次重合

逐次重合は重合反応の大きな分類です。逐次重合とは、ヒドロキシ基やアミノ基などの官能基を持ったモノマー同士が反応していき、徐々に長いポリマーになっていく重合で、先ほど例に出したナイロン6の重合も逐次重合になります。

ナイロン6のモノマーは両端にカルボキシ基とアミノ基を持っているので、これらは副生成物として水を生成しながら何度も縮合を繰り返し、ポリマーへと変化していくのです。

逐次重合はさらに重縮合と重不付加に分類されます。重縮合は2分子が反応する際に副生成物を出す重合のことです。つまり、ナイロン6の重合も重付加になります。重付加で生成する高分子は、生成する副生成物を系中から除くことで平衡を生成物側に移動させることがポイントです。これに対して、重付加は副生成物を出さない重合のことになります。

3-2.連鎖重合

連鎖重合は、逐次重合とはまた違う機構で進む重合です。逐次重合のときは、モノマーはそれ自身が反応を開始し、時間が経つにつれて分子量を増していきました。これに対して連鎖重合は、モノマーだけでは反応を開始することができません。モノマーの中に少量の「重合開始剤」というものを加えるとこれらが一部のモノマーと反応し、このモノマーから重合が進んでいきます。

先ほど紹介した表を見ると、連鎖重合はさらに「ラジカル重合」「アニオン重合」「カチオン重合」「配位重合」に分類されることが分かりますね。実はこの「ラジカル」「アニオン」「カチオン」は重合開始剤の種類です

ラジカル性の重合開始剤(ラジカルを持っている重合開始剤)はまずモノマーと結合すると同時にラジカルを渡し、さらにそのラジカル部位が次のモノマーと反応し、といった具合に重合が進んでいきます。これはアニオン重合やカチオン重合でも同様です。

3-3.その他の重合

ここまで色々な重合の種類を紹介してきました。ここからは参考程度に、どのような重合があるのかを簡単に紹介し、世界を広げてみたいと思います。

重合はここまで紹介してきたものでほぼすべてになりますが、実は今までは1種類のモノマーの反応しか扱っていないことに気づいたでしょうか。重合は1種類のモノマーで行う必要はなく、2種類以上のモノマーを混ぜて重合を行う「共重合」という重合もあります。

共重合は新しい重合ではなく、重合の仕組み自体は今まで紹介してきたものであることに注意してください。2種類のモノマーがアニオン重合によって重合していくようなイメージですね。

共重合にも複数の重合の仕方があります。2種類のモノマーでどのようなポリマーが作れるか考えてみてください。モノマーAとモノマーBを共重合したとすると、-AAAAAAAAABBBBBBBBBB-のようにポリマー鎖の前と後ろにモノマーを分けて重合することもできますし、-ABABABABABABABABABAB-のようにモノマーを交互に入れることもできます。ポリマーには枝分かれも存在すると説明しましたから、もっと複雑な配置もとることができますね。

また、モノマーの比は必ずしも1:1である必要がない点も考えると、重合の自由度はかなり高いことが分かってもらえると思います

重合の可能性は無限大

今回は重合についてかなり広く解説しました。重合反応の可能性の大きさは理解していただけたでしょうか?高校化学ではあまり取り上げられない重合ですが、出会ったポリマーはどの重合方法でできているのかなど、ぜひ考えてみてください。

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