化学物質の状態・構成・変化理科

重合ってどんな反応?種類や特徴も化学系学生ライターが簡単にわかりやすく解説

3-1.逐次重合

逐次重合は重合反応の大きな分類です。逐次重合とは、ヒドロキシ基やアミノ基などの官能基を持ったモノマー同士が反応していき、徐々に長いポリマーになっていく重合で、先ほど例に出したナイロン6の重合も逐次重合になります。

ナイロン6のモノマーは両端にカルボキシ基とアミノ基を持っているので、これらは副生成物として水を生成しながら何度も縮合を繰り返し、ポリマーへと変化していくのです。

逐次重合はさらに重縮合と重不付加に分類されます。重縮合は2分子が反応する際に副生成物を出す重合のことです。つまり、ナイロン6の重合も重付加になります。重付加で生成する高分子は、生成する副生成物を系中から除くことで平衡を生成物側に移動させることがポイントです。これに対して、重付加は副生成物を出さない重合のことになります。

3-2.連鎖重合

連鎖重合は、逐次重合とはまた違う機構で進む重合です。逐次重合のときは、モノマーはそれ自身が反応を開始し、時間が経つにつれて分子量を増していきました。これに対して連鎖重合は、モノマーだけでは反応を開始することができません。モノマーの中に少量の「重合開始剤」というものを加えるとこれらが一部のモノマーと反応し、このモノマーから重合が進んでいきます。

先ほど紹介した表を見ると、連鎖重合はさらに「ラジカル重合」「アニオン重合」「カチオン重合」「配位重合」に分類されることが分かりますね。実はこの「ラジカル」「アニオン」「カチオン」は重合開始剤の種類です

ラジカル性の重合開始剤(ラジカルを持っている重合開始剤)はまずモノマーと結合すると同時にラジカルを渡し、さらにそのラジカル部位が次のモノマーと反応し、といった具合に重合が進んでいきます。これはアニオン重合やカチオン重合でも同様です。

3-3.その他の重合

ここまで色々な重合の種類を紹介してきました。ここからは参考程度に、どのような重合があるのかを簡単に紹介し、世界を広げてみたいと思います。

重合はここまで紹介してきたものでほぼすべてになりますが、実は今までは1種類のモノマーの反応しか扱っていないことに気づいたでしょうか。重合は1種類のモノマーで行う必要はなく、2種類以上のモノマーを混ぜて重合を行う「共重合」という重合もあります。

共重合は新しい重合ではなく、重合の仕組み自体は今まで紹介してきたものであることに注意してください。2種類のモノマーがアニオン重合によって重合していくようなイメージですね。

共重合にも複数の重合の仕方があります。2種類のモノマーでどのようなポリマーが作れるか考えてみてください。モノマーAとモノマーBを共重合したとすると、-AAAAAAAAABBBBBBBBBB-のようにポリマー鎖の前と後ろにモノマーを分けて重合することもできますし、-ABABABABABABABABABAB-のようにモノマーを交互に入れることもできます。ポリマーには枝分かれも存在すると説明しましたから、もっと複雑な配置もとることができますね。

また、モノマーの比は必ずしも1:1である必要がない点も考えると、重合の自由度はかなり高いことが分かってもらえると思います

重合の可能性は無限大

今回は重合についてかなり広く解説しました。重合反応の可能性の大きさは理解していただけたでしょうか?高校化学ではあまり取り上げられない重合ですが、出会ったポリマーはどの重合方法でできているのかなど、ぜひ考えてみてください。

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