
重合ってどんな反応?その特徴を化学系学生ライターがわかりやすく解説

重合という言葉は聞いたことがあるだろうか?
重合は化学反応の分類のひとつで、身近なところにも広く用いられている手法だ。
そんな重合について、重合を扱う研究室の一員である化学系学生ライターずんだもちと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ずんだもち
化学系の研究室で日々研究を重ねる理系学生。1日の半分以上の時間を化学実験に使う化学徒の鑑。受験生のときは化学が得意でなかったからこそ、化学を苦手とする人の立場に立ってわかりやすく解説する。
1.ポリマーとは?

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今回は重合について解説していきます。
重合とは化学反応の分類のひとつで、ポリマーをつくるために必須の反応です。まずはポリマーについて簡単に見ていきましょう。
1-1.繰り返し単位
まずはポリマーという言葉について簡単に解説していきます。重合はポリマーを作るための反応ですので、ここからしっかり抑えていきましょう。
ポリマーとは、「繰り返し単位を持った分子量の大きい化合物」のことを指します。さっそくですが、具体例を見ていきましょう。

image by Study-Z編集部
上の画像の化合物はナイロン6で、繊維に用いられる代表的なポリマーです。この化合物の構造式をよく見ると、6つの炭素と1つの窒素の部分で周期性を持っていることが分かると思います。これがポリマーの1つ目の特徴です。
この特徴から、ポリマーの構造式は下の画像のように省略して書かれます。構造式の括弧の右下のnは繰り返し単位の数です。

image by Study-Z編集部
1-2.繰り返し単位の数
ポリマーのもうひとつの特徴はこのnに秘密があります。このnには100,1000,10000などのかなり大きい数が入り、これがポリマーの名前の由来です。ポリマー(polymer)のポリ(poly)とは「たくさんの」という意味があり、これは繰り返し単位が膨大な数であることに由来しているのですね。そのため、ポリマーの分子量も膨大な数になることが予想できますね。
そして、このnにはもうひとつ特徴があります。このnは物質ごとに決まった値ではありません。普通の化合物では名前に対して構造式がひとつに決まりますが、ポリマーはそうではないのです。同じナイロンでもこのnには大きな幅があり、短い分子から長い分子までいろいろな長さの分子が混ざっています。分子量や繰り返し単位の数があまりにも多いと、分子の長さが多少変わっても分子の性質にはほとんど影響しないのですね。
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