身の回りに当たり前のように見かける「プラスチック」。実は2種類あるって知ってたか?

プラスチックを加熱したらどうなるか?柔らかくなりそうな気がしますが、そうでもないみたいです。固まったらそれっきり。温めてても溶けだしたり、柔らかくなったりすることがない、そんなプラスチックがあるのです。それが「熱硬化性樹脂」。名の通り熱を与えたら「硬化」する樹脂。

仕事で熱硬化性樹脂を使ってた経験のあるライターR175と解説してくぞ。

ライター/R175

理系大学卒で、前職では樹脂を使って電池部品の成形を行うなど、仕事で理科で習う現象に触れ合うことが多かった。その経験を活かし、理科で習う内容を身近な現象と結び付け分かりやすく解説する。

1.樹脂ってなに?

image by iStockphoto

樹脂とは、元々は木の幹から出てるドロっとした蜜のような物体(天然樹脂)を指していました。

今ではもっぱらプラスチックを指すことが多いです。

樹脂の定義
水に溶けない、揮発しない(気体になって飛んでいかない)有機物。

ちょっと難しいですが、木の蜜(天然樹脂)もしくはプラスチック(合成樹脂)をイメージしておけば問題ないでしょう。

木の蜜とプラスチックは全然似てませんが、「水に溶けない揮発しない有機物」という定義に当てはまっているため、どちらも樹脂。

樹脂の分類は「天然」、「合成」という分け方だけじゃないです。

加熱した時に柔らかくなるか硬くなるかという分類もあります。

1-1.熱可塑性樹脂

1-1.熱可塑性樹脂

image by Study-Z編集部

柔らかくなる方の樹脂は「熱可塑性樹脂」と呼ばれます。熱可塑性樹脂は例えばコップやら櫛、容器など日常生活色々な場面で登場。これらは加熱して柔らかく溶けた状態で型に流し込んで好きな形にしてから、冷やしてその形をキープして固めるもの。イラストのようなイメージですね。

熱可塑性樹脂は熱い物に触れると、ぐにゃぐにゃになって変形してしまいます。

プラスチックの容器をうっかりIHコンロの上に置きっぱなしにすると変形したり溶けたりしたことありませんか。熱可塑性樹脂が加熱されて柔らかくなっている現象。

上記、筆者はやらかしたことあります。IHの上にタッパが溶けてドロっと糸を引いてました。合成樹脂は長い長い高分子で出来ているのだなと実感。しつつも慌てて溶けた樹脂を拭き取ろうとしたら、今度は樹脂が溶けて固まってしまい取れませんでした。散々ですね。

(因みに、プラスチックのガスは有害なためあまりやらない方がいいですね、気をつけましょう。)

1-2.熱硬化性樹脂

さてもう一方、硬くなっちゃう方の樹脂が今回解説していく「熱硬化性樹脂」。熱硬化性樹脂は冷やしてからもう一度温めてもドロッと柔らかくなることはありません。標本や模型などを透明なプラスチックの中に埋めて固めているのを見かけますよね。模型を埋めている透明なプラスチックこそが「熱硬化性樹脂」。

なぜ加熱したにも関わらず固まってしまうのでしょうか?普通逆ですよね?

鉄やガラスなんかも加熱したらドロっと、柔らかくなります。それは分子の運動が激しくなると、全体的に「ざわざわ動き」、じっと固まっている時より柔らかくなるため。

しかし、熱可塑性樹脂はその逆。分子がざわざわ動いた結果、カチカチに固まるのです。

\次のページで「2.熱硬化性樹脂」を解説!/

プラスチック=plasticは、英語では熱可塑性樹脂のみを差します。つまり「プラスチック」と聞いて思い浮かべる(ドロッと溶ける)方のみを指します。ただし、日本語は違います。プラスチック=樹脂と認識してOK。日本語では熱硬化性樹脂もプラスチックなのです。

2.熱硬化性樹脂

熱をかけると固まってしまう接着剤のような樹脂。標本を埋め込むのに使われている透明なプラスチックなどがその例。

ぱっと見の印象、ちょっと硬めのプラスチック、欠けやすそう。けれどガラス程ではない。

さて、いよいよ次項では、なぜ硬くなってしまうか?を見ていきます。

3.熱硬化性樹脂を加熱すると

3.熱硬化性樹脂を加熱すると

image by Study-Z編集部

まずは、熱硬化性樹脂の構造を見てみましょう。絵を簡単にするため、CやHといった元素記号は省略。さらに、分子1つを丸1つで表記。丸の中にはC?H?なる分子式、もしくはベンゼン環やらが書かれた構造式が入ると思ってください。

熱硬化性樹脂の分子は周りの分子と結合する用の電子(腕)を持ち合わせています。

さて、これを加熱したらどうなるのでしょうか?加熱したら、分子運動が激しくなるので流動性は上がりそうですね(ドロッとしますね)。

実は真逆で固まってしまいます。理由は樹脂同士が結合してしまうから。上にも下にも前にも後ろにも皆つながってしまうもの。イラストの真ん中、右が加熱後のイメージです。

一旦結合すると、その結合を切るためには燃やし尽くす勢いで加熱が必要。少々温めたくらいでは結合は離れません。加熱して柔らかくするのは不可能なのです。

常温ではバラバラに離れていた樹脂同士が、加熱がきっかけで運動が活発になり、勢い余って隣の分子と手を繋いで、離れられなくなっちゃうイメージ。

4.熱硬化性樹脂の役割

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固まってしまうと、もう元には戻らない。この性質は何かに似てませんか?そう、接着剤です。

何かと何かをくっつけたい。けど、最初からベトベトくっつくのは困る。何かのきっかけを与えて好きなタイミングで接着さたい。そんな時に役立つのが熱硬化性樹脂。

例えば、粉で形を作って固めたい。砂団子をガチで作ろうとしているものと思って下さい。普通に接着剤をつけちゃうとすぐ固まってしまうため、好きな形状を作ってる暇がない。そんな時、熱硬化樹脂を使えば、形状を作ってる間は大人しくしといてもらって、形状が出来たら熱を与えて、接着剤としての役割を発揮してもらいます。次項では実際の使用例を見ていきましょう。

5.熱硬化樹脂の使用例(セラミックス作り)

 

熱硬化性樹脂はタイルのような、いわゆるセラミックスの形を作る時すごく役に立ちます。セラミックスは身近な例だと、タイルやお茶碗。機械部品に使われることも多いです。

セラミックスのいいところは熱に強かったり、酸やアルカリに侵されにくい、錆びにくいこと。陶器のお茶碗なら電子レンジにかけて高温になっても壊れませんね。あと、濡れっぱなしで放置しても錆びません。


一方、短所は、割れやすいところ。割れにくくするためには、ずばり丈夫に作ってやることが重要です。

\次のページで「5-1.丈夫に作るには」を解説!/

5-1.丈夫に作るには

5-1.丈夫に作るには

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どうすれば丈夫に作れるのか?実はセラミックスを丈夫に作るのに熱硬化性樹脂が一躍買っています。

セラミックスの原料は元々は粉。砂や粘土のようなイメージ。粉をぎゅうぎゅうに固めて、高温にさらし、なるべく粉同士を結合させることで丈夫なセラミックスを作ります。


セラミックス原料紛は高温にさらしたからと言って、金属のようにどろどろ溶けてくれるわけではありません。近くにある粉同士が繋がるのみです。粉同士の結合を多くしたければ、粉同士を物理的に近づけるしかありません。どうやって近づけるのか?くっつけるといえば接着剤。
しかし、瞬間で接着されてしまうとそれはそれで困ります。粉をぎゅうぎゅうに押し固める間は待ってもらわないといけません。「もういいよ」と言ったら固まってくれる。接着剤。それが熱硬化性樹脂。
熱硬化性樹脂は、熱をかけたら固まってくれます。つまり、セラミックスをぎゅうぎゅうに固めている間は待ってもらって、固め終わったら、熱をかけて熱硬化樹脂に固まってもらいます。粉同士がガチガチに近づいた状態でキープ。さらに高温にさらし、セラミックス原料の熱運動を激しくして隣近所同士の粉と結合してもらいます。

好きな時に固められる接着剤

熱可塑性樹脂は、熱をかけると周りの分子同士で結合してしまうもの。

そのせいでガチガチに固まります。

熱をかけたら接着剤としての機能を発現。

好きなタイミングで接着できます。

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化学

固まる性質を持つプラスチック「熱硬化性樹脂」を理系ライターがわかりやすく解説

身の回りに当たり前のように見かける「プラスチック」。実は2種類あるって知ってたか?

プラスチックを加熱したらどうなるか?柔らかくなりそうな気がしますが、そうでもないみたいです。固まったらそれっきり。温めてても溶けだしたり、柔らかくなったりすることがない、そんなプラスチックがあるのです。それが「熱硬化性樹脂」。名の通り熱を与えたら「硬化」する樹脂。

仕事で熱硬化性樹脂を使ってた経験のあるライターR175と解説してくぞ。

ライター/R175

理系大学卒で、前職では樹脂を使って電池部品の成形を行うなど、仕事で理科で習う現象に触れ合うことが多かった。その経験を活かし、理科で習う内容を身近な現象と結び付け分かりやすく解説する。

1.樹脂ってなに?

image by iStockphoto

樹脂とは、元々は木の幹から出てるドロっとした蜜のような物体(天然樹脂)を指していました。

今ではもっぱらプラスチックを指すことが多いです。

樹脂の定義
水に溶けない、揮発しない(気体になって飛んでいかない)有機物。

ちょっと難しいですが、木の蜜(天然樹脂)もしくはプラスチック(合成樹脂)をイメージしておけば問題ないでしょう。

木の蜜とプラスチックは全然似てませんが、「水に溶けない揮発しない有機物」という定義に当てはまっているため、どちらも樹脂。

樹脂の分類は「天然」、「合成」という分け方だけじゃないです。

加熱した時に柔らかくなるか硬くなるかという分類もあります。

1-1.熱可塑性樹脂

1-1.熱可塑性樹脂

image by Study-Z編集部

柔らかくなる方の樹脂は「熱可塑性樹脂」と呼ばれます。熱可塑性樹脂は例えばコップやら櫛、容器など日常生活色々な場面で登場。これらは加熱して柔らかく溶けた状態で型に流し込んで好きな形にしてから、冷やしてその形をキープして固めるもの。イラストのようなイメージですね。

熱可塑性樹脂は熱い物に触れると、ぐにゃぐにゃになって変形してしまいます。

プラスチックの容器をうっかりIHコンロの上に置きっぱなしにすると変形したり溶けたりしたことありませんか。熱可塑性樹脂が加熱されて柔らかくなっている現象。

上記、筆者はやらかしたことあります。IHの上にタッパが溶けてドロっと糸を引いてました。合成樹脂は長い長い高分子で出来ているのだなと実感。しつつも慌てて溶けた樹脂を拭き取ろうとしたら、今度は樹脂が溶けて固まってしまい取れませんでした。散々ですね。

(因みに、プラスチックのガスは有害なためあまりやらない方がいいですね、気をつけましょう。)

1-2.熱硬化性樹脂

さてもう一方、硬くなっちゃう方の樹脂が今回解説していく「熱硬化性樹脂」。熱硬化性樹脂は冷やしてからもう一度温めてもドロッと柔らかくなることはありません。標本や模型などを透明なプラスチックの中に埋めて固めているのを見かけますよね。模型を埋めている透明なプラスチックこそが「熱硬化性樹脂」。

なぜ加熱したにも関わらず固まってしまうのでしょうか?普通逆ですよね?

鉄やガラスなんかも加熱したらドロっと、柔らかくなります。それは分子の運動が激しくなると、全体的に「ざわざわ動き」、じっと固まっている時より柔らかくなるため。

しかし、熱可塑性樹脂はその逆。分子がざわざわ動いた結果、カチカチに固まるのです。

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