今日は電池についてです。

電池の種類ごとに電池の仕組みをしっかり整理できているか?電池は身の回りにあるものですが、電池の仕組みをしっかりと整理できている人はそう多くないでしょう。

今日は電池の種類と電池の中で起こっている化学反応について化学に詳しいライターどみにおんと一緒に解説していきます。

ライター/eastflower

電池に興味があり、高校時代に電池について詳しく勉強した経験を持つ現役大学生。

身近にある電池

image by iStockphoto

みなさんは電池を普段からよく使っていると思いますが、電池の仕組みをしっかり理解していますか?

また、電池には様々な種類があるんですね。マンガン電池やアルカリ電池、鉛蓄電池なども聞いたことあるでしょう。電池の仕組みをしっかり理解すれば、どうしていろんな種類の電池があるのかがわかるようになるので、一緒に勉強していきましょう。

そもそも化学反応って何?

物質が反応して、元の物質と異なる種類の物質が生成するという変化のことを指します。

電池の中で起きていることを簡潔に説明すると、化学反応の過程で電子を取り出しているんです。その電子の取り方が異なれば電池の種類も異なるということ。今日はその種類をそれぞれ詳しく解説していきます!

電池に関する基礎知識について

電池に関する基礎知識について

image by Study-Z編集部

イオン化傾向の異なる金属を電解質に浸すと電池になり、その金属を電極というんですね。また、

イオン化傾向が大きい方が負極

イオン化傾向が小さい方が正極

となります。イメージは上の図のような感じですね。

正極活物質というのは、電子を受け取る物質

負極活物質というのは、電子を与える物質のことで、

電池で起きている化学反応は、酸化還元反応なんですね!

この基礎知識を頭に入れた上で一緒に勉強していきましょう。

電池の種類について

電池の種類は大きく分けると、一次電池、二次電池、燃料電池の3種類。

一次電池は化学反応によって電子を取り出しますが、逆方向の反応が起きないため、放電しきると再利用できないのです。

二次電池は一次電池とは異なり、充電することで電子を取り出す時に起きる化学反応と逆方向の反応が起き、放電しても充電によって再利用できる電池のことを指すんですね。

燃料電池は水素や酸素など補充可能な物質から触媒を利用して、電気エネルギーを得る電池のことを指しますが、主に水素と酸素を使ったものが問題に出てくるので、それだけはしっかり理解しましょう。

\次のページで「一次電池の種類って?」を解説!/

一次電池の種類って?

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一次電池でよく問題に出てくるものは、ボルタ電池、ダニエル電池、マンガン電池ですね。

二次電池の場合は、鉛蓄電池を理解していれば問題ないでしょう。

また、先ほど述べたように、燃料電池は水素と酸素を利用したものがよく出てきます。

ボルタ電池について

ボルタ電池で起きている化学反応を見てみましょう。

ボルタ電池で使われている電極は亜鉛版と銅板で、電解質は希硫酸だから、イオン化傾向の大きい亜鉛の方が負極になり、小さい方の銅が正極になりますね。また、水素と亜鉛のイオン化傾向を比べると水素の方が小さいので、水素が発生します。

負極 Zn→Zn2++2e-

正極 2H++2e-→H2

という反応がそれぞれの電極で起きていて、正極と負極で起きている反応を合わせて考えてみると、

Zn+2H+→Zn2++H2

このH+は希硫酸由来だからボルタ電池の化学反応式は、

Zn+H2SO4→ZnSO4+H2

ダニエル電池について

ダニエル電池は正極の電極が亜鉛版で電解質が硫酸亜鉛水溶液であるのに対し、負極の電極が銅板で電解質が硫酸銅水溶液なんですね。ここで、電解質が混じり合わないように、イオンだけが行き来できる素焼き板を使って仕切られています。

ダニエル電池で起きている反応は

負極 Zn→Zn2++2e-

正極 Cu2++2e-→Cu

正極と負極で起きている反応を合わせると、

Zn+Cu2+→Zn2++Cu

Cu2+は硫酸銅由来なので、ダニエル電池で起きている化学反応式は

Zn+CuSO4→ZnSO4+Cu

マンガン電池について

マンガン電池は、みなさんが日常で一番使っているマンガン乾電池に利用されています。マンガン電池で起きている化学反応は少し複雑なので、活物質とだけ覚えておきましょう。

正極活物質 MnO2

負極活物質 Zn

マンガン電池についてこれ以上聞かれることは滅多にないので安心してください。

\次のページで「二次電池って?」を解説!/

二次電池って?

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二次電池とは、充電できる電池のことです。二次電池を使っている人も多いと思いますが、充電できる電池とできない電池の仕組みは何が違うのでしょうか?二次電池の代表的な鉛蓄電池を例にしてみていきましょう!

鉛蓄電池の放電について

鉛蓄電池は、正極の電極に酸化鉛板、負極の電極に鉛板が使われており、電解質は希硫酸となっています。鉛蓄電池が放電する時、正極と負極で起きている反応を見てみると、

正極 PbO2+4H++SO42-+2e-→PbSO4+2H2O

負極 Pb+SO42-→PbSO4+2e-

正極と負極の反応を合わせると

Pb+PbO2+2H2SO4→2PbSO4+2H2O

ここで、重要なのが、正極、負極で生成したPbSO4はイオンで存在するわけでなく、下に沈殿するわけでもなく、電極に析出しているということなんです。電極にくっついていることで、充電した時にPbSO4が電子を受け取って還元され、元の鉛や酸化鉛に戻るということなんですね。

鉛蓄電池の充電

充電する時は、当然充電する時とは逆の反応が起きるわけですね。

一応反応式を正極負極それぞれ書いておくと、

正極 PbSO4+2H2O→PbO2+4H++SO42

負極 PbSO4+2e-→Pb+SO42-

正極と負極の反応を合わせると、

2PbSO4+2H2O→Pb+PbO2+2H2SO4

充電できる電池が何回も充電と放電を繰り返していると、電極にくっついて析出している物質が少しずつ下に沈殿するなどして、充電しても完全に元には戻らないということが起きているんですね。

燃料電池について

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燃料電池には様々な種類がありますが、燃料電池車などにも利用されている水素と酸素を使った燃料電池がよく問題に出てきます。燃料電池は生成物が水と酸素だけなので、環境にいいんですね。

 

燃料電池の化学反応

燃料電池は触媒を使って、

正極 O2+4H++4e-→2H2O

負極 H2→2H++2e-

正極と負極の反応を合わせると、

O2+2H2→2H2O

となります。

電池の種類はたくさん!

電池は本当にたくさんの種類があって、一つ一つどのような仕組みになっているかを見るのはとても面白いですね!しかし、残念ながら全ては受験に出るわけがありません。だから、せめて今日紹介した電池だけは頭に入れていってもらえると嬉しいです!

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化学物質の状態・構成・変化理科

電池の中でどんな化学反応が起きているの?現役理系大学生ライターが詳しくわかりやすく解説

今日は電池についてです。

電池の種類ごとに電池の仕組みをしっかり整理できているか?電池は身の回りにあるものですが、電池の仕組みをしっかりと整理できている人はそう多くないでしょう。

今日は電池の種類と電池の中で起こっている化学反応について化学に詳しいライターどみにおんと一緒に解説していきます。

ライター/eastflower

電池に興味があり、高校時代に電池について詳しく勉強した経験を持つ現役大学生。

身近にある電池

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みなさんは電池を普段からよく使っていると思いますが、電池の仕組みをしっかり理解していますか?

また、電池には様々な種類があるんですね。マンガン電池やアルカリ電池、鉛蓄電池なども聞いたことあるでしょう。電池の仕組みをしっかり理解すれば、どうしていろんな種類の電池があるのかがわかるようになるので、一緒に勉強していきましょう。

そもそも化学反応って何?

物質が反応して、元の物質と異なる種類の物質が生成するという変化のことを指します。

電池の中で起きていることを簡潔に説明すると、化学反応の過程で電子を取り出しているんです。その電子の取り方が異なれば電池の種類も異なるということ。今日はその種類をそれぞれ詳しく解説していきます!

電池に関する基礎知識について

電池に関する基礎知識について

image by Study-Z編集部

イオン化傾向の異なる金属を電解質に浸すと電池になり、その金属を電極というんですね。また、

イオン化傾向が大きい方が負極

イオン化傾向が小さい方が正極

となります。イメージは上の図のような感じですね。

正極活物質というのは、電子を受け取る物質

負極活物質というのは、電子を与える物質のことで、

電池で起きている化学反応は、酸化還元反応なんですね!

この基礎知識を頭に入れた上で一緒に勉強していきましょう。

電池の種類について

電池の種類は大きく分けると、一次電池、二次電池、燃料電池の3種類。

一次電池は化学反応によって電子を取り出しますが、逆方向の反応が起きないため、放電しきると再利用できないのです。

二次電池は一次電池とは異なり、充電することで電子を取り出す時に起きる化学反応と逆方向の反応が起き、放電しても充電によって再利用できる電池のことを指すんですね。

燃料電池は水素や酸素など補充可能な物質から触媒を利用して、電気エネルギーを得る電池のことを指しますが、主に水素と酸素を使ったものが問題に出てくるので、それだけはしっかり理解しましょう。

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