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「スペイン継承戦争」はなぜ起こった?ハプスブルク家マニアが5分でわかりやすく解説!

1-4 女王になるかもしれなかった王女、マルガリータ

Las Meninas, by Diego Velázquez, from Prado in Google Earth.jpg
By ディエゴ・ベラスケス – The Prado in Google Earth: Home – 7th level of zoom, JPEG compression quality: Photoshop 8., パブリック・ドメイン, Link

ラス・メニーナスで知られる宮廷画家ベラスケス。彼はフェリペ4世に仕え、多くの王家の人物の肖像画を描いてきました。今作では、画面の中央に頬を膨らませ駄々をこねる愛くるしいマルガリータが描かれています。彼女が着ているドレスは、大人の女性が着るようなコルセットで胸を締め付けるドレス。当時の子ども服は大人のものを小さくした物を着せられていたため、幼児が着るにはかなり苦しいドレスでした。また画面右側の女性は、小人症の女性。当時のスペイン宮廷では多くの障がいを持った人々が慰み者として仕えていたのです。ちなみにマリア・テレサもフランスへ嫁いだ時に小人症のお供を連れてきていたそう。

ベラスケスのこの絵画では様々な解釈がされていますが、一説にはマルガリータ王女が将来のスペインの女王という意味合いが含まれていたそう。フェリペや宮廷の中では、もう子どもには恵まれないという諦めの雰囲気が漂っていました。そのためフェリペの後継者にはマルガリータがなるだろうと誰もが思っていました。

1-5 奇跡の子、カルロス誕生

そんなスペイン・ハプスブルク家に奇跡が起こりました。なんとマルガリータに弟カルロスが誕生。彼は奇跡の子と言われ、大いに祝福されました。カルロスの誕生によってマルガリータは15歳で、オーストリア・ハプスブルク家へ嫁ぐことに。(相変わらず叔父と姪による結婚)しかしこの奇跡の子、カルロスは後に「呪われた子」と言われるようになるのです。スペイン・ハプスブルク家は度重なる血族婚の繰り返しによって、死産や先天性の病により乳幼児が夭逝していくことに。カルロスの場合、3歳になってもまだ乳を飲み、4歳でやっと言葉を話し、常によだれを垂らしていたそう。それもそのはず。なぜなら近交計数が0.254とかなり高い値であり、この数値は親子やきょうだい婚よりも高い値でした。高貴なる青い血を守ろうとしたため、その高貴な血によって滅んだのです。なんとも恐ろしい結果でしょうか。

1-6 ミランダによる「カルロス2世」 

Carlos II; Koning van Spanje.jpg
By フアン・カレーニョ・デ・ミランダ – Schloss Rohrau, Graf Harrach’sche Familiensammlung, パブリック・ドメイン, Link

宮廷画家ミランダによって描かれたカルロス2世。豪華な刺繍が施された衣服を身にまとい、真っ黒な瞳でこちらを見つめていますね。しかし画面の中の彼は、顔が青白く一目見ただけで何か重い病気にかかっているように感じます。そう、彼は重い病気を抱えていました。そしてそれをかき消すように、多くの粉飾を施したミランダ。絵画の中のカルロスはしっかりと立っていますが、実際は立つこともままならないほどだったそう。通常画家は依頼主である人物を描く場合、3割ほどの粉飾を施すそうですが、今回は3割ではなく、かなり理想化された肖像画であることが伺えますね。

1-7 生まれた時から死に瀕していた王

重い障がいを持って生まれたカルロスはその後どうなったのでしょう。実は生まれた時から死に瀕していたと言われたカルロス2世でしたが、なんと38歳まで生きました。もしかしたらという願いを込めて、彼は結婚することに。ルイ14世の弟の娘と結婚しましたが、カルロスは妻には目もくれず。彼女は10年後に病死。しかもカルロスはなんと亡くなった彼女の墓を暴いたそう。そして2回目の結婚では多産の家系のドイツの選帝侯の娘が嫁ぎましたが、カルロスの精神状態は年々悪化。妃よりも異端尋問を見て興奮したというカルロス。ついに子が生まれることはありませんでした。

2 スペイン継承戦争

カルロス2世の死によってスペイン・ハプスブルク家は断朝することになりました。祖父から受け継いだカールはカルロス1世としてスペインへ君臨してから200年のこと。そしてここからフランスが動き出すことに。フランスのルイ14世が王妃のマリア・テレサがカルロスの異母姉であったことを理由に孫のフェリペ5世を継承させようとしたのです。この経緯についてより詳しく見ていきましょう。

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