今日は中和と塩についてです。中和と聞くと、水ができる反応というイメージを持っている人も多くないと思うが、中和と塩を正しく理解しているか?

今日は中和と塩について定義から、化学に詳しいライターどみにおんと一緒に解説していきます。

ライター/どみにおん

化学に詳しい現役大学生。学生時代は化学の参考書を読み漁った。

そもそも「中和」とか「塩」って何?

image by iStockphoto

皆さんは中和と聞くと、H+とOH-が反応してH2Oになって、H20ではない方の生成物が塩というふうなイメージを持っているかもしれません。

しかし、実際には少し異なっているので、最初にそれについて説明していこうと思います。

もちろん、そもそも中和って何?塩って何?という方にも向けて、中和と塩の定義から詳しく見ていきましょう!

中和って何?

まず、中和の定義から見ていきましょう。

中和というのは、酸性物質と塩基性物質が反応して、それぞれの性質が打ち消し合われることをさします。そのため、皆さんが持っているかもしれない、水素イオンと水酸化物イオンが反応して水になる、とイメージは少しだけ異なっているということなんですね。

皆さんもよく知っている反応で見てみましょう。

HCl+NaOH→NaCl+H2O

この反応は確かに水が生成しています。ただ、この反応はどうでしょうか。

NH3+HCl→NH4Cl

塩基性物質と酸性物質がそれぞれの性質を打ち消しあっているのにも関わらず、水が生成していませんね。

塩って何?

先ほど述べたように、塩は中和する時にできる水ではない方の生成物というイメージがある人も少ないないと思います。

これは、間違ってはいませんが、少し不十分なんです。

塩の定義を見ていきましょう。

塩というのは、イオン結合性の化合物のうち、水酸化物と酸化物を除いたものなんですね。

これがどういうことかは、次の章で詳しく見ていきましょう!

塩の生成について

image by iStockphoto

塩というのは、中和反応によっても生成しますが、それだけではないんですね。

全部で7種類の反応によって塩が生成するんです。

一つずつ見ていきましょう。

塩の生成について

image by iStockphoto

非金属元素を酸化すると酸性酸化物になり、酸性酸化物が水と反応すると酸になります。

対して、金属元素を酸化すると塩基性酸化物になり、塩基性酸化物が水と反応すると塩基になるんですね。

これを頭にに入れると、全ての反応が考えられるんですね。

 

\次のページで「塩の生成の反応の種類」を解説!/

塩の生成の反応の種類

塩の生成を分類すると次のようになります。

その1 酸+塩基

その2 酸+塩基性酸化物

その3 酸+金属単体

その4 酸性酸化物+塩基

その5 酸性酸化物+塩基性酸化物

その6 非金属単体+塩基

その7 非金属単体+金属単体

全部でこの7種類です。一つ注意しておかなければならないことが、

酸性酸化物+金属単体、塩基性酸化物+非金属単体は反応しないということなんですね。

塩の生成反応の例

次に上記のその1からその7の反応例を見ていきましょう!

その1 HCl+NaOH→NaCl+H2O

その2 2HCl+Na2O→2NaCl+H2O

その3 Zn+H2SO4→ZnSO4+H2

その4 CO2+2NaOH→Na2CO3+H2O

その5 CO2+Na2O→Na2CO3

その6 Cl2+2NaOH→NaCl+NaClO+H2O

その7 Cl2+Cu→CuCl2

となっており、どれも塩が生成していますね。

塩の種類について

image by iStockphoto

次は、塩の種類についてみていきましょう。

塩には正塩、酸性塩、塩基性塩の3種類があるんですね。

ここで、注意しなければならないのは、酸性塩は水に溶かすと酸性になる塩ではないということ。

もちろん、塩基性塩も水に溶かして塩基性になる塩というわけではありません。

\次のページで「正塩、酸性塩、塩基性塩って?」を解説!/

正塩、酸性塩、塩基性塩って?

まず、正塩というのは、塩の化学式中に酸や塩基が残っていない塩のことを言います。つまり、化学式中にHやOHが残っていない塩のことを言うんですね。

次に、酸性塩というのは塩の化学式中にHが残っている塩のことを言い、塩基性塩というのは塩の化学式中にOHが残っている塩のこと。

だから、酸性塩と聞くと水に溶かしたら酸性になる強酸と弱塩基からできる塩と勘違いしてる人も多いと思いますが、実際には違うんですね。

正塩、酸性塩、塩基性塩の例

次に正塩、酸性塩、塩基性塩の例を見ていきましょう。

正塩 塩化ナトリウム NaCl、炭酸ナトリウム Na2CO3、酢酸ナトリウム CH3COONa など

酸性塩 炭酸水素ナトリウム NaHCO3、リン酸水素ナトリウム Na2HPO4 など

塩基性塩 塩化水酸化マグネシウム MgCl(OH) など

ご覧の通り、酸性塩にはH、塩基性塩にはOHが残っていますね。

塩の加水分解について

image by iStockphoto

先ほど出てきた正塩を水に溶かすと酸性、中性、塩基性のどれになると思いますか?

正塩はHもOHも残っていない塩なので、水に溶かすと絶対中性になると考える方もいるでしょう。

しかし、実際には酸性、中性、塩基性にもなり得るんです!この章では、このことについて詳しく解説していきます。

\次のページで「塩の加水分解って何?」を解説!/

塩の加水分解って何?

塩の加水分解とは、塩を構成するイオンが水と反応を起こし、元の酸や塩基に戻ってしまい、塩基性や酸性になるという現象のことです。

みなさんもよく目にするであろう酢酸ナトリウムCH3COONaを例にとって見ていきましょう。

まず、CH3COONaはイオン結合性の物質であり、水の中では完全電離しているので、CH3COO-とNa+で存在していますね。

ここでみなさんに思い出してもらいたいものが

CH3COOH⇆CH3COO-+H+

の反応。酢酸は弱酸なので、あまり電離していない、つまり酢酸は水の中でほとんどがイオンで存在していないことを覚えていますか?

そのため、水の中に酢酸イオンしか存在していないということはありえません

そして、

CH3COO-+H2O⇆CH3COOH+OH-

という反応が起こりOH-が生成し塩基性となり、これが塩の加水分解です。

水に溶かすと、酸性、塩基性?

上記で、塩の加水分解について解説しました。

塩の加水分解を考えると次のことがわかるんですね。

塩を水に溶かした時、

強酸+強塩基の塩の場合 中性

強酸+弱塩基の塩の場合 酸性

弱酸+強塩基の塩の場合 塩基性

弱酸+弱塩基の円の場合 ほぼ中性

となります。このことをしっかり整理して頭に入れましょう。

中和と塩は極めて大事な基礎!

今回は中和と塩について定義から詳しく説明していきました。塩は勉強すると、他の範囲との繋がりが大きく、とても興味深い範囲となっています。塩は化学平衡、電離平衡、溶解度積の範囲につながっている極めて重要な部分ですので、今日学んだことをしっかり復習してほしいと思います!

" /> 中和と塩を定義から現役理系大学生ライターが詳しくわかりやすく解説 – ページ 3 – Study-Z
化学

中和と塩を定義から現役理系大学生ライターが詳しくわかりやすく解説

正塩、酸性塩、塩基性塩って?

まず、正塩というのは、塩の化学式中に酸や塩基が残っていない塩のことを言います。つまり、化学式中にHやOHが残っていない塩のことを言うんですね。

次に、酸性塩というのは塩の化学式中にHが残っている塩のことを言い、塩基性塩というのは塩の化学式中にOHが残っている塩のこと。

だから、酸性塩と聞くと水に溶かしたら酸性になる強酸と弱塩基からできる塩と勘違いしてる人も多いと思いますが、実際には違うんですね。

正塩、酸性塩、塩基性塩の例

次に正塩、酸性塩、塩基性塩の例を見ていきましょう。

正塩 塩化ナトリウム NaCl、炭酸ナトリウム Na2CO3、酢酸ナトリウム CH3COONa など

酸性塩 炭酸水素ナトリウム NaHCO3、リン酸水素ナトリウム Na2HPO4 など

塩基性塩 塩化水酸化マグネシウム MgCl(OH) など

ご覧の通り、酸性塩にはH、塩基性塩にはOHが残っていますね。

塩の加水分解について

image by iStockphoto

先ほど出てきた正塩を水に溶かすと酸性、中性、塩基性のどれになると思いますか?

正塩はHもOHも残っていない塩なので、水に溶かすと絶対中性になると考える方もいるでしょう。

しかし、実際には酸性、中性、塩基性にもなり得るんです!この章では、このことについて詳しく解説していきます。

\次のページで「塩の加水分解って何?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: