失業者を救済するために大規模な公共事業を展開
By WPA – Own work, Public Domain, Link
世界恐慌の影響によりアメリカには大量の失業者があふれかえります。このような人々の仕事を提供することが課題。そこで大規模な公共事業を立ち上げ、そこで雇用を促進することが試みられました。
大規模な治水事業を通じて雇用を促進
ニューディール政策の一環として行われたのが大規模な治水事業。とくに有名なものがTVA(テネシー川流域開発公社)です。アメリカ中東部をながれるテネシー川に32の多目的ダムを建設。失業者を雇用して賃金をあたえました。
TVAがどれだけ経済によい影響を与えたのかは賛否両論があります。経済の立て直しにほどんど影響を与えなかったとの見方が有力。ただ、結果として、これまで放置されていた農村地帯の居住環境を改善したという意見もあります。
政府機関としてWPAを発足、地域経済の底上げを狙う
さらなる効果を狙って「大統領令」により発足したのが公共事業促進局。通称WPAと呼ばれる政府機関です。WPAは肉体労働をするための場を提供するために、高速道路、道路、建築物、空港、ダム、下水道、公園、図書館などを建設しました。
さらにWPAは仕事を失った芸術家の救済にも着手。アメリカ各地でコンサートをひらいたり、画集や写真集の出版を企画しました。また、研究者を雇用して地域の歴史や文化の調査などもすすめていきます。
金融を管理するために政府の統制力を強化
フランクリン・ルーズベルトは就任するとすぐに銀行の実態を調査。世界恐慌の引き金となった原因のひとつが過剰な投資ブームであったことから、その影響を切り離す取り組みをすすめました。
ドルを金に交換する「金本位制」を停止
景気が悪化すると現金を「金」に交換する流れが起きます。なぜなら金は世界のどこでも交換することができ、価値が大きく下がることが少ないから。そこでアメリカ政府は、ドルを金に交換する「金本位制」を停止することを決定。ドルの価値がこれ以上下がることを食い止めようとします。
さらに、通貨の発行に対しても政府は関与を強めました。具体的には「管理通貨制度」というものを導入。通貨を発行する権利を銀行から政府に移行させます。銀行は、世界恐慌の影響もあり、破綻状態にありました。そこで政府がその役割を果たす仕組みをつくったのです。
預金を保護してパニックを止める
銀行が破綻状態になると発生するのが預金者のパニック。銀行にお金を預けている人々が一斉にお金を引き出そうとします。それにより銀行は経営を維持することが困難に。そうなると融資をうけている企業などにも影響がおよび、倒産という負の連鎖が引き起こされます。
そこでフランクリン・ルーズベルトは銀行に預金している人々を保護するために「連邦預金保険公社」を設立。さらなる預金の流出を止めることを試みます。そして、銀行を健全な状態に回復されるために制定したのが「グラス・スティーガル法」。銀行と証券を分離させました。
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