今回は光の屈折について説明しよう。光は直進する性質を持つことは知っていますね。ですが、光の通り道である媒質が空気、水、ガラスと異なるものの境目を通過する際、光は屈折するんです。文字通り、光の進む方向が変わる。そのため、普通に物を見た時と水を通して見た時では見え方が異なるんです。

特に光の屈折を利用しているのはレンズでしょう。身近な物ではメガネや虫眼鏡です。これらレンズと光の屈折と、それによってみられる像について説明しよう。

今回は理系ライターのユッキーと一緒に解説しよう。

ライター/ユッキー

小さいころから理科系の分野に興味を持っていた。大学では建築構造を専攻している。

1 光の屈折とは

image by iStockphoto

ここでは、光の屈折について説明していきます。

身近なものでいえば水を入れたコップでしょう。中の水を通して反対側の景色を見ると、目で見るのとはまた違ったようにみえますよね。これは、水(とコップ)と空気の境目で光が屈折しているからです。

光の屈折は、空気から媒質へ進入する際に起きます。その際、光が進む角度が変わることがほとんどです。そのため、透明なものを通して向こう側の景色を見ると、光が屈折するため見え方が異なります。

どれだけ光が屈折するかを表す言葉を、屈折率といいnで表すのです。なお、この屈折率は媒質によって異なります。水、プラスチック、ガラスなど透明でも種類が違えばそれを通して見た景色の見え方は異なることが、お手元でも確認できるでしょう。

1-1 光の屈折の式

1-1 光の屈折の式

image by Study-Z編集部

屈折率はこの式によってあらわされます。

式からわかるように、真空と媒質内での光の進む速さの比から求められるのです。

では、なぜ波長λからでも求められるのでしょう。これは、媒質内でも振動数fは変わらない性質があるためです。速度、波長、振動数の関係式v=fλがあります。fが変わらないため、速度v(c)と屈折率の関係式をλでも表せるのです。

なお、真空ではn=1となり、これを特に絶対屈折率といいます。屈折率の問題では、空気は真空と同様に扱われることがほとんどです。

1-2 媒質と媒質とのあいだで起きる屈折

1-2 媒質と媒質とのあいだで起きる屈折

image by Study-Z編集部

光の屈折は媒質に進む際に発生します。これは空気から媒質に進入するときだけでなく、媒質から違う媒質へ進入する際も発生するのです。

空気から媒質へ進入する際の屈折率は先ほどの式で求められますが、媒質1から媒質2へ進入する際は異なることに注意しましょう。それぞれの媒質での速度、屈折率の比によって求められます。

先ほどのnは空気に対する屈折率ですが、こちらは媒質1と媒質2の相対屈折率です。

\次のページで「2 レンズと屈折」を解説!/

ちなみに、屈折率が同じ2つの媒質間では屈折率は1となります。

例えば水と同じ屈折率を持つ物体を水槽の中へ沈めるとしましょう。そうすると、その物体はまるで消えたかのようにみえます。光の屈折は、簡単なマジックのトリックに用いられることもあるのです。

2 レンズと屈折

光の屈折を利用しているものといえばレンズでしょう。メガネや虫眼鏡などはレンズによる光の屈折を利用して、物を見ます。

レンズには凸レンズ凹レンズがありますね。それぞれのレンズに何本かの平行な光が入射したときの性質が異なります。

凸レンズは光を集める性質があり、対して凹レンズは散開させる性質を持つのです。この性質の差によって像の現れ方が異なります。

また、レンズから像までの距離が焦点距離fです

2-1 凸レンズ(焦点より外)

2-1 凸レンズ(焦点より外)

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凸レンズによる像の仕組みを説明していきましょう。

まず、レンズの焦点の外に物体がある場合を説明します。

レンズの中心を通る軸の上に物体を置くとしましょう。

物体の先端から出る光を考えます。光はあらゆる方向に伸びていきますが、像を作図するときは3つの光について考えていきましょう。レンズの中心を通る光、軸に平行に進む光、焦点を通る光の3つです。

まず、レンズの中心を通る光を考えます。これはそのまま直進しますね。

次に、軸に平行に進む光を考えます。これはレンズに到達すると、焦点を通るように屈折するのです。

最後に、焦点を通る光ですが、これは2つ目とは反対にレンズに到達すると軸に平行に進みます。

これらの線の交点部分に像が発生することを覚えておいてください。

このとき、軸の物体と同じ側であれば正立、逆であれば倒立といいます。

また、レンズを挟んで物体の逆側にあれば実像、同じ側にあれば虚像というのです。

ここでうまれた像は倒立の実像でした。

2-2 凸レンズ(焦点より中)

2-2 凸レンズ(焦点より中)

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次に凸レンズで、焦点の内側に物体がある場合を考えます。これもまた先程と同様に、3つの線を作図しましょう。

しかし、レンズの向こう側へ行った光は交わりません。この時は、その線を逆方向へ伸ばしましょう。

そうするとレンズの、物体側へ交点ができますね。ここに像が見られるのです。この場合は正立の虚像といいます。

このように、凸レンズで焦点の内側に物体がある場合は虚像がみられ、実物よりも大きくみえることが特徴です。

\次のページで「2-3 凹レンズ」を解説!/

2-3 凹レンズ

2-3 凹レンズ

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最後に凹レンズで作られる像についてです。

基本的には考える3つの光の線は変わりません。

しかし、凸レンズと凹レンズの違いとして、光を集めるか散らすかの性質の差があります。

そのため、作図の際には、軸に平行な光は焦点から出るように考えましょう。

ここでの像は正立の虚像です。

3 レンズと像と焦点との距離の関係式

3 レンズと像と焦点との距離の関係式

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また、虫眼鏡のように実物と像の大きさは同じとは限りません。レンズと物体との距離をa、レンズと像との距離をbとすると、焦点距離との関係と倍率はこのように表されます。

光の屈折はある法則に則って発生する

光の屈折は媒質によって決まっている屈折率に基づいて角度が決まっています。

その性質を利用したレンズも、焦点距離や凸レンズと凹レンズの性質の違いがあることを覚えておいてください。

作図の例もよく見られますので作図の方法は確認しておきましょう。

" /> 光の屈折について、凸レンズと凹レンズの例を交えながら5分で理系ライターがわかりやすく解説 – Study-Z
物理理科電磁気学・光学・天文学

光の屈折について、凸レンズと凹レンズの例を交えながら5分で理系ライターがわかりやすく解説

今回は光の屈折について説明しよう。光は直進する性質を持つことは知っていますね。ですが、光の通り道である媒質が空気、水、ガラスと異なるものの境目を通過する際、光は屈折するんです。文字通り、光の進む方向が変わる。そのため、普通に物を見た時と水を通して見た時では見え方が異なるんです。

特に光の屈折を利用しているのはレンズでしょう。身近な物ではメガネや虫眼鏡です。これらレンズと光の屈折と、それによってみられる像について説明しよう。

今回は理系ライターのユッキーと一緒に解説しよう。

ライター/ユッキー

小さいころから理科系の分野に興味を持っていた。大学では建築構造を専攻している。

1 光の屈折とは

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ここでは、光の屈折について説明していきます。

身近なものでいえば水を入れたコップでしょう。中の水を通して反対側の景色を見ると、目で見るのとはまた違ったようにみえますよね。これは、水(とコップ)と空気の境目で光が屈折しているからです。

光の屈折は、空気から媒質へ進入する際に起きます。その際、光が進む角度が変わることがほとんどです。そのため、透明なものを通して向こう側の景色を見ると、光が屈折するため見え方が異なります。

どれだけ光が屈折するかを表す言葉を、屈折率といいnで表すのです。なお、この屈折率は媒質によって異なります。水、プラスチック、ガラスなど透明でも種類が違えばそれを通して見た景色の見え方は異なることが、お手元でも確認できるでしょう。

1-1 光の屈折の式

1-1 光の屈折の式

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屈折率はこの式によってあらわされます。

式からわかるように、真空と媒質内での光の進む速さの比から求められるのです。

では、なぜ波長λからでも求められるのでしょう。これは、媒質内でも振動数fは変わらない性質があるためです。速度、波長、振動数の関係式v=fλがあります。fが変わらないため、速度v(c)と屈折率の関係式をλでも表せるのです。

なお、真空ではn=1となり、これを特に絶対屈折率といいます。屈折率の問題では、空気は真空と同様に扱われることがほとんどです。

1-2 媒質と媒質とのあいだで起きる屈折

1-2 媒質と媒質とのあいだで起きる屈折

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光の屈折は媒質に進む際に発生します。これは空気から媒質に進入するときだけでなく、媒質から違う媒質へ進入する際も発生するのです。

空気から媒質へ進入する際の屈折率は先ほどの式で求められますが、媒質1から媒質2へ進入する際は異なることに注意しましょう。それぞれの媒質での速度、屈折率の比によって求められます。

先ほどのnは空気に対する屈折率ですが、こちらは媒質1と媒質2の相対屈折率です。

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