タンパク質と生物体の機能理科生物

【タンパク質とDNA】タンパク質の構造とその特徴を、生物専攻ライターが5分でわかりやすく解説!<第3回>

今回も「タンパク質」について学んでいこう。

第3回となるこの記事では、どのようにしてタンパク質がつくられるのかを解説します。なお、この記事では真核生物のタンパク質合成の流れを紹介することを目的としている。更に詳細を知りたかったら、本文中に書かれている現象の名前を調べてみてほしい。
もし余裕があれば、それぞれの現象を自分の言葉で説明できるか挑戦してみてくれ。ここではこんな酵素がはたらいていたなあと思い浮かべるだけでも力はついてくるぞ。

理系大学生ライターこみとりと一緒に解説しよう。

アミノ酸からタンパク質ができるまで

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(1)アミノ酸の配列順序の情報を得る:転写

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まずはアミノ酸からポリペプチドをつくらなければなりません。そのためには、20種類あるアミノ酸をどうやって並べるかを決める必要がありますね。
アミノ酸の配列順序は、元をたどると核内のDNAに記されています。DNAの塩基配列が、アミノ酸の並べ方を教えてくれるというわけです。
とはいえ、DNAは非常に重要な物質であるうえ、核のなかにぎゅうぎゅう詰めになっています。ですから、タンパク質を合成する度に核から出してくるわけにはいきません。そこで、「必要な時に、必要な部分だけ」、DNAの遺伝情報をコピーして、核の外へ持ってくるのです。このように、DNAの遺伝情報をコピーするプロセスを転写といい、写し取った遺伝情報はRNAに記録されます。

(2)転写産物を編集してmRNAにする:スプライシング

(2)転写産物を編集してmRNAにする:スプライシング

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転写によりできたRNAを、そのまま読み取るだけでは目的のタンパク質を合成することができません。というのも、転写されたばかりのRNAには、タンパク質合成に必要な部分と不要な部分があるのです。目的のタンパク質を合成するためには、不要な部分を取り除き、必要な部分だけをつなぎ合わせたRNAをつくる作業が必要となります。

ここで、少し用語の解説をしましょう。不要な領域を取り除くことをスプライシング、スプライシングをうけたRNAをmRNA(メッセンジャーRNA、伝令RNA)といいます。さらに、取り除くべき不要な領域はイントロン、タンパク質合成に必要な領域はエキソンです。たくさん用語がありますが、先ほどの説明文に当てはめてみましょう。要するに、目的のタンパク質を合成するために、イントロンを取り除き、エキソンだけをつなぎ合わせたmRNAをつくることがスプライシングです。

核内でスプライシングをうけたmRNAは、核膜孔を通って核外へ移動します。

さて、細胞質基質へやってきたmRNAは、「タンパク質合成の場」であるリボソームと結合します。リボソームでは、mRNAの情報に基づいて、アミノ酸どうしのペプチド結合が形成され、ポリペプチドが伸長されていくのです。ところが、リボソームからしたら、せっかくmRNAを捕まえても、ポリペプチドの材料となるアミノ酸が無ければ何もできませんね。

(3)アミノ酸を運ぶ

実は、細胞質基質にはリボソームのもとにアミノ酸を運ぶ係がいます。tRNA(トランスファーRNA、転移RNAです。

tRNAは、特定のアミノ酸に結合する部位と、特定のmRNAの塩基配列に対応する部位(アンチコドン)をもちます。わざわざ「特定の」という言葉を使いました。1種類のRNAが結合できるアミノ酸の種類はたった1種類。同様に、1種類のtRNAが対応するmRNAの塩基配列(コドン)も1種類です。tRNAのこのような性質により、「mRNAにこの塩基配列があったらこのアミノ酸を並べる」という任務を確実に遂行できるようになっているのですね。

※コドン…mRNA3つの塩基の並び。1つのコドンで1つのアミノ酸を指定します。例えば、AAAはリシン、GGAはグリシン、UUCはフェニルアラニンを指定するというように決まっているのです。

(4)アミノ酸を並べてポリペプチド鎖を合成する:翻訳

Peptide syn.png
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アミノ酸が運ばれてきたところで、いよいよmRNAに書かれた指示通りにアミノ酸を繋げる作業のスタートです。

mRNAに結合したリボソームは、まず「開始コドン」を認識。mRNAには数多くの塩基が並んでいますが、「AUG」の並びを認識したらそこからポリペプチドの合成を始めるという、リボソームにとってのルールがあります。開始コドンAUGに対応するtRNAがアミノ酸(メチオニン)を運んできて、mRNAに結合。するとリボソームは次々と隣のコドンを認識し、別のtRNAがアミノ酸を運んできます。運ばれてきたアミノ酸間でペプチド結合が形成され、ポリペプチドとなるのです。

やがてリボソームは「終止コドン」を認識しますが、終止コドンに対応するアミノ酸はないので、ポリペプチドの伸長が止まります。

この一連のプロセスが「翻訳」です。

翻訳の完了は、すなわち1本のポリペプチド鎖の完成、タンパク質の一次構造の完成を意味することになりますね。

(5)立体構造を形成する

ポリペプチド鎖が合成されたら、前回までの記事でも紹介した通り、立体構造を形成していきます。

こちらの記事を参考にしてください。

コラム1:シャペロンタンパク質の活躍

細胞内は、他のタンパク質やアミノ酸、細胞小器官など、さまざまな物質がぎっしり詰まっていると言われています。まるで満員電車の中のようですね。合成されたばかりのポリペプチドは、他のタンパク質などの影響を受けて誤った立体構造を形成してしまいがちです。

この問題を解決するために、ポリペプチドが正しい立体構造の形成を補助するタンパク質があり、「シャペロン」と総称されます。(細胞内には数種類のシャペロンが存在するそう。)ポリペプチドが正しい立体構造をとれるように補助したり、変性したタンパク質を正常なタンパク質に回復させたり、あるいは古くなったタンパク質の分解を助けたりするのが主な役割です。

シャペロンは内部に空洞があり、蓋がついたような構造をとっていますから、新しいポリペプチドを他のタンパク質などから隔離したうえで、正常な立体構造の形成を促すことができます。

コラム2:原核生物のタンパク質合成はどう違う?

\次のページで「これでタンパク質合成の流れはばっちり!」を解説!/

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