3分で簡単にわかる「鉱質コルチコイド」!糖質コルチコイドとの違いも現役講師がわかりやすく解説!
生物のからだに詳しい現役講師のオノヅカユウを招いたぞ。
ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
鉱質コルチコイドとは?
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鉱質コルチコイドは副腎髄質から分泌されるホルモンです。英語ではミネラルコルチコイド(Mineralcorticoid)というほか、電解質コルチコイドという名前でよばれることも。アルドステロンやデスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾンなどの化学物質が、鉱質コルチコイドとしてはたらきます。
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副腎髄質とは?
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ここで、私たちの体内にある重要な内分泌器官のひとつである副腎について確認しておきましょう。副腎は腎臓のすぐ上に、まるで帽子のように乗っかっている小さな器官です。副腎は内部の組織を「髄質」、外側に位置している組織を「皮質」といい、それぞれの場所で分泌されるホルモンが異なっています。副腎髄質から分泌されるホルモンの代表はアドレナリンです。
さらに、副腎髄質は3層で形成されており、外側からそれぞれ球状層、束状層、網状層といいます。鉱質コルチコイドが合成されるのはもっとも外側に位置する球状層です。
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鉱質コルチコイドと糖質コルチコイド
鉱質コルチコイドとよく似た名前のホルモンに糖質コルチコイドがあります。糖質コルチコイドは鉱質コルチコイドと同じく副腎の皮質(ただし束状帯)で合成されるホルモンです。
名前の音も字面もよく似ているため、混乱してしまいますよね。それもそのはず、そもそも「コルチコイド(coricoid)」は皮質を意味する「コルテックス(cortex)」からきています。この2つのホルモンに共通して「コルチコイド」という言葉が使われているのは、両者とも副腎皮質から分泌されるためなんですね。
さらに、どちらもコレステロールを原料に合成されるステロイド系のホルモンであることも共通しています。
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鉱質コルチコイドのはたらき
鉱質コルチコイドが分泌されると、腎臓でのナトリウムイオンの吸収を促進します。また、それとは逆にカリウムイオンについては排出を促進し、体液のバランスをとっているのです。ナトリウムイオンやカリウムイオンなどのミネラルのバランスを整えることから、ミネラルコルチコイド=鉱質コルチコイドという名前だということが、お分かりいただけると思います。
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ナトリウムイオンやカリウムイオンは何のために調節が必要?
高校の生物の教科書(とくに生物基礎)では、「鉱質コルチコイド=ナトリウムイオンやカリウムイオンの調節」くらいしか説明されず、とにかく無理やり覚えてしまうことがよくあります。しかしながら、そんな生徒たちに「ナトリウムイオンやカリウムイオンは細胞にとってどんな役割をしているの?」と質問しても、答えられないことがほとんどです。
鉱質コルチコイドのはたらきと合わせ、ナトリウムイオンやカリウムイオンがなぜ調節されなくてはいけないのか、細胞にとってなぜ必要なのかも合わせてチェックしておきましょう。
ナトリウムイオンの役割
「塩分が人のからだにとって必要不可欠」というのは皆さんご存知の通り。たくさん汗をかく夏場は熱中症予防のためとしきりに塩分(NaCl)を摂りますよね。
私たちの体液にはナトリウムイオンが溶け込んでいます。体液は細胞内を満たす細胞内液と、血液やリンパ液などの細胞外液に分けることができますが、ナトリウムイオンは細胞外液の方に多く存在し、細胞内液との浸透圧のバランスをとっているんです。
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