タンパク質と生物体の機能理科生物

副腎から分泌される「糖質コルチコイド」って何?現役講師が5分でわかりやすく解説!

よぉ、桜木建二だ。今回は副腎から分泌されるホルモンのひとつである糖質コルチコイドについてみていくぞ。普段あまり耳にしない名前だが、一部の薬などに利用されている大切なホルモンだ。受験などで問われることもあるホルモンだから、しっかり押さえておこう。

生物のからだに詳しい現役講師のオノヅカユウを招いたぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

糖質コルチコイドとは?

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By David Richfield (User:Slashme) and Mikael Häggström. Derived from previous version by Hoffmeier and Settersr. In external use, this diagram may be cited as: (2014). “Diagram of the pathways of human steroidogenesis“. WikiJournal of Medicine 1 (1). DOI:10.15347/wjm/2014.005. ISSN 20018762. – Häggström M, Richfield D (2014). “Diagram of the pathways of human steroidogenesis”. WikiJournal of Medicine 1 (1). DOI:10.15347/wjm/2014.005. ISSN 20024436., CC 表示-継承 3.0, Link

糖質コルチコイドは、腎臓のすぐ上にある内分泌器官、副腎の皮質から分泌されるホルモンです。私たちヒトの体内では、コルチゾールやコルチコステロン、コルチゾンなどの化学物質が、この糖質コルチコイドとしてはたらきます。

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ここで「え?」と思ったやつは要注意。ホルモンの名前は、ただ一つの化学物質を指すわけではなく、『内分泌腺でつくられ、生体内で同じようなはたらきをする化学物質』をまとめて指す言葉だ。一つのホルモンであっても、化学物質としては複数種類が該当しうることを覚えておこう。

のちほど詳しくご紹介しますが、糖質コルチコイドは「糖質」という言葉からもわかる通り、血糖値の調節に関係するホルモンです。この「糖質」という言葉を言い換えてグルココルチコイドという名前でよばれることもあります。

糖質コルチコイドは「ステロイドホルモン」の一種

糖質コルチコイドとしてはたらく物質はいずれも「ステロイド」という構造がベースになっていることから、「ステロイドホルモン」というグループに分類されます。名前の良く似た「鉱質コルチコイド」や、男性ホルモンとして有名な「アンドロゲン」、女性ホルモン「エストロゲン」なども、このステロイドホルモンの仲間です。

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By Boghog2投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link

私たちのからだの中にはステロイドホルモン以外にも、ビタミンDや胆汁酸などのステロイド系の物質が存在し、それぞれが重要なはたらきを担っています。それらの原料として重要なのが、コレステロールです。ある程度年齢を重ねると、健康診断などで「コレステロール値を下げましょう」などとお医者さんから言われる、あのコレステロール。なんとなく体に良くないイメージがある人もいると思いますが、ステロイドホルモンをはじめとする多くのステロイド系の物質の合成に必要な物質なんです。

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