タンパク質と生物体の機能理科生物

3分で簡単「グルカゴン」!血糖値調節に重要な役割を果たす重要ホルモンを現役講師がわかりやすく解説!

高校で学ぶ「生物基礎」の科目のうち、多くの学生が苦手意識を持つのが『恒常性』の分野だ。各器官にさまざまな変化をもたらす自律神経に加え、いくつものホルモンが登場して混乱しやすい。

「血糖値調節」の仕組みを学習すると、膵臓から2種類の血糖値に関するホルモンが出ていることを学ぶだろう。今回はそんな血糖値調節に関与する重要ホルモン「グルカゴン」についてみていくぞ。生き物のからだに詳しいオノヅカユウを招いた。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

グルカゴンとは?

グルカゴンは29のアミノ酸がくっついてできているペプチドホルモンの一種。主に膵臓のランゲルハンス島から分泌されるほか、胃や十二指腸などの消化器官からも分泌されることがわかっています。膵臓のランゲルハンス島は重要なホルモンを分泌する組織ですので、しっかり復習しましょう。

膵臓、ランゲルハンス島とは?

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By Takuma-sa – file from wikimedia commons, パブリック・ドメイン, Link

膵臓は胃のすぐ下にある臓器で、胃と小腸をつなぐ十二指腸につながっています。十二指腸へ膵液という消化液を分泌する「外分泌腺」としての役割と、ホルモンを合成・分泌する「内分泌腺」としての役割を持つ、地味ながらも大切な臓器です。

膵液をつくる外分泌腺の細胞の間に浮かぶようにして存在する、内分泌細胞のかたまりが「ランゲルハンス島」とよばれています。名前の由来は、発見者のパウル・ランゲルハンス(1847~1888、ドイツ)からです。

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ランゲルハンス島は、「膵島(すいとう)」という名称でよばれることもある。いずれにせよ、外分泌細胞の中にポツンと浮かぶ様が島のように見えることからこのような名前がついたのだろう。ちいさな細胞のかたまりだが、ホルモンを語る上では欠かすことのできない存在だ。

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By User:Polarlys投稿者自身による作品, CC 表示 2.5, Link

ランゲルハンス島は5種類の細胞が集まってできていますが、それらの細胞はそれぞれ違うホルモンを合成・分泌しています。グルカゴンを分泌している細胞は、A細胞(α細胞)。ほかにも、インスリンを分泌するB細胞(β細胞)や、ソマトスタチンを分泌するD細胞(δ細胞)などからなっています。

グルカゴン同様に関与するインスリンもランゲルハンス島から分泌されるため、混乱しやすいですが、それぞれのホルモンが分泌される細胞の名前はしっかり覚えましょう。グルカゴン=A細胞、インスリン=B細胞です。

グルカゴンのはたらきは?

image by iStockphoto

グルカゴンの主なはたらきは、ずばり血糖値の上昇です。おなかがペコペコで血液中の血糖値が低くなっているとき、膵臓からのグルカゴン分泌が促されます。

分泌されたグルカゴンはからだの様々なところで作用しますが、とくに重要なのが肝臓でのグリコーゲン分解と、糖新生です。2つの血糖値上昇システムについて、少し詳しくみてみましょう。

\次のページで「グリコーゲン分解→血糖値上昇」を解説!/

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