ここではドップラー効果について説明していく。
電車に乗っているときに聞こえる踏切の音や、通り過ぎていく救急車のサイレン音が、変に聞こえたことがあるでしょう。それがドップラー効果です。
音源や、それを聞く人が動いていると発生する。

今回は、物理が得意なライター、ユッキーと一緒に解説する。

ライター/ユッキー

大学で建築を専攻している学生ライター。受験勉強の際に学んだ物理の知識を活かして説明する。

1 ドップラー効果とは

image by iStockphoto

ドップラー効果とは、観測する波の振動数が、波源の振動数と異なってしまう現象のことをいいます。

最もイメージしやすいのは、救急車やパトカーのサイレンでしょう。救急車がサイレンを鳴らしながら走っていくと、サイレンの音の高さが変わっていくように聞こえますよね。これは、ドップラー効果により人の耳に届く音の振動数が変化し、音の高さが変わって聞こえるためです。

1-1 ドップラー効果の原理

救急車のサイレンはピーポーピーポーと同じ音を出していますね。しかし、救急車が走り、通りすぎると音の高さは変化して聞こえます。つまり、観測者(人)と波源(救急車)の動きの影響でドップラー効果は起こるのです。

より詳しく言えば、観測者が動くのか波源が動くのか、遠ざかるのか近づくのかによって観測者に届く波の振動数、波長が変わることでドップラー効果は発生します。

1-2 どうして動くと音の高さが変わるのか

1-2 どうして動くと音の高さが変わるのか

image by Study-Z編集部

もう少し詳しく説明していきましょう。観測者が動く場合と波源が動く場合ではどう異なるのでしょうか。

観測者が動くとすると、観測者が波に出会う数(振動数)が変わります。波源から遠ざかるように動くと数は減り、近くように動くと増えるのです。

対して、波源が動くとすることを考えましょう。波は波源から円状に発生しますね。波源が動くと、円が中心を変えながら発生していきます。波源が進む先では波と波の間隔(波長)が短くなり、反対に後方では長くなるのです。

2 ドップラー効果の公式

2 ドップラー効果の公式

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ドップラー効果を考慮した振動数fは上記の通りです。先に説明したように、観測者と波源の速度によって変化します

波の速度、波長、振動数の関係式

を元に導出されるのです。

\次のページで「2-1 公式を導出しよう(観測者が動く場合)」を解説!/

2-1 公式を導出しよう(観測者が動く場合)

2-1 公式を導出しよう(観測者が動く場合)

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観測者が動く場合と波源が動く場合とに分けて考え、公式を導出しましょう。

波の速さをV、波源の振動数をf’、波長をλ’

とここでは置きます。

V=f’λ’の関係が成り立ちますね。

最初に、観測者(人)が速度u[m/s]で波源から遠ざかり、波源が停止しているときを考えます。

観測者が止まったまま波源からの波を観測していれば、1秒でf’個の波を観測することになりますね。(振動数の単位は[1/s]であるため)

しかし、ここでは観測者は速度uで遠ざかるため、観測する振動数は異なることが予想されます。それを求めるために波長を求めましょう。

速度uで観測者が遠ざかるを考えると、1秒あたりに観測する波長はV-u[m]です。(1秒あたりなので速度を使って表せます)人が観測する、uを考慮した振動数をfとすると、

f=(V-u)/λ’

となり、λ’を代入すると、

f=(V-u/V)×λ’

となります。

2-2 公式を導出しよう(波源が動く場合)

2-2 公式を導出しよう(波源が動く場合)

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次に、波源が速度v[m/s]で観測者の方へ動き、観測者は止まっている場合を考えます。

今回もまた1秒あたりについて考えていきますね。波源が動いていないときは、1秒にV[m]先まで進み、その間にはf’個の波があることになります。

しかし、波源は速度vで動いているため、1秒間で考えて、V-v[m]の中にf’個の波がある、ということになるのです。このときの波長をλとすると、

λ=(V-v)/f’

と表せますね。また、波長が変わると振動数も変わるため、V=fλの関係から、観測される振動数fを求めると、

f=V/λ=(V/V-v)×f’

となります。

以上の2式を合わせると、観測者と波源の速度を考慮した振動数の式が求められます。

ここでのu,vは波源から観測者への向きが正です。

ここでu,vが足し算なのか引き算なのか混乱してしまう場合があります。

式を見てください。これは、元の振動数に、係数を掛け算したものになっていますね。観測者と波源の速度によって係数が決まっています。値を代入した結果元の振動数よりも大きくなっているか小さくなっているかで、答えを判断しましょう。

また救急車のサイレンを思い出してください。救急車(波源)と人(観測者)が近づくと振動数は増え、遠ざかると減るはずです。このことを思い出し、どちらが分母か分子かをしっかりと覚えておけば問題はないでしょう。

3 反射する場合

3 反射する場合

image by Study-Z編集部

応用問題として、さらに反射板が登場する場合があります。この図のように、人と音源が動いており、さらに動く反射板があり、そこから反射される音の振動数を、人が観測するときどうなるかを求める問題です。

とっつきにくく感じられますが、音源〜板の間と、板〜人の間に分けて考えましょう。

音源の振動数は100Hz、音速は340m/sとします。

\次のページで「3-1 波源から反射板」を解説!/

3-1 波源から反射板

まずは反射板で観測する振動数を求めましょう。これをf1として先程の式に当てはめ、

f(1)=(340+10)/(340-10)×100=(35/33)×100

となります。

音源と反射板は近づいているため、振動数は元の値よりも大きくなっていますね。この係数の計算の際も、正負の符号を考えるヒントになります。

3-2 反射板から人

次に、この反射板からの反射音を音源とし、人が観測するときの振動数を計算します。この振動数をf2として、

f(2)=(340+20)/(340-10)×f(1)=(36/33)×f(1)

こちらも、反射板と人が近づいているため、振動数の値が大きくなっていることが確認出来ますね。

最後に計算して、

(36/33)×(35/33)×100=115.7[Hz]

と求められます。

ドップラー効果は振動数がポイント

ドップラー効果は音に限らず波の振動数が変化することを示すものです。

その公式も、実際に経験したことのある救急車のサイレン等を重い浮かべれば理解が進むでしょう。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

「ドップラー効果」を原理から例題まで詳しく理系学生ライターがわかりやすく解説!

ここではドップラー効果について説明していく。
電車に乗っているときに聞こえる踏切の音や、通り過ぎていく救急車のサイレン音が、変に聞こえたことがあるでしょう。それがドップラー効果です。
音源や、それを聞く人が動いていると発生する。

今回は、物理が得意なライター、ユッキーと一緒に解説する。

ライター/ユッキー

大学で建築を専攻している学生ライター。受験勉強の際に学んだ物理の知識を活かして説明する。

1 ドップラー効果とは

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ドップラー効果とは、観測する波の振動数が、波源の振動数と異なってしまう現象のことをいいます。

最もイメージしやすいのは、救急車やパトカーのサイレンでしょう。救急車がサイレンを鳴らしながら走っていくと、サイレンの音の高さが変わっていくように聞こえますよね。これは、ドップラー効果により人の耳に届く音の振動数が変化し、音の高さが変わって聞こえるためです。

1-1 ドップラー効果の原理

救急車のサイレンはピーポーピーポーと同じ音を出していますね。しかし、救急車が走り、通りすぎると音の高さは変化して聞こえます。つまり、観測者(人)と波源(救急車)の動きの影響でドップラー効果は起こるのです。

より詳しく言えば、観測者が動くのか波源が動くのか、遠ざかるのか近づくのかによって観測者に届く波の振動数、波長が変わることでドップラー効果は発生します。

1-2 どうして動くと音の高さが変わるのか

1-2 どうして動くと音の高さが変わるのか

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もう少し詳しく説明していきましょう。観測者が動く場合と波源が動く場合ではどう異なるのでしょうか。

観測者が動くとすると、観測者が波に出会う数(振動数)が変わります。波源から遠ざかるように動くと数は減り、近くように動くと増えるのです。

対して、波源が動くとすることを考えましょう。波は波源から円状に発生しますね。波源が動くと、円が中心を変えながら発生していきます。波源が進む先では波と波の間隔(波長)が短くなり、反対に後方では長くなるのです。

2 ドップラー効果の公式

2 ドップラー効果の公式

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ドップラー効果を考慮した振動数fは上記の通りです。先に説明したように、観測者と波源の速度によって変化します

波の速度、波長、振動数の関係式

を元に導出されるのです。

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