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冒険とキューバを愛した小説家「ヘミングウェイ」歴史との接点を元大学教員がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。アメリカ文学に大きな影響を与えた作家のひとりが「ヘミングウェイ」。彼の晩年の作品である『老人と海』は1954年にノーベル文学賞を受賞した。「ヘミングウェイ」は第一次世界大戦そしてスペイン内戦に関わったことでも知られている。長きに渡り冒険を愛しながらキューバを第二の故郷とした。

それじゃ、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に「ヘミングウェイ」の生涯における歴史との接点を解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ひこすけ

文化系の授業を担当していた元大学教員。専門はアメリカ史・文化史。アメリカ文化を見ていくとき「ヘミングウェイ」を避けて通ることはできない。「ヘミングウェイ」は長いキャリアゆえ歴史とのつながりも多彩にある人物。そこで、「ヘミングウェイ」とアメリカの歴史のつながりについて解説していく。

イリノイ州に生まれた「ヘミングウェイ」

image by PIXTA / 879592

ヘミングウェイはアメリカ生まれの小説家。ノーベル文学賞を受賞したことでも知られています。彼が生まれたのはイリノイ州オークパーク。ここは現在のシカゴにあたるところです。イリノイ州における幼少期の経験は、ヘミングウェイの小説のテーマに大きな影響を与えました。

アウトドア派の父親が大きな影響を与えた

ヘミングウェイの父親は医者。活動的な娯楽を愛する傾向があり、ボクシング、釣り、狩猟などを楽しんでいました。ヘミングウェイは、小さいころから父親と一緒にこれらの娯楽を楽しむように。その経験が、ヘミングウェイの冒険的なテーマに結び付いたと言われています。

母親に対する苦手意識が「男性らしさ」の追求に向かわせる?

父親とは一緒にアウトドアを楽しむ一方、声楽家である母親との関係性は良好ではなかったようです。彼の母親や教育熱心で、子供のしつけが厳しい女性でした。ヘミングウェイの作品の特徴である「男性らしさ」や「強靭な肉体」は、母親に対する苦手意識から生まれたと考えることもできます。

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ヘミングウェイの代表作である『老人と海』と言えば、荒れ狂う海の自然の力に立ち向かう男性の姿を思い出す。彼は知性と力強さを兼ね備えた父親に対する憧れがとても強かったのだろう。

第一次世界大戦がはじまると戦地に向かった「ヘミングウェイ」

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By FOTO:FORTEPAN / Komlós Péter, CC BY-SA 3.0, Link

ヘミングウェイは高校を卒業するとミズーリ州の地方紙の記者になります。厳密には見習い記者でした。そこでの仕事は長く続かず1年足らずで退職。それから第一次世界大戦の戦地に行くことを決意します。

赤十字の一員として参戦

第一次世界大戦の戦地に行くためにヘミングウェイが選んだのは赤十字の一員となること。ニューヨークを発ったヘミングウェイは、パリを経由してイタリアに赴きます。工場の爆撃地にて救出活動に従事。そのときの経験を短編小説「午後の死」のなかで描写しています。

北イタリアの戦場にて重傷を負う

北イタリアで救出活動に従事したヘミングウェイ。フォッサルタ戦線にて火災に巻き込まれ重傷を負います。怪我を負いながらもヘミングウェイは兵士を安全な場所に連れていく任務を遂行。イタリアからその功績をたたえられてメダルを授与されました。

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