
雪を溶かしきっても油断できない
濡れた道は、雪道や凍結路に比べると滑りにくいですが、それでも乾いた道の2倍も制動距離が必要。
仮に雪が完全に溶けていても、普段通りには止まれません。
慎重に運転しましょう。
5-1.お湯をばらまき

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道路にお湯や水をかけてやれば確かに雪は溶けるもの。
雪が多い地域では、道路の中央に噴水のように水を噴射する設備が見られます。
しかしこの方法だと、至る所に噴水を設置しないといけませんね。お金がかかります。
交通が少ない道までは設備が行き届かないでしょう。
このような噴水設備を取り付けられない道はどうしたらいいでしょうか。
5-2.融雪剤をまく
噴水が付けられない道路には融雪剤を巻きまいて、雪や氷を溶かします。融雪剤とは水の融点を下げるもの。
融雪剤が雪や氷に混じると、-1℃や-2℃でも液体の状態になるわけです。滑りにくくできますね。
ではなぜ融点を下げられるのか?仕組みを見ていきましょう。
6.融点が下がるメカニズム

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まず前提として、
液体の時:水分子の運動が激しいため、配列を保てません。
固体の時:水分子の運動があまり激しくないため配列を保っています。
当然、純粋な水は「水分子」ばかりの構成。温度が下がってくると、勝手につながっていき固体になります。縦横斜め、色んな経路で氷りついていけますね。
しかし不純物があると、どうでしょうか?周りの水分子の割合が減ります。
凍りつきたくても周りに繋がれる水分子が少ない状態。
凍りつかせるためには、通常より温度を下げて分子運動をおとなしくさせる=温度を下げる必要があります。このようにして、凍りつく時の温度、つまり融点が下がるのです。
雪を溶かす意義
氷は表面に「駒の役割をする水分子」が存在するため滑りやすいもの。
一方、液体の水は水分子同士くっつこうとしていて、氷のように「駒の役割をする水分子」はないため滑りにくい。
滑りやすい「氷」を、滑りにくい「液体の水」にすることで安全に通行できます。
融雪剤は氷に不純物を溶かして水を凍りつきにくくし、融点を下げるもの。雪や氷を溶かして、液体の水に変えられるのです。