タンパク質と生物体の機能理科生物

3分で簡単「チロキシン」!血糖値にかかわる超重要ホルモンを現役講師がわかりやすく解説!

君たちは「バセドウ病」や「橋本病」といった病気について聞いたことがあるだろうか?これらはいずれも、甲状腺から分泌されるホルモンの代表・チロキシンに関わるものだ。

今回は、ヒトのからだで重要な役割を果たすチロキシンというホルモンについて学んでいこう。生物のからだに詳しい現役講師のオノヅカユウを招いたぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

チロキシンとは?

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By Emeldir (talk) – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link

チロキシンは、私たちヒトではのどのあたりにある「甲状腺」という内分泌腺から分泌されるホルモンです。英語の読み方により近い「サイロキシン(Thyroxine)」という名称でよばれることもあるほか、化学物質の命名法にしたがった名称である「テトラヨードチロニン」の名前が使われることもあります。

「テトラヨードチロニン」の名前から推測することができますが、チロキシンは「チロニン」という物質に「ヨード=ヨウ素」が「テトラ=4つ」くっついてできている物質です。

甲状腺とは?

チロキシンが分泌される甲状腺は、のどぼとけのすぐ下あたりにあるちいさな器官。わずか15~20gほどの重さしかありませんが、私たちが健康に生きていく上ではなくてはならない器官です。よく「羽を広げたちょうちょのような形」と表現される形状をしています。縦の長さは4wp_前後です。

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実は、甲状腺が分泌するホルモンはチロキシンだけではありません。チロキシンによく似た「トリヨードサイロニン」や、血中のカルシウム濃度調節に関係する「カルシトニン」というホルモンも分泌されています。

トリヨードサイロニンとは?

トリヨードサイロニンはチロキシン(テトラヨードチロニン)と非常に良く似たホルモンです。前述の通り、チロキシンは『チロニンにヨウ素が4つ』という構造ですが、トリヨードサイロニンは『チロニンにヨウ素が3つ(=トリ)』という物質。たった1つのヨウ素の違いですが、細胞へのはたらきかけの強さはトリヨードサイロニンのほうが強く、少量でも効きやすいホルモンであることがわかっています。

甲状腺からはチロキシンのほうが多く分泌されますが、血流にのって全身をめぐるうちにヨウ素が1つとれ、トリヨードサイロニンに変換されるんです。ここから、『チロキシンはトリヨードサイロニンの前駆物質』ということもできます。

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1つのホルモンでも複数の呼び方があったり、似た名前のホルモンがあると混乱しやすいが、しっかりと覚えよう。

なお、チロキシンとトリヨードサイロニンは同じようなはたらきをし、甲状腺から分泌される代表的なホルモンであることから、両者をまとめて「甲状腺ホルモン」とよぶこともある。ウェブで検索すると『甲状腺ホルモンの病気』などと紹介されている場合があるが、これはチロキシンとトリヨードサイロニンの2つをまとめて指していると考えよう。

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