同じ物質でも温度(or圧力)を変えると、姿を変える。氷を温めると水になり、更に温めると蒸発して水蒸気に。

3つの姿は温度が低い順に固体、液体、気体。これらの違いは何でしょうか。固まっていたら固体、ドロドロ流れるのが液体、蒸発してしまえば気体?その違いは明確かい?

この記事では物質をミクロに観察しながら固体、液体、気体の違いを印象付けていこう!理系ライターR175と解説していくぞ!

ライター/R175

理科教員を目指すブロガー。前職で高温電気炉を扱っていた。その経験を活かし、教科書の内容と身近な現象を照らし合わせて分かりやすく解説する。

1.物質の三態

image by iStockphoto

固体、液体、気体の3つの状態をまとめて、「物質の三態」と呼びます。

巨視的に見れば、固体は体積も形状も維持、液体は体積を保つけど形状は維持しない、気体は体積も形も定まっていない状態。

固体の温度を上げていくと、だんだんトロっとしてきて液体になり、さらに温度を上げると蒸発して体積も定まらない気体の状態に。

物質の三態に関してざっくりとしたイメージはつきますね。この記事では、それぞれの状態の時の物質内部の様子をもう少し詳しく見ます。そうすることで、物質の三態への印象を強くしていきましょう。

image by Study-Z編集部

物質の3態(固体、液体、気体)の違いは表のようにまとめることができます。

image by Study-Z編集部

ほっとけば引き合う

基本的に原子同士、分子同士は(ある程度の距離までは)お互いくっつこうとするもの。お互いくっついて固体になります。

水の場合を見ましょう。酸素原子Oの周りにあと2個電子があったら非常に安定するもの。「この辺とこの辺に電子があったらいいのにな」といった状態。そこに水素原子Hの分の電子がやって来ます(当然水素原子も一緒に)。

H2Oの酸素原子O側は電子がいっぱい集まってくるため、電荷が-気味に、H側は電子があまりないので+気味に帯電しているもの。

水分子の中に+気味のところと-気味のところが存在。-気味のところに他の分子の+気味のところがくっつきますね。

無理やり離そうとエネルギーを加えない限り、原子同士くっつきます。固体の状態です。

分子の運動が激しいと、くっつききれないため「液体」や「気体」の状態になります。

2.固体

固体は原子の運動がおとなしい状態。1つ1つがあまり暴れていないわけです。原子同士はほっておけばお互い(ある程度の距離までは)くっついてしまうもの。

近付いて気体原子がいくつもつながって物質が出来ています。イラストのようなイメージです。

1つ1つの原子は多少運動していますが、隣の原子や分子と場所を入れ替わるほど運動は激しくありません。

固体でのルール:「お隣の分子や原子とは常に手をつないでなければならない」。順番交代は不可ですね。

ミクロに見て配列の順番が入れ替わらないということは、マクロに見て形状を保っている状態なのです。

2-1.融点

2-1.融点

image by Study-Z編集部

固体の温度を上げていく、つまり物質を構成する原子の運動を激しくして見ましょう。

運動が激しくない時はあまり動かなかった原子たちも運動が激しくなると、その場でじっとしていられません。となりの原子と順番を入れ替わったりし始め液体の状態になり始めます。

この時の温度が融点です。

原子の種類や元々の並び方によって、配列を入れ替えるのに必要なエネルギが決まっているもの。ちょっとのエネルギで配列を入れ替えられる物質もあれば、かなりのエネルギーを与えないと配列が乱れない物質もあります。

\次のページで「3.液体」を解説!/

image by Study-Z編集部

物質と融点

 

例えば水。0℃という温度に相当するだけ動かしてやれば配列が乱れ液体になります。

それに対し鉄は1538℃に相当するだけ運動させないと配列を乱せません。

このように(純粋な物質の)融点は原子配列で決まります。

3.液体

3.液体

image by Study-Z編集部

ある程度以上原子や分子の運動が激しくなると、配列が乱れ、隣の原子or分子と順番が入れ替われる状態になります。これが液体の状態。

お隣さんと場所交換するだけのエネルギは持っているが、原子や分子が単独でどこかに飛んでいくほどのエネルギはない状態。

液体でのルール:「原子同士順番入れ替えのために一瞬手を離すのはOKだけど、交代したらすぐに手をつなぎなおす」

なぜつなぎなおすのか?つないでいる方が安定だからです。

順番入れ替えOKということは形は変わりたい放題。しかし、みんなつながった状態なので体積は変わらないです。

液体のルールでなぜ一旦手を離した後つなぎなおすのか?端的に言うと、勝手に引っ付いてしまうからです。

液体状態では、原子運動でバラバラになろうとするエネルギーよりも分子や原子同士がくっつこうとするエネルギーの方が大きいからです。

水滴と水滴を並べるとくっついてしますね。あの現象と同じ理屈です。

3-1.沸点

物質の温度を上げて原子or分子の運動が激しくなると、最終的に1つ1つがバラバラになってしまいます。バラバラになり始める時の温度が沸点です。

原子or分子がバラバラになるときのエネルギ。これも原子や分子の種類、配列で決まります。融点と同じ理屈です。

昇華

原子や分子の順番入れ替えOK。うん?入れ替え可能にするならば、「そのまま1つ1つの原子や分子がバラバラになる」のでは。

それが昇華という現象。固体がいきなり気体になる現象です。1つ1つをバラバラにするだけのエネルギを与えないと配列を乱せないケースです。

\次のページで「4.気体」を解説!/

4.気体

4.気体

image by Study-Z編集部

物質三態の中で最も暴れている(原子や分子の運動が激しい)状態。

運動が激し過ぎるため、1つ1つが結合することができません。バラバラ状態。引き付け合う力より、離れていく力の方が大きいわけです。

1つ1つがバラバラ故に体積が定まっていません。ふわふわと散らばっているかもしれませんし、ぎゅっと圧縮されているかもしれません。

圧縮すると、激しく動いているモノ同士を狭い空間にいっぱい時込める状態に。すると押し合い圧し合いが激しくなり、圧力が高くなります。

物質の三態~温度別3つの姿~

温度、つまり原子や分子の運動の激しさによって3つの状態が存在

固体:最も低温=原子や分子の運動が少ないので、配列の入れ替わりが起きないから形状も体積も一定

液体:配列の入れ替わりは起こるが、原子や分子は結合したままの状態。原子や分子の配列が変わるため形状は変わるが、お互いつながったままなので体積は一定

気体:最も高温=原子や分子の運動が最も激しい状態。結合する力より離れていく力の方が大きく、1つ1つの原子や分子がバラバラの状態。配列はもちろん、原子や分子は皆フリーなため体積も不定。

" /> 物質の三態「固体 液体 気体」〜物質の3つの姿の違いを理系ライターがわかりやすく解説 – Study-Z
化学物質の状態・構成・変化理科

物質の三態「固体 液体 気体」〜物質の3つの姿の違いを理系ライターがわかりやすく解説


同じ物質でも温度(or圧力)を変えると、姿を変える。氷を温めると水になり、更に温めると蒸発して水蒸気に。

3つの姿は温度が低い順に固体、液体、気体。これらの違いは何でしょうか。固まっていたら固体、ドロドロ流れるのが液体、蒸発してしまえば気体?その違いは明確かい?

この記事では物質をミクロに観察しながら固体、液体、気体の違いを印象付けていこう!理系ライターR175と解説していくぞ!

ライター/R175

理科教員を目指すブロガー。前職で高温電気炉を扱っていた。その経験を活かし、教科書の内容と身近な現象を照らし合わせて分かりやすく解説する。

1.物質の三態

image by iStockphoto

固体、液体、気体の3つの状態をまとめて、「物質の三態」と呼びます。

巨視的に見れば、固体は体積も形状も維持、液体は体積を保つけど形状は維持しない、気体は体積も形も定まっていない状態。

固体の温度を上げていくと、だんだんトロっとしてきて液体になり、さらに温度を上げると蒸発して体積も定まらない気体の状態に。

物質の三態に関してざっくりとしたイメージはつきますね。この記事では、それぞれの状態の時の物質内部の様子をもう少し詳しく見ます。そうすることで、物質の三態への印象を強くしていきましょう。

image by Study-Z編集部

物質の3態(固体、液体、気体)の違いは表のようにまとめることができます。

image by Study-Z編集部

ほっとけば引き合う

基本的に原子同士、分子同士は(ある程度の距離までは)お互いくっつこうとするもの。お互いくっついて固体になります。

水の場合を見ましょう。酸素原子Oの周りにあと2個電子があったら非常に安定するもの。「この辺とこの辺に電子があったらいいのにな」といった状態。そこに水素原子Hの分の電子がやって来ます(当然水素原子も一緒に)。

H2Oの酸素原子O側は電子がいっぱい集まってくるため、電荷が-気味に、H側は電子があまりないので+気味に帯電しているもの。

水分子の中に+気味のところと-気味のところが存在。-気味のところに他の分子の+気味のところがくっつきますね。

無理やり離そうとエネルギーを加えない限り、原子同士くっつきます。固体の状態です。

分子の運動が激しいと、くっつききれないため「液体」や「気体」の状態になります。

2.固体

固体は原子の運動がおとなしい状態。1つ1つがあまり暴れていないわけです。原子同士はほっておけばお互い(ある程度の距離までは)くっついてしまうもの。

近付いて気体原子がいくつもつながって物質が出来ています。イラストのようなイメージです。

1つ1つの原子は多少運動していますが、隣の原子や分子と場所を入れ替わるほど運動は激しくありません。

固体でのルール:「お隣の分子や原子とは常に手をつないでなければならない」。順番交代は不可ですね。

ミクロに見て配列の順番が入れ替わらないということは、マクロに見て形状を保っている状態なのです。

2-1.融点

2-1.融点

image by Study-Z編集部

固体の温度を上げていく、つまり物質を構成する原子の運動を激しくして見ましょう。

運動が激しくない時はあまり動かなかった原子たちも運動が激しくなると、その場でじっとしていられません。となりの原子と順番を入れ替わったりし始め液体の状態になり始めます。

この時の温度が融点です。

原子の種類や元々の並び方によって、配列を入れ替えるのに必要なエネルギが決まっているもの。ちょっとのエネルギで配列を入れ替えられる物質もあれば、かなりのエネルギーを与えないと配列が乱れない物質もあります。

\次のページで「3.液体」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: