今回は望遠鏡の仕組みについて解説していきます。望遠鏡は星空の観察する際に使われる道具の一つです。宇宙に浮かぶ天体がどのような色や形をしているのか、つぶさに観察するためには必要不可欠と言える。

では、この望遠鏡はどのような仕組みになっているのか。ライターのひいらぎさんと一緒に解説していきます。

ライター/ひいらぎさん

10年以上にわたり素粒子の世界に携わり続けている理系ライター。中でもニュートリノに強い興味を持っており、その不思議な性質を日夜追いかけている。今回は望遠鏡の仕組みについてまとめた。

望遠鏡の基本

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望遠鏡は、遠くにある天体などを拡大して肉眼でも見える形にするものです。その歴史は古く、1609年にイタリアの天文学者であり物理学者、哲学者でもあるガリレオ・ガリレイが、自作した望遠鏡で天体観測を行いました。これが、望遠鏡による天体観測の始まり、と呼ばれています。ちなみに、1609年から400年後の2009年は世界天文年として定められ、様々なシンポジウムやイベントが行われました。

望遠鏡には主に二つの手法があります。屈折型望遠鏡と反射型望遠鏡です。具体的にどのような仕組みになっているのか、それぞれ見ていきましょう。

屈折型望遠鏡

屈折型望遠鏡は、二枚のレンズを用いて遠くにある天体などを拡大して観測します。天体に近い側にあるレンズを対物レンズ、目に近い方を接眼レンズと呼び、それぞれ担っている役割は次の通りです。

・対物レンズ:接眼レンズとの間に倒立実像を作ります。倒立実像とは、遠くにある物体がレンズを通り抜けて焦点を結んだ際に逆さまに映ったものです。

・接眼レンズ:対物レンズが作った倒立実像を拡大する「虫眼鏡」の役割をします。

さて、この屈折型望遠鏡の中でも、接眼レンズにどのようなレンズを使うかによって、「ケプラー式」「ガリレオ式」に種類が分かれているのですが、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

Kepschem.png
By Szőcs Tamás - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

ケプラー式は接眼レンズに凸レンズを用いる方式です。以下のような特徴があります。

\次のページで「反射型望遠鏡」を解説!/

・倍率をあげることが容易。

・対物レンズで作られた倒立実像をそのまま拡大するので、見える像が逆さまになる。

・一般に市販されている天体望遠鏡によく採用されている。

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ガリレオ式は接眼レンズに凹レンズを用います。特色は以下の通りです。

・高倍率、高視野を得ることが難しい。

・対物レンズに入ってきた光が焦点を結ぶ前に凹レンズ(接眼レンズ)に通すため、見える像が正立像となり、肉眼で見るものと同じようになる。

・一般的に天体望遠鏡に採用されることはないが、オペラグラスなどに利用されている。

反射型望遠鏡

Newton-Teleskop.svg
By I, ArtMechanic, CC 表示-継承 3.0, Link

屈折型望遠鏡では二枚のレンズを使いましたが、反射型望遠鏡と呼ばれるタイプでは、望遠鏡に入ってきた光を鏡で反射させ、それを接眼レンズで拡大します。反射型にも様々な方式がありますが、最も基本的なものはニュートン式と呼ばれるものです。

ニュートン式の反射型望遠鏡では、筒の片方の先が開放されていて、反対側には凹面鏡(主鏡と呼びます)が設置されています。入ってきた光はこの主鏡によって反射され、図のように焦点に向かって収束していくのがわかりますね。しかし、焦点の少し手前には副鏡と呼ばれる平面鏡が斜めに置かれており、これに光が反射され筒の外に出ていきます。そして、光の出ていく先にあるのは接眼レンズ。これによって拡大された像が見ることができるようになっています。

他の反射型望遠鏡でも、主鏡で反射・収束させた光を服鏡でさらに反射させることで筒の外に出し、接眼レンズで拡大するという原理はほぼ一緒です。

屈折型と反射型の比較

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ここでは、屈折型望遠鏡と反射型望遠鏡にはどのような利点があり、またどんな不利な面があるのかについて解説していきます。

\次のページで「屈折型望遠鏡のメリット・デメリット」を解説!/

屈折型望遠鏡のメリット・デメリット

まずは屈折型望遠鏡のメリットから見ていきましょう。

屈折型望遠鏡は定期的なメンテナンスが必要となる部分が少ないため、望遠鏡の初心者でも扱いやすいという点が挙げられます。次に、天体望遠鏡の向きと見る方向が同じであるため、観測したい天体を捉えやすいことも利点です。また反射型望遠鏡とは異なり、光路の上に遮るようなものがなく、視野全体に渡って歪みの少ない、高コントラストな像を見ることができます。

ではデメリットについては、どのようになっているのでしょうか。

屈折型望遠鏡の中でも最も大きな欠点は、色収差の問題です。色収差とは、レンズなどで像を作るときにレンズの材質による分散が原因で発生する歪みやボケで、像の色がズレるような形で現れるものになります。ここで分散というのは、レンズに用いられている材質の屈折率が光の波長によって異なることです。したがって、同じ位置に入ってきた光であっても、その波長によって曲がり方(屈折率の違いによる)が異なり、わずかにずれた位置に像を作ってしまうため、この色収差が発生してしまいます。

加えてよく言われるのが、同じレンズの大きさで屈折型と反射型を比べると、屈折型の方が大きくて重くなりがちだ、という点です。そのため、価格の面でも高くなる傾向があります。

反射型望遠鏡のメリット・デメリット

反射型望遠鏡のメリットには、主鏡の口径を大きくしても筒の長さは長くならないため、コンパクトにできるという点が挙げられます。これは光路を折り曲げるという反射型の特徴でもありますね。また反射型では問題になった色収差が、鏡を使っているため発生しません。さらに目的や用途に応じて様々なタイプの望遠鏡を作れることも反射型望遠鏡の利点です。

その一方でデメリットとしては、まずコマ収差の発生があります。コマ収差とは、光軸外の一点を光源とする光が像を作るときに一点に集束しないためにおきる収差のことです。これはレンズ(鏡)の真ん中を通る光と周辺部を通る光では、集束される位置がわずかに異なるために生じ、実際に起きると視野周辺部にできる像が、たなびく髪や彗星のように尾をひいて歪んで見えます。

反射型望遠鏡は筒の片側が開放されているため、筒の中の気流が乱れやすく、見える像が揺れることがあるのもデメリットの一つです。また調整を必要とする箇所が多く、初心者には扱いにくい面もあります。

望遠鏡を使えば、肉眼だけではわからない星空の別の面が見えてくる

望遠鏡はレンズや鏡といった、比較的身近な道具を組み合わせることによって作られたもので、その歴史は400年以上も前に遡ります。望遠鏡を使うことで手には届かない星の形や運動など、色々な側面を知ることができるようになりました。現在では、紹介したデメリット部分を可能な限り低減させる工夫を凝らした望遠鏡が登場しており、誰にでも星の様子をつぶさに観察することができるようになっています。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

望遠鏡はどのような仕組みになってるの?元理系大学教員がわかりやすく解説

今回は望遠鏡の仕組みについて解説していきます。望遠鏡は星空の観察する際に使われる道具の一つです。宇宙に浮かぶ天体がどのような色や形をしているのか、つぶさに観察するためには必要不可欠と言える。

では、この望遠鏡はどのような仕組みになっているのか。ライターのひいらぎさんと一緒に解説していきます。

ライター/ひいらぎさん

10年以上にわたり素粒子の世界に携わり続けている理系ライター。中でもニュートリノに強い興味を持っており、その不思議な性質を日夜追いかけている。今回は望遠鏡の仕組みについてまとめた。

望遠鏡の基本

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望遠鏡は、遠くにある天体などを拡大して肉眼でも見える形にするものです。その歴史は古く、1609年にイタリアの天文学者であり物理学者、哲学者でもあるガリレオ・ガリレイが、自作した望遠鏡で天体観測を行いました。これが、望遠鏡による天体観測の始まり、と呼ばれています。ちなみに、1609年から400年後の2009年は世界天文年として定められ、様々なシンポジウムやイベントが行われました。

望遠鏡には主に二つの手法があります。屈折型望遠鏡と反射型望遠鏡です。具体的にどのような仕組みになっているのか、それぞれ見ていきましょう。

屈折型望遠鏡

屈折型望遠鏡は、二枚のレンズを用いて遠くにある天体などを拡大して観測します。天体に近い側にあるレンズを対物レンズ、目に近い方を接眼レンズと呼び、それぞれ担っている役割は次の通りです。

・対物レンズ:接眼レンズとの間に倒立実像を作ります。倒立実像とは、遠くにある物体がレンズを通り抜けて焦点を結んだ際に逆さまに映ったものです。

・接眼レンズ:対物レンズが作った倒立実像を拡大する「虫眼鏡」の役割をします。

さて、この屈折型望遠鏡の中でも、接眼レンズにどのようなレンズを使うかによって、「ケプラー式」「ガリレオ式」に種類が分かれているのですが、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

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ケプラー式は接眼レンズに凸レンズを用いる方式です。以下のような特徴があります。

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