

この悲劇の大公について、ハプスブルグ家には昔から興味を持っていたというあんじぇりかと一緒に解説していくぞ。
- 1-1、フランツ・ヨーゼフ皇帝の弟の息子として誕生
- 1-2、ハプスブルグ家男子として軍隊に入隊
- 1-3、フランツ・フェルディナンド大公の父が皇位継承者に
- 1-4、世界一周の旅に出る
- 1-5、結核で療養
- 2-1、フランツ・フェルディナンド大公、恋愛問題
- 2-2、フランツ・フェルディナントとゾフィーの結婚
- 2-3、フランツ・ヨーゼフ皇帝と意見を異にし、宮廷内でも孤立
- 3-1、サラエボ訪問で暗殺される
- 3-2、ウィーンでの反応は冷たかった
- 3-3、夫妻の葬儀の行方
- 4、フランツ・フェルディナンド大公の逸話
- 大の狩猟好き
- 明治期の日本に旅行
- 貴賤結婚は幸せだったが、暗殺に向かった人生だったかも
この記事の目次

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/あんじぇりか
子供の頃から歴史の本や伝記ばかり読みあさり、なかでも女性史と外国人から見た日本にことのほか興味を持っている。昔からハプスブルグ家が大好き、例によって昔読んだ本の数々を引っ張り出しネットで調べまくって、フランツ・フェルディナンド大公について5分でわかるようにまとめた。
1-1、フランツ・ヨーゼフ皇帝の弟の息子として誕生
By Ferdinand Schmutzer – Österreichische Nationalbibliothek, Bildarchiv Austria, Inventarnr. LSCH 0029-C, パブリック・ドメイン, Link
フランツ・フェルディナンド大公は、1863年、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の下の弟、カール・ルートヴィヒ大公と、2番目の妃である両シチリア王フェルディナンド2世の長女マリア・アンヌンツィアータの長男として、グラーツで誕生。弟が2人、妹が1人、父の3番目の妃マリア・テレサとの間に生まれた異母妹が2人います。1875年に従兄のフランチェスコ5世(フランツ1世皇帝の孫)が死去し、オーストリア=エステ大公(ハプスブルグ家の分家)を継承。
1-2、ハプスブルグ家男子として軍隊に入隊
フランツ・フェルディナンド大公は、1877年にオーストリア=ハンガリー帝国軍に入隊して中尉になり、その後、皇族として順当な昇進を続け、1885年に大尉、1890年に大佐、1894年に少将に昇進。フランツ・フェルディナントは指揮官としての教練は受けなかったものの司令官の適性を認められて第9騎兵連隊長に任命。そして特定の部隊に所属せず指揮権を持たなくても軍事機密を閲覧することができたので、1913年、高齢のフランツ・ヨーゼフ皇帝に代わって全軍監察官に就任し軍権を掌握しました。
1-3、フランツ・フェルディナンド大公の父が皇位継承者に
フランツ・フェルディナンド大公26歳のとき、1889年1月、フランツ・ヨーゼフ皇帝の一人息子で従兄のルドルフ皇太子がマリー・フォン・ヴェッツェラと共に情死(暗殺説もあり)。ルドルフ皇太子には女子しかおらず、フランツ・ヨーゼフ皇帝には他に男子がいなかったので、皇帝の弟であるフランツ・フェルディナンド大公の父、カール・ルートヴィヒが皇位継承者に。
1-4、世界一周の旅に出る
この頃のヨーロッパの王族は、若いときには海軍に入ったりして世界旅行へ行くことで見聞を広めるのが流行っていました。
明治時代の日本にも、イギリスのヴィクトリア女王の直系の孫たち、ロシアのニコライ皇太子などが訪問、フランツ・フェルディナンド大公も日本旅行をして旅行記を書いています。
ということで、フランツ・フェルディナンド大公は1892年から約1年間、世界一周の見聞旅行へ。当時のイギリス領インド帝国から、オーストラリア大陸ではカンガルーやエミュー狩りを。そして南太平洋のヌメア、ニューヘブリディーズ諸島、ソロモン諸島、ニューギニア諸島、サラワク、香港、そして大日本帝国とまわりました。横浜から太平洋を横断、カナダのバンクーバーに到着後、アメリカ合衆国を訪れて帰国。
1-5、結核で療養
1895年、フランツ・フェルディナント大公は結核の疑いがあると診断されたので、軍隊の旅団長を辞めることをフランツ・ヨーゼフ1世に申請。なので皇位継承者には、フランツ・フェルディナンド大公の弟、オットー・フランツ大公が選ばれるであろうと憶測されるも、南チロルのメラーノで療養につとめた結果、約1年半で健康を回復。1896年に父カール・ルートヴィヒが腸チフスで死去すると、フランツ・フェルディナント大公がフランツ・ヨーゼフ1世の皇位継承者に。
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