ケプラーは師匠のティコ・ブラーエの残した膨大な観測資料をもとに研究を続け、ついにケプラーの3法則といわれる三つの法則を発見したんです。この法則は後のニュートンの運動の法則につながる重要なものなのです。この面積速度について物理系ライターのタッケさんと解説します。
ライター/タッケ
物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。面積速度一定の法則は知っていれば、いろいろなところで案外役に立つ。今回はケプラーの法則から面積速度についてまとめた。
ケプラーとは?
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ヨハネス・ケプラーという人を知っていますか?
ドイツの天文学者です。(1571年12月27日 – 1630年11月15日 )
世に言う「ケプラーの法則」を発見した人ですね。
ケプラー自身は、師のティコブラーエの残した膨大な天文観測データを整理して、この偉大な法則を見つけたとされています。
ケプラーは天文学、物理学、数学、哲学に秀でていました。
また、占星術にも詳しかったようですが、科学者でありながら占いとは当時の世相を示していて面白いですね。
当時の天文学ではキリスト教的世界観の影響を強く受けており、
「神が作りたもうた我が地球は宇宙の中心に位置する」
「地球の周りを太陽や他の惑星が周回する」
「惑星などの軌道は美しい完全な円である」
などと信じられていました。
当時、そういった宗教観に反対する科学を広めることはかなり身の危険を伴ったに違いありません。
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事実、地動説を唱えたガリレオは宗教裁判にかけられています。
このガリレオの宗教裁判が誤りであったと、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は20世紀終わりになって公式に認め、ガリレオに謝罪しました。
ガリレオの死後実に350年という時間がかかったのです。
ガリレオは天国でどう思ったでしょうか?
ケプラーの法則
1 惑星は太陽を楕円の一つの焦点を中心として回転している
2 惑星と太陽との動径が単位時間に通過する面積は一定である← 面積速度一定の法則
3 惑星の公転周期の2乗は、楕円の長半径の3乗に比例している
今回はこの第2法則である面積速度一定の法則についてお話しましょう。
動径とは
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動径とは図で示される太陽と惑星を結ぶ線分を意味します。文字通り「動径」=「動く半径」です。動径は刻々と変化していきますね。
また、地球が公転する軌道は楕円軌道であり、太陽は楕円の二つある焦点の一つにあります。しかし、他の焦点には何もありません。
惑星はこの太陽からの引力(万有引力)を受けて、太陽の周りの楕円軌道を周回します。
惑星はこの楕円軌道上をその速さを変化させながら運動することになるのですが、その運動の様子が、上で述べたような条件(面積速度一定)を満足するのです。
すなわち、面積速度一定の法則とは、上図において惑星が太陽の周りの楕円軌道を周回するとき、同じ時間では図における青で示された二つの扇の面積が等しいということになります。下図
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面積速度の式
この面積速度は次の式で示すことができます。
動径長さ r 、惑星の速さ ⅴ 、動径と速度がなす角度の大きさを θ 、としましょう。
そうすると図の三角形の面積が面積速度を表しています。
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三角形の面積の式から図の三角形の面積を求めると、
底辺 × 高さ ÷ 2 = r × (v sinθ) ÷ 2
すなわち、
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となります。
面積速度一定の法則では、これが常に一定なわけですから、
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