タンパク質と生物体の機能理科生物

3分で簡単にわかる!「バソプレシン」ってどんなホルモン?作用と働きを現役講師がわかりやすく解説!

バソプレシンのはたらきは?

それでは、バソプレシンが分泌されるとどんなはたらきをするのかを見ていきましょう。バソプレシンのはたらきで重要なものは主に2つです。

1.抗利尿作用
2.血圧上昇

バソプレシンの抗利尿作用

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夏の暑さでのどがカラカラ、でも水が飲めないようなとき…皆さんは尿の量が減ったり、尿の色が濃くなるのに気づいたことはありますか?体は水分を少しでも貯めようと、尿として排出されるはずだった水分の再吸収を促進します。これを引き起こしているのがバソプレシンなんです。

腎臓では、血液がろ過されて尿をつくっています。その過程で、からだにとって必要な水や糖などの栄養は「腎細管(細尿管)」という管を通過中に再吸収され、過剰な水や塩分、老廃物などが尿として排泄されるのです。脳下垂体後葉から分泌されたバソプレシンが血流にのって腎細管の受容体へ到達すると、腎細管での水の再吸収量が増え、尿の量が濃く、少なくなります。

このはたらきのため、バソプレシンは抗利尿ホルモンとよばれることもあるんです。

バソプレシンの血圧上昇作用

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バソプレシンにはもう一つ、忘れてはならないはたらきがあります。それは、血圧を上昇させる効果です。

バソプレシンは、腎細管の受容体に結合して水の再吸収を促進するだけでなく、血管にある受容体にも結合し、血管の筋肉を収縮させます。血管が収縮することで、血圧が上昇。さらに、腎臓での水の再吸収が促進され血液量が相対的に増えることも、血圧上昇の一因になっているでしょう。

そもそも、バソプレシンの名前の由来は「管(Vaso)」+「圧迫(Press)」+「in」から。バソプレシンのはたらきをよく示した名前といえるでしょう。

このバソプレシンの血圧上昇の効果を利用したのが、心停止時にバソプレシンを投与する治療法です。心臓が止まってしまっても、血管を収縮させ血流を生み出すことで、脳や心臓へ血液を送ることができます。昔はアドレナリンを投与して血圧を上昇させていましたが、現在はバソプレシンの方が生存率が高いことが知られているんです。

バソプレシンの分泌異常でもたらされる病気

バソプレシンの代表的なはたらきがわかりましたか?最後に、バソプレシンの分泌が多すぎたり、少なすぎたりすることで起きる病気をご紹介しましょう。

1.抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)

バソプレシンの分泌量が何らかの原因で多くなりすぎる、もしくは腎細管のバソプレシン受容体の感受性が高まると生じるのが、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)という病気。通常よりもバソプレシンが強くはたらくことで、腎細管での水の再吸収量が増えます。このため、血液が正常な状態よりも薄くなり、血中のナトリウムの濃度が低下。疲れやすくなったり、頭痛がしたり、ひどいと痙攣などの症状へつながる可能性があります。

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群は、脳卒中などの脳の病気や、肺がん、肺結核などの肺の病気の合併症で現れることがほとんどです。

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