民衆を革命に導くロジカルな新芸術を確立
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帝政ロシア時代の耽美的な芸術に代わり、民衆を革命に導く扇動的な芸術が代わり台頭。貴族ではなく労働者の芸術として発展しました。また、社会主義の基礎となるマルクス主義のロジックが芸術分野に取り入れられたことも大きな特徴です。
マルクスの唯物論的歴史観を表現する芸術を推奨
ロシア革命はボリシェビキによるクーデーターに近いもの。それと同時にしっかりと理論武装された知的な革命でもありました。革命の中心人物たちが重視したがのマルクスの唯物論的歴史観。人間社会には、あらかじめ決まった発展の法則があるとする考えです。
シンプルに表現すると、AとBのあいだに矛盾が生じると2つは衝突。それにより新しい段階である Cが生まれます。この「弁証法」と呼ばれるプロセスを繰り返していくと、限界がきたときに革命が発生。この法則を芸術上で表現するプロパガンダが展開されました。
「戦艦ポチョムキン」は革命までの道のりを視覚的に表現
ロシア革命の法則を表している名作が「戦艦ポチョムキン」(1925)です。監督はセルゲイ・エイゼンシュテイン。1905年に起きた戦艦ポチョムキンの反乱から血の日曜日事件に至るまでの、人々が革命意識に目覚めるまでのプロセスが表現されました。
最も有名なのが「オデッサの階段」というシーン。虐殺された子供を抱いて泣く母親、無慈悲に銃を向ける兵士、赤ちゃんを乗せて転がり落ちる乳母車、メガネが割れた女性の叫びなどのショットがスピーディーに反復。革命意識がわきあがる過程をあらわしました。
「ロシア革命」が生んだ芸術は今でも輝きをはなっている
「ロシア革命」によりソビエト連邦が樹立。社会主義を基礎とする政治体制は1991年まで続きます。クーデータ等により混乱したソビエト連邦は、最終的に諸国が連邦を離脱することにより幕を下ろすことに。最後の大統領はミハエル・ゴルバチョフでした。ソビエト連邦は崩壊するものの、ロシア革命に関連する芸術はいまでも人気が高く、日本でもたびたび展覧会や映画上映会が開催されています。機会があったらぜひ参加してみてはどうでしょうか。ロシア革命が残した文化的遺産のパワーを実感できるでしょう。