角運動量保存則について理系ライターのタッケさんと一緒に解説してゆくぞ!
ライター/タッケ
物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。今回は角運動量保存則について考えてみた。簡単にできるので、椅子を回転させる実験をぜひやってみてもらいたい。
等加速度運動
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等加速度運動とは、加速度が一定の運動です。加速度は大きさと向きをあわせもつ量ですから、これらが一定ということはまっすぐにだんだん速くなる(遅くなる)運動となります。
ニュートン運動の第2法則は、ma = F で示されるものですがこのときの m が質量で慣性の大きさを示すのでしたね。つまり、m が大きいと加速が鈍く、小さいと加速しやすいということです。
これを回転運動で考えると、やはり質量 m が大きいと回転しにくいと考えられそうですね。ただし、回転運動の場合は回転半径という、もう一つの物理量が回転のしやすさやしにくさに関係するはずです。
ちょっと想像してください。バットをスイングします。重いバットほど振り難くなりますね。
でも、もしバットと同じ重さの物干し竿があったとすると、物干し竿を振り回すほうが大変そうです。
つまり、回転運動においてはの回転のし難さというのは、回転物体の質量と回転半径の両方に関係するということになります。
角運動量を考える
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運動量を覚えていますか?
運動量は 質量☓速度 すなわち、mv で示される量です。
いま、簡単のため回転が円である場合を考えましょう。
運動量 mv に回転半径 r をかけることにします。
そうすると、
mvr となりますね。
これが角運動量と言われているものです。
回転半径 r が大きくなると mvr も当然大きくなります。
もうすこし詳しく言うと mvr・sinθ です。
この θ は、半径 r と速度 v のなす角になります。
円運動の場合は θ=90° なので sinθ=1 ですね。
角運動量保存法則とは、回転する物体の 質量☓速度☓半径 の値が回転中にいつもおなじになることを言います。
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数式がだめという方は読み飛ばしてください。
ベクトル積という手法を使い、式中の ☓ はベクトル積を示しています。
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