今回は水溶液について勉強していこう。

水溶液という言葉は何度も聞いたことがあるよな。その水溶液をもっと深く知るうえで大切なのが「溶液 溶媒 溶質」への理解です。

難しく考える必要はない。塩水を例にとって、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.溶液と水溶液は違うの?

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そもそも水溶液とはどんなものでしょうか。

酸性・アルカリ性の単元でも何度となく出てくる水溶液という言葉ですが、これは「をベースにした溶液」という意味が含まれています。

水溶液:ある物質を水に溶解させた液。

広辞苑より引用

アンモニア水や薄い塩酸など、アンモニアや塩酸を水に溶かすことで作られた溶液水溶液というのです。

○○水溶液、○○水という言い方をするものは物質が水に溶けているということがわかりますね。薄い○○というものは、安全面や反応への影響を考慮したうえで水で薄めて使用するものですから、これも水溶液ということができますよ。

1-1.溶液:何かが溶けている液体

水溶液は水に何らかの物質が溶けているものでしたね。

一方で溶液の場合、ベースとなる液体は水でなくても構いません。消毒液やお酒に含まれるようなアルコール、マニキュアの除光液の成分であるアセトンなどがその例です。

\次のページで「2.溶媒:物質を溶かしている液体」を解説!/

溶液:液体状態の均一な混合物。

一つの液体に他の物質(固体・液体または気体)が溶解して溶液ができたと考えるとき、もとの液体を溶媒、溶解した物質を溶質という。

広辞苑より引用

溶かす物質の状態は固体・液体・気体のいずれであっても、ある液体に溶かし、しっかりと混ざり合った状態になったものを溶液といいます。

水溶液と溶液の違いは、ベースとなる液体が水かそうではないかということなのです。

2つの違いがわかったところで、溶液の説明にも出てくる「溶媒」と「溶質」についても見ていこう。

2.溶媒:物質を溶かしている液体

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まずは溶媒について解説していきましょう。一言でいえば、溶媒はベースとなる液体そのものです。

溶液の説明で、ベースとなるものは水だけでなく、アルコールやアセトンといった液体があると説明しましたね。まさにこの水・アルコール・アセトン溶媒なのです。

溶媒の媒という漢字には、関係をとりもつという意味があります。つまり、物質が溶けるため、溶液を作るための手助けをする役割としての意味があるのです。

2-1.溶媒によって物質の溶けやすさが変わる

理科の授業で用いる溶液は水が溶媒になった水溶液が多いですよね。水は最も手に入れやすく、取り扱いが楽な溶媒なため、様々な溶液で溶媒として使われます。しかし、溶ける物質と溶媒には相性があるのです。

例えば、油は水にはとけませんがアセトンにはよく溶けます。塩化ナトリウムは水によく溶けますが、メタノールには溶けません。このようにどの溶媒にどんな物質を溶かすのか、溶液作りには相性が重要なのです。

\次のページで「3.溶質:溶液の中に溶けている物質」を解説!/

3.溶質:溶液の中に溶けている物質

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そして最後に解説するのが溶質です。これは溶液の中に溶けている物質のことで、○○水溶液○○水薄い○○の「○○」の部分に相当する物質を指します。

溶液の性質を決めるのは溶質です。ただの水に塩酸が加わるとpHは酸性に変化し、水酸化ナトリウムが加わるとアルカリ性の水溶液に変化しますね。塩化ナトリウムは中性物質なのでpHに変化は見られませんが、塩味を呈し、電気を通しやすくするという変化を起こします。

このように、溶質から溶液の特徴を推測したり証明したりすることができるのです。

3-1.溶液の性質から溶質を推測

溶質から溶液の特徴がわかるのであれば、その反対もできる気がしませんか?

例えば、溶媒が水だとわかっていれば、酸性・アルカリ性の変化は溶質によるもののはずです。がついていたり、香りがついていることもあるでしょう。

こういった1つ1つの性質を調べていくことで、溶質を特定することもできるようになるのです。

4.具体例で「溶液 溶媒 溶質」を考える

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それでは実際の溶液を例にして、溶液・溶媒・溶質への理解を深めていきましょう。たくさんの例を挙げていくうちに自然と考え方が身についていきますよ。

何が(溶質) 何に溶けて(溶媒) 何になったか?(溶液)

これに加えて どうなったか?(溶液の性質) を考えてみよう!

セットで覚えればテストでも安心だ!

\次のページで「4-1.演習問題にチャレンジ」を解説!/

4-1.演習問題にチャレンジ

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頻出問題で回答のコツを掴めばテストでもすんなりと解けるようになります。まずは下記の問題に挑戦してみましょう。

(1)塩を水に溶かしたとき、溶液・溶媒・溶質は何になるでしょうか。さらに、その溶媒の性質を1つ挙げてみましょう。

同様に、(2)砂糖を水に溶かした場合、(3)二酸化炭素を水に溶かした場合についても答えなさい。

答え:

(1)塩を水に溶かした場合

溶液:塩水 溶媒:水 溶質:塩

性質:舐めるとしょっぱい、電気を通しやすくなる など

 

(2)砂糖を水に溶かした場合

溶液:砂糖水 溶媒:水 溶質:砂糖

性質:舐めると甘い、ベネジクト液を加えて加熱すると赤かっ色の沈殿ができる など

 

(3)二酸化炭素を水に溶かした場合

溶液:炭酸水 溶媒:水 溶質:二酸化炭素

性質:振ると泡が出る、石灰水と混ぜると白く濁る など

ここで必要になってくるのが、やはり試薬を使った溶液の性質の見極めです。

(1)(2)のように、あらかじめ口に入れても大丈夫だとわかっているものであれば問題ありませんが、全ての溶液がそうだとは限りませんよね。理科室のビーカーがきれいかどうかも怪しいと思いませんか…?

だからこそ、直接触ったり舐めたりする以外での見極め方法として、試薬を使うことを覚えておくといいですね。

漢字が覚えるときのヒントになる!

最後におさらいをしてみましょう。

何かの物質がけている体を溶液いいます。このけている物溶質です。さらに、物質をかして溶液を作るための手助け役(介役)となるのが溶質となります。さらに溶媒が水の溶液を水溶液というのです。

が何に溶けて何になったの?と考えるのが簡単でしょう。例えば、塩(溶質)が水(溶媒)に溶けて塩水(溶液)になったと考えたらいかがでしょうか。

語呂のいい言葉や例を使えば、ただの暗記も楽しくなりそうですね。

" /> 「溶液 溶媒 溶質」は何が違う?水溶液の基本ワードを元塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
化学物質の状態・構成・変化理科

「溶液 溶媒 溶質」は何が違う?水溶液の基本ワードを元塾講師がわかりやすく解説

今回は水溶液について勉強していこう。

水溶液という言葉は何度も聞いたことがあるよな。その水溶液をもっと深く知るうえで大切なのが「溶液 溶媒 溶質」への理解です。

難しく考える必要はない。塩水を例にとって、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.溶液と水溶液は違うの?

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そもそも水溶液とはどんなものでしょうか。

酸性・アルカリ性の単元でも何度となく出てくる水溶液という言葉ですが、これは「をベースにした溶液」という意味が含まれています。

水溶液:ある物質を水に溶解させた液。

広辞苑より引用

アンモニア水や薄い塩酸など、アンモニアや塩酸を水に溶かすことで作られた溶液水溶液というのです。

○○水溶液、○○水という言い方をするものは物質が水に溶けているということがわかりますね。薄い○○というものは、安全面や反応への影響を考慮したうえで水で薄めて使用するものですから、これも水溶液ということができますよ。

1-1.溶液:何かが溶けている液体

水溶液は水に何らかの物質が溶けているものでしたね。

一方で溶液の場合、ベースとなる液体は水でなくても構いません。消毒液やお酒に含まれるようなアルコール、マニキュアの除光液の成分であるアセトンなどがその例です。

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