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スペイン王カルロス1世と神聖ローマ皇帝「カール5世」は同一人物!?戦争に明け暮れた彼の生涯を歴女が5分でわかりやすく解説!

よぉ、桜木建二だ。今回はカール5世について解説していくぞ。カール5世はハプスブルク家出身で、ヨーロッパの3分の2もの領土を支配した王で神聖ローマ皇帝にも選出されたんだ。そのため70もの肩書があった人物として有名だよな。だがカール5世の治世は隣国フランスや異教徒オスマン帝国との戦い、そして神聖ローマ帝国内では異端との戦いの連続だったんだ。

それじゃあ、ここからはハプスブルク家に詳しいまぁこと一緒に見ていくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/まぁこ

ヨーロッパ史が好きなアラサー女子。ヨーロッパの絵画が好きで関連した本を読み漁っている。特にハプスブルク家に興味があり、今回はハプスブルク家随一の領土を支配したカール5世について解説していく。

1 カール5世とカルロス1世は同一人物!?

image by iStockphoto

カール5世は1500年に現在のベルギーに生まれました。ハプスブルク家至上、最も広大な領土を手にしたカール5世。そしてカルロス1世としてスペインを支配し、カール5世として神聖ローマ皇帝となった人物として有名ですよね。名前が違いますが、同一人物。この章ではカールや彼の家族について解説していきます。

1-1 70もの肩書を持つ男

カール5世とは、世界史至上最も肩書の多い皇帝です。彼は父フィリップ美公の領土、フランドル(現在のベルギー)で生まれました。フィリップ美公はカールが幼い時に死去。母フアナは精神的に不安定となり、カールはハプスブルク家で引き取られることに。そして16歳となった時に、母方の祖父フェルナンドが亡くなったためスペインを継承します。カールはこれまでフランドルで暮らしていたため、初めてのスペインでした。ちなみにそこで初めて2歳下の弟、フェルディナント1世に会うことに。

1-2 プラディーリャ「狂女フアナ」

カール5世の母フアナと言えば、フランシスコ・プラディーリャ描く「狂女フアナ」が有名ですよね。この絵では、フィリップ美公が亡くなり、未亡人となったフアナがスペイン中を棺とお供を連れ彷徨っているシーン。真ん中の喪服の女性がフアナ。周りの従者たちが疲れ切っている中、両目を見開きじっと棺を見つめています。棺には双頭の鷲が描かれており、この紋章はハプスブルク家のもの。愛するフィリップ美公が眠っています。彼女のお腹に注目すると膨らみがあり、妊娠していることが分かりますね。フィリップ美公とは政略結婚だったフアナでしたが、関係が良好だったのが伺えます。しかしそんな夫が夏に亡くなり、彼女は精神的に不安定となって半年間も国内を彷徨っているのです。とても悲劇的ですね。ちなみにフアナは実の父に幽閉され、カールが退位する前年に亡くなりました。

1-3 ハプスブルクの遺伝

ハプスブルク家と言えば、有名なのが遺伝ですよね。とりわけカール5世は遺伝が強く表れていました。彼の顎はとても大きく、噛み合わせがとても悪かったため常に口が開いていたというエピソードが残っています。

1-4 当時のファッション

カール5世の時代の男性のファッションにコードピースがあります。これはもともと戦争で兵士が股間を保護するために付けていたもの。これがかっこいいとなり、当時の男性に流行することに。カール5世をはじめ、同時代人には離婚問題で揺れたヘンリー8世、息子のフェリペ2世などがコードピースを付けた肖像画が残されています。現代人の感覚だと少し勇気のいるファッションですね。

1-5 フアン・デ・アウストリア

カール5世には有名な庶子がいます。フアン・デ・アウストリアです。彼はカールと町娘バルバラの息子。フェリペ2世の異母兄弟のフアン・デ・アウストリアは、後に軍人となりレパントの海戦で総司令官として活躍します。そしてネーデルラント総督になりますが、病死。遺体はエル・エスコリアル修道院へ埋葬されることに。ちなみにカールの庶子はフアンの他にパルマ公へ嫁いだマルガレーテ王女も。

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