決め手はただ1つ。「物質と電気抵抗」を理系ライターがわかりやすく解説
実は銅やアルミといった金属だけじゃなく、世の中の物質全てが電気を流すことが出来るんです。例えば、雷が落ちる現象。あれは電流が流れにくい「空気」に大きな電圧がかかって無理やり流れてしまう現象。
電流が流れるとは言っても、物質の構造によって電気が流れやすはまちまち。そのあたりの理屈を理系ライターR175と解説していくぞ!
ライター/R175
理科教員を目指すブロガー。前職で高温電気炉を扱っていた。その経験を活かし、教科書の内容と実際の現象を照らし合わせて分かりやすく解説する。
1.電気の流れやすさの決め手
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電流の流れやすさ(電気抵抗)と言えば、オームの法則。
電圧=電流x電気抵抗で表されますね。
電気抵抗が低い→あまり電圧をかけなくても電流が流れる、つまり電流が流れやすい状態。
電気抵抗が高い→少しの電流を流すのにも、大きな電圧が必要。つまり電流が流れにくい状態。
この電流の流れやすさの決め手は、物質の「電荷の配置」。
物質を構成する原子は、+電荷の原子核と-電荷の電子から成ります。この電荷の位置取りこそ電気の流れやすさの決め手なのです。
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2.実は全ての物質が電気を流す?
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さて質問です。
電流を流すことが出来る物質はどんな物質でしょうか?
銅、アルミ、鉄、金属類とか黒鉛等いわゆる「導電体」と呼ばれる電気抵抗値が低い物質は電気を流しますね。
あと、最近よく耳にする半導体。これは電流を流したいときに流すためのもの。導電体より少し電気抵抗値が高いです。電流を流したいときは電圧を高めにかけて電流を流し、流したくないときは電圧を低くして電流を流さないようにします。そういう制御をして、電流が流れてほしい時だけ流すのが半導体。
最後に不導体。空気も電気抵抗が非常に高く不導体の1つと言えます。この空気中を雷が走る現象は、「不導体である空気に電流が流れている」ことになりますよね。雷は大きな電圧(パワー)を持っているため、少々電流が流れにくい物体(例えば空気)にも無理やり電流を流してしまいます。
電圧次第ではありますが、「導体」、「半導体」、「不導体」全て、電流を流すことが可能。なぜそんなことが可能なのか?答えは、物質内での電荷の配置にあります。
電流が流れる条件
不導体も電流を流すことが可能ですが、低い電圧の場合やはり電流は流れません。ある一定以上の電圧(パワー)が必要です。
2-1.物質の構成要素
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電流の流れ方を見る前にまず、物質の構成要素を見ていきます。物質を拡大していくと最終的に何と何で構成されているでしょうか。その何かと何かが電流を流す役割を担っているのです。
身近な物質の例として、木材を拡大して見てみましょう。木材の主成分はセルロース、イラスト示すような構造ですね。
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