

それじゃ、「ゴールド・ラッシュ」が沸き起こった経緯とその影響について、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。
- 「ゴールド・ラッシュ」はアメリカの移民構成を刷新した
- 1848年の金鉱発見をきっかけに火がつく
- 世界中から一獲千金を狙った人々が殺到
- 「ゴールド・ラッシュ」期のカリフォルニアはアメリカではなかった
- スペインと争っていたメキシコの一部であったカリフォルニア
- 米墨戦争の末にアメリカの州に組み込まれる
- 金の採掘技術を高めるきっかけになった「ゴールド・ラッシュ」
- ほそぼそと砂金採取をするが大部分が破産
- 水圧採掘法の導入により企業が参戦
- 「ゴールド・ラッシュ」により世界をつなぐ交通網が充実
- パナマとサンフランシスコの交通手段が確立
- 金を掘り当てて得た資金をもとに大陸横断鉄道が完成
- はげしい人種差別を引き起こした「ゴールド・ラッシュ」
- 金を採掘するために先住民の命を奪う
- 移民を排除するために独自の法律や税制をつくる
- 「ゴールド・ラッシュ」はアメリカン・ドリームのあり方を変えた
- アメリカン・ドリームは地道に富を築くことの大切さを説く
- 一獲千金を狙うのがカリフォルニア・ドリーム
- 「ゴールド・ラッシュ」は負の影響も大きかったカリフォルニアの混乱期
この記事の目次

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ひこすけ
文化系の授業を担当していた元大学教員。専門はアメリカ史・文化史。アメリカ形成過程を見ていくとき「ゴールド・ラッシュ」を避けて通ることはできない。「ゴールド・ラッシュ」はアメリカ西海岸を世界を代表する地域に押し上げた現象。そこで、「ゴールド・ラッシュ」をキーワードに、その経緯と影響を解説していく。
「ゴールド・ラッシュ」はアメリカの移民構成を刷新した

カリフォルニアを舞台に金をめぐって白熱したゴールド・ラッシュ。金鉱を掘り当てたら巨額の富を得られると、アメリカ国内のみならず南アメリカ、ヨーロッパ、アジアから採掘を狙う人々が入国しました。
1848年の金鉱発見をきっかけに火がつく
はじめてカリフォルニアで金鉱をみつけたのがジェームズ・ウィルソン・マーシャル。工場の水を排出するために溝を掘っていたところ、純度の高い金を見つけました。それが1848年の1月24日です。
アメリカ国内にいた人々がカリフォルニアに向かったピークが1849年。金を掘り当てるために西へ向かう人々は「フォーティナイナーズ」と総称されました。その1年だけで8万人の人々がカリフォルニア入りしたと言われています。
世界中から一獲千金を狙った人々が殺到
当時のカリフォルニアはほとんど開拓されていない状態。たくさんの採掘者が来ても、彼ら・彼女らが生活するための基本的なライフラインはありませんでした。また、急激な人口増加により深刻な食料不足に陥って物価が高騰します。
また、老人や子供を含む家族で移住する人も多かったゴールド・ラッシュ。カリフォルニアに到着するまえに事故、病気、飢餓などで亡くなる人も多かったようです。カリフォルニアは命を危険にさらしてまで一獲千金を狙う人々で熱気を帯びていきました。

このときヨーロッパから渡ってきた移民にはワインの知識を持った人が多かった。そのためカリフォルニアで農園をひらき、ワインを造り始める人も出現。それがカリフォルニア・ワインのはじまりだ。飲みやすいワインで俺は好きだな。
「ゴールド・ラッシュ」期のカリフォルニアはアメリカではなかった
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ゴールド・ラッシュはアメリカ史の重要な出来事のひとつですが、実はもともとカリフォルニア周辺は「州」になっていませんでした。その当初はメキシコの一部のような扱いで、スペイン統治の影響も。そのため英語を話さない人がたくさん住んでいました。
スペインと争っていたメキシコの一部であったカリフォルニア
カリフォルニアはメキシコの「アルタ・カリフォルニア」の一部でした。現在のカリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州、アリゾナ州の北部、ワイオミング州の南西部を包括する広大なエリアのが、当時のアルタ・カリフォルニアです。
アルタ・カリフォルニアを舞台に争っていたのがスペインとメキシコ。そのため長いあいだ、スペイン領とメキシコ領を行ったり来たりしていました。たびたびメキシコが反乱を起こすことも。領有権がいまひとつはっきりしないエリアだったと言えます。
米墨戦争の末にアメリカの州に組み込まれる
1846年から1848年のあいだ、アメリカとメキシコが米墨戦争をくりひろげます。そのきっかけとなったのがテキサス共和国のメキシコからの独立宣言。テキサスを占領した不法移民によって宣言されました。
アメリカ軍はメキシコの影響力を排除するためにカリフォルニアを占拠します。衝突のピークが1846年。ゴールド・ラッシュの2年前です。たくさんの人がカリフォルニアに入り混乱状態となることで、アメリカへの併合が加速したという一面もあります。
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