今回は、クーロンの法則について解説していきます。
クーロンの法則は、電気の源となる電荷の性質を表現した法則です。いわゆるミクロの世界といわれる規模の話だから、少し難しいかもしれない。ですが、クーロンの法則がわかると電磁気の世界がグッと広がる。

高校、大学、大学院と電気を専攻しているライターさとるめしと一緒に解説していきます。

ライター/さとるめし

工業高校電気科卒、大学、大学院と電気工学を専攻している現役大学院生。「電気はよくわからない…」と言う友人や知人に、どうすればわかりやすく電気について理解してもらえるか、日々考えながら過ごしている。最近のマイブームはPythonによる機械学習。

クーロンの法則とは?

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クーロンの法則とは、とても簡単に言うと電気の力について説明された法則です。ですが、急に電気の力と言われても漠然としていますよね。

電気には、源となる電荷という存在があります。この電荷という存在がたくさん集まることによって、電気となるんです。つまり、クーロンの法則とは電荷の性質について説明された法則ともいえます。

電荷とは?

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クーロンの法則は、電荷の働きについて説明した法則といえます。では、その電荷とは一体何なのでしょうか。

電荷は通常Qで表記され、一つの電荷(素電荷)eは1.60*10^(-19)Cとされています。Cは電荷の単位で、読み方はクーロンです。電荷一つ一つは正か負のエネルギーを帯びており、この二つの性質の関係を示したものが、クーロンの法則とも言えます。

具体的にどんな関係なのか、見ていきましょう。

1. 電荷が正と負の時の関係

1. 電荷が正と負の時の関係

image by Study-Z編集部

電荷の正と負があるとき、その二つの電荷には引き合う力が働きます。この力は通常引力と呼ばれますが、電荷の関係以外でも使われることの多い言葉ですので、馴染みがある方も多いかもしれません。

引力は、正の電荷を帯びた物体と負の電荷を帯びた物体を近づけるとお互いが近づく力のことです。下敷きをこすって、髪に近づけると髪が逆立ちますよね。これは、下敷きと髪がそれぞれ正と負の電荷を帯びているために引き合っている現象なのです。

2. 電荷が正同士・負同士の時の関係

2. 電荷が正同士・負同士の時の関係

image by Study-Z編集部

電荷が正と正、あるいは負と負という同じ性質を帯びた電荷を近づけた場合、お互いに離れようとする力が働きます。この力のことを斥力(せきりょく)といいますが、こちらは引力より馴染みの薄い言葉かもしれません。

斥力は、同じ性質を帯びた物体を近づけると反発する力のことです。ガラス同士やゴム同士を同じ性質に帯電させると反発する力が働きます。また、イメージとして磁石のS極同士・あるいはM極同士が離れる様子をイメージするとわかりやすいかもしれません。

\次のページで「クーロンの法則の式について」を解説!/

帯びる?帯電?

電気の世界では、電荷が溜まることを帯電といいます。また、傾向がある・偏っているといった意味で帯びるという言葉を使うので、違和感を感じないように慣れていきましょう。

クーロンの法則の式について

クーロンの法則の式について

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図の式で示されるのが、クーロンの法則です。

この式の力Fは、クーロンの法則で示される力という意味でクーロン力といいます。クーロン力Fは距離の二乗に反比例するということがわかりますね。また、電荷の大きさに比例するので、大きな力を得たいときには電荷を大きく、あるいは距離を狭くする必要があるといえます。

この式で使われているのは真空の誘電率ですが、実際のクーロン力を求める際は物質内であったり空気中であったりするため、その物質固有の誘電率を使う必要があるので注意!

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クーロンの法則の式を見てみると、電荷同士が乗算されていますね。実は、ここに電荷の性質が説明されているのです。正の電荷は正の値、負の電荷は負の値で示されるので、その値を乗算すると負のクーロン力になります。また、正の電荷同士・負の電荷同士を乗算すると、正のクーロン力になりますね。

つまり、クーロン力は正のときは斥力、クーロン力が負の時には引力であるということを表しているのです。

本当のクーロン力

実は、クーロンの法則で示されるクーロン力は理想的な力のため、実際にクーロン力を測定する場合にはこの法則を適用できません。そのため、電荷レベルの小さな単位のクーロン力は1Aの電流が流れている導線の断面積を1秒間に流れる電気量とされています。

また、クーロン力で示される電荷は点電荷と呼ばれ、様々な条件を無視した理想的な電荷のことです。本来の電荷とは違う存在なので、覚えておきましょう。

\次のページで「クーロンの法則と電気の関係」を解説!/

クーロンの法則と電気の関係

クーロンの法則だけを見ると、電気的な関係というより物理的な関係を説明しているように見えますね。ですが、実はこの法則によって電気の基本的なことが説明できるのです。

電荷には正(プラス)と負(マイナス)があると説明しました。また、クーロンの法則よりプラスとマイナスの電荷は引き合う関係であるということがわかりました。実は、電気の世界でとても重要な電圧にも、プラスとマイナスがあります。電圧のプラスには電荷のマイナスが引き合い、電圧のマイナスには電荷のプラスが引き合うのです。

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電圧のプラスに溜まったマイナスの電荷は、電圧のマイナスに溜まったプラスの電荷に引き寄せられます。すると、マイナスの電荷は再び電圧のプラスに引き寄せられ、またプラスの電荷に引き寄せられるというサイクルになるのです。

また、電圧のマイナスに溜まったプラスの電荷も同様に、電圧のマイナスに引き寄せられると今度はマイナスの電荷に引き寄せられ、というサイクルになります。

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このように、電荷がクーロンの法則のクーロン力によって引き合う現象が電流となります。したがって、電流はオームの法則以外に、電荷によっても定義することができるのです。また、逆に考えると電荷は電流によって説明することもできますね。

電圧のプラスとマイナスの正体とは?

電圧のプラスとマイナスの正体は、電界という存在が大きく関わっています。電界とは、移動しない電荷の集まりが及ぼす力の範囲と考えるとができます。この力の範囲は電気力線というもので表されますが、電気力線は正の電荷で始まり、負の電荷で終わるのです。

\次のページで「クーロンの法則は身近な現象と電気の関わりを示した法則」を解説!/

クーロンの法則は身近な現象と電気の関わりを示した法則

クーロンの法則は、電気の基本となる考えを示した法則です。しかし、ミクロ(狭い世界)の話なので、実は実生活でも目にすることのできるとても身近な法則といえます。

式そのものから一つの答えが導けるというだけでなく、その式にどんな意味があるのかということを読み解くと、勉強が楽しくなること間違いなしです!

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物理理科電磁気学・光学・天文学

【物理】「クーロンの法則」は電気の基本?理系大学院生が5分でわかりやすく解説!

今回は、クーロンの法則について解説していきます。
クーロンの法則は、電気の源となる電荷の性質を表現した法則です。いわゆるミクロの世界といわれる規模の話だから、少し難しいかもしれない。ですが、クーロンの法則がわかると電磁気の世界がグッと広がる。

高校、大学、大学院と電気を専攻しているライターさとるめしと一緒に解説していきます。

ライター/さとるめし

工業高校電気科卒、大学、大学院と電気工学を専攻している現役大学院生。「電気はよくわからない…」と言う友人や知人に、どうすればわかりやすく電気について理解してもらえるか、日々考えながら過ごしている。最近のマイブームはPythonによる機械学習。

クーロンの法則とは?

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クーロンの法則とは、とても簡単に言うと電気の力について説明された法則です。ですが、急に電気の力と言われても漠然としていますよね。

電気には、源となる電荷という存在があります。この電荷という存在がたくさん集まることによって、電気となるんです。つまり、クーロンの法則とは電荷の性質について説明された法則ともいえます。

電荷とは?

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クーロンの法則は、電荷の働きについて説明した法則といえます。では、その電荷とは一体何なのでしょうか。

電荷は通常Qで表記され、一つの電荷(素電荷)eは1.60*10^(-19)Cとされています。Cは電荷の単位で、読み方はクーロンです。電荷一つ一つは正か負のエネルギーを帯びており、この二つの性質の関係を示したものが、クーロンの法則とも言えます。

具体的にどんな関係なのか、見ていきましょう。

1. 電荷が正と負の時の関係

1. 電荷が正と負の時の関係

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電荷の正と負があるとき、その二つの電荷には引き合う力が働きます。この力は通常引力と呼ばれますが、電荷の関係以外でも使われることの多い言葉ですので、馴染みがある方も多いかもしれません。

引力は、正の電荷を帯びた物体と負の電荷を帯びた物体を近づけるとお互いが近づく力のことです。下敷きをこすって、髪に近づけると髪が逆立ちますよね。これは、下敷きと髪がそれぞれ正と負の電荷を帯びているために引き合っている現象なのです。

2. 電荷が正同士・負同士の時の関係

2. 電荷が正同士・負同士の時の関係

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電荷が正と正、あるいは負と負という同じ性質を帯びた電荷を近づけた場合、お互いに離れようとする力が働きます。この力のことを斥力(せきりょく)といいますが、こちらは引力より馴染みの薄い言葉かもしれません。

斥力は、同じ性質を帯びた物体を近づけると反発する力のことです。ガラス同士やゴム同士を同じ性質に帯電させると反発する力が働きます。また、イメージとして磁石のS極同士・あるいはM極同士が離れる様子をイメージするとわかりやすいかもしれません。

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