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3分で簡単神経伝達物質「アセチルコリン」!体内での作用やレーウィの実験も現役講師がわかりやすく解説

あの「サリン」はアセチルコリンと深く関係している

1993年に一躍有名になった毒物「サリン」。多くの犠牲者を出した地下鉄サリン事件や松本サリン事件に使われ、世間を騒がせたこの物質について聞いたことがある人もいるでしょう。実は、サリンが人のからだに害を及ぼすメカニズムに関係するのが、今回ご紹介しているアセチルコリンなんです。

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サリンはヒトの体内に取り込まれると、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)をはたらかなくさせる作用があります。

前述の通り、AChEは余ったアセチルコリンを分解してくれる酵素。体の中ではつくりすぎたアセチルコリンを分解できなくなり、アセチルコリンが過剰な状態になります。すると、自律神経や運動神経は一向に減らないアセチルコリンによって「刺激されっぱなし」に。その結果もたらされるのが、筋肉のまひや下痢、吐き気、嘔吐、けいれんなどの症状なのです。

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普段の生活で当たり前のように使っている「薬」や、事故や事件の時にニュースなどで目にする「毒」。どちらについても、人間の体内でどのように作用しているかを知ることは大切だぞ。

有名な『レーウィの実験』

アセチルコリンは、体内ではたらく神経伝達物質のなかでも、かなり早い段階で見つかった物質です。その名前をなにより有名にしたのは、1921年に行われたドイツのオットー・レーウィによる実験でしょう。

謎だらけだった「神経細胞からの情報伝達システム」

私たちの手足を動かし、内臓をコントロールする神経。動物のからだを解剖すれば細い糸のような姿が見られる神経細胞は、古くからその存在が知られていました。

時代が進むにつれ、電気刺激によって興奮が伝わることや、神経にも種類があること(自律神経、運動神経など)などが判明していきます。しかしながら、「神経細胞と神経細胞の間」や、「神経細胞から筋肉の間」で、どのように興奮を伝達しているのかがわかりません。1920年ころまでそのメカニズムは明確になっていませんでした。

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神経細胞と、その神経細胞から情報を受け取る隣の細胞の間にある『シナプス』とよばれる隙間でいったい何が起きているのか?研究者たちは2つの説で意見を対立させました。

一つが「シナプスでは電気信号によって隣の細胞に情報伝達をしている」とする説、もう一方は「神経細胞から何らかの化学物質が分泌され、隣の細胞がそれを受け取ることで情報伝達をしている」という説です。

ひとつの神経細胞内での興奮伝達が電気信号によるものであったことから、シナプスでの情報伝達も電気によるものであろう、と考える人は少なくありませんでした。そんな中、レーウィは「夢の中で思いついた」というユニークな実験によって、この問題に決着をつけます。

\次のページで「シナプス間の情報伝達には「化学物質」が使われている!」を解説!/

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