理科環境と生物の反応生物

5分でわかる神経伝達物質「アセチルコリン」!現役講師が簡単解説!

よぉ、桜木建二だ。人間の体を維持する「恒常性」について学ぶと、多くの化合物が体内環境の維持に役立っていることがわかる。数多くの化合物名が現れるため、「名前は聞いたことがあるけどはたらきはよくわからない」というものもあるんじゃないか?今回は「アセチルコリン」について学びなおそう。

生き物のからだに詳しい現役講師兼ライターのオノヅカユウを招いたぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

アセチルコリンとは?

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アセチルコリンは私たちの体内で、主に神経細胞間の情報伝達を担う『神経伝達物質』としての役割を果たしています。副交感神経の神経伝達物質としてのはたらきが良く知られていますが、運動神経と筋肉の接合部分(神経金接合部)や、交感神経の一部でも、神経伝達物質としてはたらいているんです。

 

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分泌されたアセチルコリンを、その受容体が受け取ると、受容体のある組織ではさまざまな変化が生じます。たとえば、副交感神経である「迷走神経」から分泌されたアセチルコリンを、心臓にある受容体が受け取るとどうなるでしょう?心臓の動きが抑制され、血圧が低下。内臓を動かす平滑筋は収縮し、胃腸が良く動くようになります。副交感神経が刺激され、「リラックスしている状態」の時には、このようにアセチルコリンが作用しているんです。

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アセチルコリンは中枢神経系である脳でも、神経伝達物質としてはたらいていることが知られている。アルツハイマー型認知症は、アセチルコリンのはたらきが低下していることが原因の一つとなっている、という説もあるんだ。

アセチルコリンができるまで

アセチルコリンの材料となるのは、「コリン」と「アセチルCoA」という物質です。

「コリン」は食品から摂取できる栄養素の一つ。水溶性で、ビタミンのようにはたらくことから「ビタミン様物質」と紹介されることもあります。アセチルコリンの合成に使われるだけでなく、代謝や細胞膜の生成など生命活動に重要な役割を果たすとされ、アメリカでは必須栄養素として推奨摂取量が設定されているほどです。レバーや卵(卵黄)などに多く含まれているといいます。

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「アセチルCoA」は、体内に摂取したグルコースからエネルギーを取り出す『細胞呼吸』の過程などで生じます。こちらも代謝に深く関与する物質ですが、アセチルCoAはアセチルコリン以外にも、中性脂肪(脂肪酸)の材料になってしまうんです。メタボリック症候群を心配する人にとっては、あまり過剰になってほしくない物質ですね。

この、「コリン」と「アセチルCoA」がコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)という酵素によって結びつけられたものがアセチルコリン。作りすぎたアセチルコリンは、べつのアセチルコリンエステラーゼ(AChE)によって分解され、コリンと酢酸になります。

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