
氷が溶けたり凍ったり…「物質の状態変化」について元塾講師がわかりやすく解説
2.呼び名が変わる状態変化の過程
By F l a n k e r, penubag – Translated from File:Phase change – en.svg, パブリック・ドメイン, Link
物質には固体・液体・気体という三態がありましたが、氷や水、水蒸気に代表されるようにそれぞれの状態を行き来して変化するのはご存知ですよね。それらの過程には状態変化を表す呼び名がついています。「水が○○すると…」のように授業での解説に使われることも出てくるので、今のうちに覚えておきましょう!
厳密にいえば上図のようにプラズマという状態もあるのですが…中学高校レベルではあくまでも物質の三態について知っておけば十分です。
2-1.融溶:個体から液体へ
By fir0002 flagstaffotos [at] gmail.com Canon 20D + Tamron 28-75mm f/2.8 – 投稿者自身による作品, GFDL 1.2, Link
状態変化の中でも固体から液体への変化はもっとも想像しやすいものでしょう。融溶(ゆうかい)の代表ともいえるのが、氷が溶けて水になるという変化です。
固体は加熱することで液体に変化します。融溶が起こる温度というのは物質ごとに決まっていて、その温度を融点というのです。
例えば氷が溶け始める温度は0℃ですよね。つまり、水の融点は0℃であり、0℃の環境では水と氷が合わさっている状態といえます。
2-2.凝固:液体から固体へ
融溶の逆の状態変化を凝固(ぎょうこ)といい、液体から固体への変化を表します。水を冷やして氷にするのと同じですね。
前述したように、物質が溶け始める温度があれば凍り始める温度があるはずですよね。それを凝固点というのですが、これは基本的に融点と同じ値と考えていいでしょう。氷は0℃になると溶け始め、水は0℃で凍りはじめますよね。そのため凝固点を融点と言い替えることもできますが、厳密にいえば意味することには違いがあるのです。
ところで、いつでも水は0℃以下になれば凍りはじめるかといえばそうではありません。0℃以下になっても凍らずにそのまま温度が下がっていく現象を過冷却(かれいきゃく)といいます。過冷却状態の水に刺激を与えることで一気に凝固が進む様子は不思議に思うはずです。気になる人は動画などで見てみてくださいね。
2-3.蒸発:液体から気体へ
By user:Markus Schweiss – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
液体から気体への変化は蒸発(じょうはつ)または気化(きか)といいます。
水が蒸発する様子を思い浮かべようとすると、きっと水を沸騰させる様子を思い浮かべた人が多いでしょう。それももちろん正解です。水が沸騰して水蒸気に変わっていますよね。しかし融点、凝固点のように蒸発点という蒸発し始める温度というものは決まっていません。
想像してみてください。雨上がりの水溜まりはいつの間にか蒸発して消えてしまいますよね。
じゃあ沸点は何?と思いませんか?沸点というのは、水の表面からの気化だけでなく、内部から沸騰が起こり気化していく温度のことをいうのです。その証拠に、沸騰したときは鍋の底から気泡が上がってくるのが見えますよね。
2-4.凝縮:気体から液体へ
気体から液体への状態変化である凝縮(ぎょうしゅく)は、コップにつく水滴をイメージしてみましょう。
湿度何%という指標があるように、空気中には必ず水が気体となって存在しています。湿度が低ければカラッとして、湿度が高ければジメジメする感じがしますよね。
この水滴はコップの中の冷たい飲み物によって空気が冷やされ、凝縮が起こったものです。このタイミングで雲や飽和水蒸気というキーワードについても勉強できるといいですね。
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