今回はテストの出題にも出てくる「単体 化合物 混合物」といったワードについて勉強していこう。

「○○の単体と××の混合物が化合したとき…」このような文章をよく見るよな。この違いがわからなくて苦労しているやつは意外と多のです。

見分け方にはコツがある。物質の具体例を挙げながら化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.単体・化合物・混合物と純物質の定義

1.単体・化合物・混合物と純物質の定義

image by Study-Z編集部

では、さっそくそれぞれの意味を見ていきましょう。

単体・化合物・混合物を知るうえで、純物質というワードを忘れてはいけません。まずはその純物質から説明していきますね。

1-1.1つの化学式で表される物質:純物質

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純物質は化学式で表すことのできるある一定の性質を持つ化学物質といいます。

これを構成する元素の組成はいつも同じで、密度や融点、沸点などの性質も一定です。そのため、こういった性質から物質を特定することができます。純物質はろ過や再結晶などの方法でこれ以上分解ができません

水 H2O の場合、水素原子が2つと酸素原子が1つからできていて、融点0℃、沸点100℃、pH7といったような性質を持っています。さらにろ過をしても、蒸留(加熱することで気化した水蒸気を冷やし、液体として回収する方法)をしても、水は水であることに変わりありません。

ただし、純物質でも電気分解などの方法によって分解できる場合があります。例えば、水は電気分解によって水素と酸素を生成しますよね。

1-2.複数の純物質が混ざってできた物質:混合物

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純物質とは異なり、複数の純物質が混ざってできているのが混合物です。密度や融点、沸点などの性質は一定ではなく、混ざっている物質の比率によって異なります

空気がその一例で、窒素や酸素、アルゴン、二酸化炭素といった純物質が含まれていますよね。一般的に窒素が78%、酸素が21%、その他が1%といわれていますが、いつでもどこでも同じ比率になるわけではありません。この差は実感としてわかりにくいかもしれませんが、日によって湿度(空気中の水蒸気量)が異なることを考えれば、混ざっている物質の比率が変わるのが想像できるでしょう。

混合物は純物質に分離することができるのも純物質と異なる部分です。塩水(塩化ナトリウムの水溶液)の場合、蒸留によって水を取り出せば、それと同時に結晶化した塩化ナトリウムも得られるというわけですね。

\次のページで「1-3.元素記号1種類で表される物質:単体」を解説!/

1-3.元素記号1種類で表される物質:単体

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単体は元素記号1種類で表される純物質のことをいいます。水素 H2 や酸素 O2 、塩素 Cl2 などの 〇2 で表される気体やナトリウム Na や金 Au などの金属が代表です。

例えば酸素 O2 には O3 で表されるオゾンという同素体(同じ元素からできた単体)があります。どちらも酸素原子からなる物質ですが、性質は全く異なるものです。したがって、もし酸素とオゾンが混ざった期待があったとすればそれは単体でも純物質でもなく、混合物ということができます。余裕があれば覚えておくといいですね。

1-4.元素記号2種類以上で表される物質:化合物

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化合物は元素記号2種類以上で表される純物質です。化学物質のほとんどはこの化合物で、化学式に含まれる元素の単体とは全く異なる性質を持っています。

水 H2O は水素原子2つと酸素原子1つからできていますが、気体で単体でもある水素や酸素とは全く違った物質ですよね。同様に二酸化炭素 CO2 は炭素原子1つと酸素原子2つからできています。同じ化合物であれば構成する元素の質量比は一定であるという定比例の法則も関係しているのです。

2.名称から見分ける

混合物は海水や空気などのように化学的に見るとかなりアバウトな名称がついています。「その中には何が入っているの?(その物質を構成する成分は?)」と考えてみて、いくつか挙げられるようであれば混合物です。例えば、海水には水や塩化ナトリウムなどの塩分、ミネラル分が含まれています。

一方で純物質は、塩酸、塩化ナトリウム、グルコース、炭酸水素ナトリウムなど、薬品や試薬によくある名称が目印です。その化学式を書けるかどうか、化学式を習ったかどうかではなく、化学的に考えてみるのがいいでしょう。

純物質の中の単体は一番簡単に見分けることができます。水素、ヘリウム、酸素、のように周期表にある元素記号の名称がそのまま物質名になっているのです。この逆を言えば、それ以外はすべて化合物といえますね。

3.化学式から見分ける

そもそも混合物は化学式で表すことができません。表すとしたら、海水(水H2O・塩化ナトリウムNaCl…)のようになりますよね。このように1つの化学式で表せないものは混合物なのです。

純物質は化学式で表せるものですから、あなたが知っている化学式を書ける物質もすべて純物質といえます。

純物質の分類である単体は、水素 H2 やヘリウム Heのような1つの元素記号で表されるものです。例えば鉄 Fe や塩素 Cl2 のように2つのアルファベットで表されるものもありますが、大文字・小文字で1つの元素を表すものもあるので気をつけましょう。

化合物の場合、化学式に複数の元素記号が含まれているのでわかりやすいでしょう。仮に元素記号の名称を知らなくても、大文字が数種類含まれていれば化合物といえます。

4.練習問題

では、最後に理解度を確認するための問題を解いてみましょう。

\次のページで「単体・化合物・混合物・純物質は具体例で覚えよう!」を解説!/

次の物体を単体・化合物・混合物に分けなさい。

1.インク 2.硫酸 3.酸化銅 4.金 5.水素 6.塩水 7.氷 8.酢酸

答え

1.インク … 混合物(化学式が書けない)

2.硫酸  … 化合物 H2SO4

3.酸化銅 … 化合物 CuO

4.鉄   … 単体 Fe

5.水素  … 単体 H2

6.塩水  … 混合物(化学式が書けない)

7.氷   … 単体 H2O

8.酢酸  … 化合物(化学式は覚えなくてよい)

8は難しかったかもしれませんね。硫酸や塩酸が化合物であることが分かれば、同じ○○酸である酢酸も化合物であると推測できますよ。

もし不正解があったら、もう一度間違った部分の解説を読んでみてくださいね。化学式が書けるかどうか考えながら解くのがコツです。

単体・化合物・混合物・純物質は具体例で覚えよう!

ここでおさらいです。空気は窒素 N2 が約78%、酸素 O2 が約21%、残りの1%には二酸化炭素 CO2 を代表として様々な気体が含まれていますよね。

元素記号1種類で表される物質を単体といい、窒素 N2 と酸素 O2 のような化学式で表すことができます。そして元素記号2種類以上で表される物質を化合物といい、二酸化炭素 CO2 のように炭素 C と酸素 O の2種類が化学式に使われているのが目印です。単体と化合物は使われている原子の数や種類は異なりますが、どれも1つの化学式で表されています。これを純物質というのです。

そして、空気のように複数の純物質が混ざってできたものを混合物といい、混合物は化学式で表すことができません。

まずはこの空気の考え方でそれぞれの違いを覚えましょう。そのあとに実際に知りたい物質について考えを深めていくことが大切です。

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化学

混乱しやすい「単体 化合物 混合物」の見分け方を元塾講師がわかりやすく解説

今回はテストの出題にも出てくる「単体 化合物 混合物」といったワードについて勉強していこう。

「○○の単体と××の混合物が化合したとき…」このような文章をよく見るよな。この違いがわからなくて苦労しているやつは意外と多のです。

見分け方にはコツがある。物質の具体例を挙げながら化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.単体・化合物・混合物と純物質の定義

1.単体・化合物・混合物と純物質の定義

image by Study-Z編集部

では、さっそくそれぞれの意味を見ていきましょう。

単体・化合物・混合物を知るうえで、純物質というワードを忘れてはいけません。まずはその純物質から説明していきますね。

1-1.1つの化学式で表される物質:純物質

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純物質は化学式で表すことのできるある一定の性質を持つ化学物質といいます。

これを構成する元素の組成はいつも同じで、密度や融点、沸点などの性質も一定です。そのため、こういった性質から物質を特定することができます。純物質はろ過や再結晶などの方法でこれ以上分解ができません

水 H2O の場合、水素原子が2つと酸素原子が1つからできていて、融点0℃、沸点100℃、pH7といったような性質を持っています。さらにろ過をしても、蒸留(加熱することで気化した水蒸気を冷やし、液体として回収する方法)をしても、水は水であることに変わりありません。

ただし、純物質でも電気分解などの方法によって分解できる場合があります。例えば、水は電気分解によって水素と酸素を生成しますよね。

1-2.複数の純物質が混ざってできた物質:混合物

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純物質とは異なり、複数の純物質が混ざってできているのが混合物です。密度や融点、沸点などの性質は一定ではなく、混ざっている物質の比率によって異なります

空気がその一例で、窒素や酸素、アルゴン、二酸化炭素といった純物質が含まれていますよね。一般的に窒素が78%、酸素が21%、その他が1%といわれていますが、いつでもどこでも同じ比率になるわけではありません。この差は実感としてわかりにくいかもしれませんが、日によって湿度(空気中の水蒸気量)が異なることを考えれば、混ざっている物質の比率が変わるのが想像できるでしょう。

混合物は純物質に分離することができるのも純物質と異なる部分です。塩水(塩化ナトリウムの水溶液)の場合、蒸留によって水を取り出せば、それと同時に結晶化した塩化ナトリウムも得られるというわけですね。

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