今回は科学と化学の違いについて見ていこう。どちらも同じ「かがく」ですが、どんな違いがあるか、どんな意味があるのかを考えたことはあるか?

なんとなく理系学問のイメージがあるかもしれないが、科学は理系科目とは限らない。一方で化学は物理や生物とともに理系教科に分類されていますね。

大学で化学を学び、理系科目の塾講師でもあったライターAyumiと一緒にその違いを解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.同じ「かがく」でも異なる意味

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科学と化学、どちらもおなじ「かがく」という読み方をしますが、実は明確な違いがあるのをご存知でしょうか。

数学や理科は理系教科、国語や社会は文系教科だといわれますよね。理系は好きだけど文系は苦手…という人もいるかもしれません。

化学が理系教科であることはきっとみなさんも納得していただけるでしょう。では、科学はどちらのイメージがありますか?

2.科学とは

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まずは科学という言葉を辞書で引いてみましょう。

(1)観察や実験など経験的手続きによって実証された法則的・体系的知識。また、個別の専門分野に分かれた学問の総称。物理学・化学・生物学などの自然科学が科学の典型であるとされるが、経済学・法学などの社会科学、心理学・言語学などの人間科学もある。

(2)狭義では自然科学と同義。

広辞苑より引用

言い換えると、科学というのは観測や実験などによって証明された法則や習性などの知識であり、それらを学ぶ学問の総称ということです。その例として自然科学や社会科学、人間科学といった細かな分野があります。

科学は英語でscienceと書きますが、知るという意味のラテン語scioから派生した知識を表すscientiaが語源です。さらに詳しく見てみると、科という漢字は種類や等級のように区分けされたものという意味を持ちます。したがって科学は細分化されたものを学ぶ学問であるといえるでしょう。

では、科学の分類についてもう少し詳しく解説しますね。

\次のページで「2-1.自然科学」を解説!/

2-1.自然科学

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科学から化学を連想するのは必ずしも間違いではありません。科学は自然科学の意味で使われることが多く、この自然科学は普段みなさんが勉強している理科や数学に関連しているからです。

法則や習性というものは明確な数値による裏付けがあるものほど見つけやすいのはイメージできるでしょう。実験や測定を行い、方程式などで解き明かしていく知識というのは、どうしても理系的なイメージが強いものです。

中学の授業では理科として一括りにされていますが、高校になると化学、生物、物理のようにさらに細かく教科が分かれます。そしてさらに大学に行けば農学や天文学、工学へとまた違った道も広がっているのです。

余談ではありますが…理科が嫌いだから、数学が嫌いだからと勉強を放棄してしまうと、それだけで自分の進路の可能性を狭めてしまうことになりかねません。だからこそ、進路希望や目標が明確ではないうちはバランスよく勉強しておくのが最善だと思うのです。

2-2.社会科学

社会科学という言葉はあまり聞き慣れない人もいるでしょう。これらは政治や経済、法律といった分野と繋がりのある学問です。客観的な立場で物事を見極め、より良い環境へ繋げていくための学問といってもいいかもしれません。

例えば、経済をうまく回していくためには政治的な取り組みが必要な場合がありますよね。経営のスペシャリストの力添えも必要でしょう。企業や働き手を守る法の整備も必要不可欠です。

このように社会をあらゆる方向から考える学問を社会科学といいます。

2-3人間科学

人間科学は人文科学ともいわれ、人々がこれまでに積み重ねてきた文化や歴史、思想などを学ぶ学問です。社会科学とともに、いわゆる文系の大学に進学する人が学ぶ分野ともいえます。

言語を通して外国の文化や歴史を勉強したり、哲学や宗教への理解を深めるための学問といっていいでしょう。コミュニケーションをとりながら人への理解を深めていく必要があります。

自然科学が自然、社会科学は社会を対象にした学問であるのに対し、人間科学は人間の思想が研究の対象です。

3.化学とは

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ここまでで見てきた通り、化学というのは科学の中の自然科学という分類に含まれる1つの分野ということがいえます。

化学という言葉も辞書で引いてみましょう。

\次のページで「4.広義の科学と狭義の化学」を解説!/

諸物質の構造・性質並びにこれら物質相互間の反応を研究する自然科学の一部門。

広辞苑より引用

少し難しいことを言っているようですが、簡単に説明すると物質の構造や性質について学び、それらが反応した場合に起こる物質同士の影響や変化について研究する学問です。

氷が解けて水になるのはなぜか、氷と水では構造にどんな違いがあるのか、氷は何度で溶け始めるのか、水は何度で凍り始めるのか…。こういったことを学ぶのが化学という学問といえます。

化学はchemistryといい、語源は錬金術を表すalchemyです。腐食しやすい金属を金などの貴金属に変える錬金術は現実的ではありませんが、物質が変化することがもともとの意味になっているということですね。これは形や性質が別のものになるという意味の化という字にも共通しています。

こういった自然の中にある様々な現象の中から、物質の変化に注目し特化した学問が化学なのです。

4.広義の科学と狭義の化学

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科学というのは学問全般を示す言葉であるとはいえ、一般的に自然科学を指す言葉として使われています。しかしあくまでも科学とは裏付けのある法則や規則といった知識のことです。そして物事の対象がなんであれ、それを理解し、学ぼうとすること自体が科学という学問ということになります。

つまり 科学≧自然科学>化学 ということですね。科学のほうがより広義で使われている言葉なのです。

自然科学の中の化学もまた奥が深い!

科学というのは細分化された1つ1つの学問の総称をいい、その中の1つとして自然科学、化学という分野があるのです。

化学は確かに理系科目とされていますが、科学には文系理系が関係ないということをご理解いただけたでしょうか。何かを学ぶということは科学を学ぶことであり、その中の選択肢として化学を選ぶ人もいるということです。

そしてその化学の中にも遺伝子化学や栄養化学、細胞化学などさらに細かい分野が存在します。知れば知るほど面白い化学の魅力を知っていただけたら嬉しいです。

" /> 「科学」と「化学」はどう違う?奥が深い「かがく」について元塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
化学

「科学」と「化学」はどう違う?奥が深い「かがく」について元塾講師がわかりやすく解説

今回は科学と化学の違いについて見ていこう。どちらも同じ「かがく」ですが、どんな違いがあるか、どんな意味があるのかを考えたことはあるか?

なんとなく理系学問のイメージがあるかもしれないが、科学は理系科目とは限らない。一方で化学は物理や生物とともに理系教科に分類されていますね。

大学で化学を学び、理系科目の塾講師でもあったライターAyumiと一緒にその違いを解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.同じ「かがく」でも異なる意味

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科学と化学、どちらもおなじ「かがく」という読み方をしますが、実は明確な違いがあるのをご存知でしょうか。

数学や理科は理系教科、国語や社会は文系教科だといわれますよね。理系は好きだけど文系は苦手…という人もいるかもしれません。

化学が理系教科であることはきっとみなさんも納得していただけるでしょう。では、科学はどちらのイメージがありますか?

2.科学とは

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まずは科学という言葉を辞書で引いてみましょう。

(1)観察や実験など経験的手続きによって実証された法則的・体系的知識。また、個別の専門分野に分かれた学問の総称。物理学・化学・生物学などの自然科学が科学の典型であるとされるが、経済学・法学などの社会科学、心理学・言語学などの人間科学もある。

(2)狭義では自然科学と同義。

広辞苑より引用

言い換えると、科学というのは観測や実験などによって証明された法則や習性などの知識であり、それらを学ぶ学問の総称ということです。その例として自然科学や社会科学、人間科学といった細かな分野があります。

科学は英語でscienceと書きますが、知るという意味のラテン語scioから派生した知識を表すscientiaが語源です。さらに詳しく見てみると、科という漢字は種類や等級のように区分けされたものという意味を持ちます。したがって科学は細分化されたものを学ぶ学問であるといえるでしょう。

では、科学の分類についてもう少し詳しく解説しますね。

\次のページで「2-1.自然科学」を解説!/

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