早速、電界と磁界について解説していきます。

電界・磁界はそれぞれ、電気の力が及ぶ範囲・磁力の力が及ぶ範囲のことです。静電気はなぜ起こるのか、磁石とは何かという身近な現象から考えていきます。難しい内容ですが、身構えず気楽な気持ちで読んでくれ。

高校、大学、大学院と電気を専攻してきたライターさとるめしと一緒に解説していきます。

ライター/eastflower

工業高校電気科卒、大学、大学院と電気工学を専攻している現役大学院生。「電気はよくわからない…」と言う友人や知人に、どうすればわかりやすく電気について理解してもらえるか、日々考えながら過ごしている。

電界と磁界って?

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電界と磁界、とは一体何なのでしょうか?界というぐらいですから、なんとなくそういう世界?空間?といったイメージができるかもしれません。

電界と磁界は、英語ではそれぞれelectric field、magnetic fieldとされています。これを直訳して、日本では電界・磁界と言うんですね。

電界と電場って違うの?

教科書や先生によっては、「電界」と言ったり「電場」と書いてあるものを見聞きすることがあるかもしれません。「電界」も「電場」も同じ意味です。ただし、この言葉を使う人が少し違います。

実は、物理屋さんと呼ばれる人々と電気屋さんと呼ばれる人々によって言葉が違うのです。物理屋さん(物理学を専攻している人)は、「電場」「磁場」という言葉を使います。対して電気屋さん(電気工学を専攻している人)は、「電界」「磁界」という言葉が使い慣れているんです。

言葉がいろいろあってややこしいですが、こういった違いを知っていると少し苦手意識がなくなりますよね。ちなみに本記事のライターであるさとるめしは、電気工学を専攻しているので「電界」「磁界」の方が慣れています。

fieldということからも、電気の世界・磁石の世界ということがなんとなくわかりますね。

では、具体的にどういった状態のことを電界・磁界というのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

電界を見てみよう

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それではまず、電界について考えていきましょう。

電界とはずばり、電気的な力を及ぼす空間だと考えられています。皆さんは、静電気を見たことがありますか?静電気は、乾燥した空間で起こりやすい現象です。乾燥してくると、静電気が発生しやすい環境になります。この環境を電界ととらえると、わかりやすいのではないでしょうか。

ですが、ここで新たな疑問が出てきました。電気的な力とは何でしょうか?さらに考えていきましょう。

\次のページで「1. 電気的な力の源は電荷である」を解説!/

1. 電気的な力の源は電荷である

1. 電気的な力の源は電荷である

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電気的な力の源は、電荷です。電荷は、一つ一つはとても小さくとても弱い存在ですが、それがたくさん集まることによって、電気という存在になります。

では、電荷の性質について簡単に解説してきますね。電荷には、正と負の二種類が存在します。この二種類の電荷が、摩擦によって正と負に偏ることで発生するのが静電気です。この偏りが一瞬でなくなるのが静電気ですが、電気はこの偏りが存在し続けることで電気となります。

電荷についてもっと教えて!

電荷の単位はCと書いてクーロンと読みます。電荷1つの大きさは1.6×10^(-19)Cという、非常に小さな値です。

2. 電気的な力を考える

2. 電気的な力を考える

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電気的な力(通称電気力)の大きさは、画像で示すような式からがわかります。この式をクーロンの法則といい、電荷の大きさと距離の関係を示す式です。

それでは、この電気力が電界とどのような関わりがあるのか見ていきましょう。

3. 電気力と電界

3. 電気力と電界

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電気力については、なんとなくわかってきました。では、そもそも電界とは何か、について考えていきましょう。

電界は、画像の式から説明することができます。非常に単純な式ですね。これはずばり、電界が電荷一つ一つの持つ影響力であるといえます。電荷は電界によって集まり、電気となるのです。

\次のページで「磁界を見てみよう」を解説!/

磁界を見てみよう

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電界についての理解が深まったところで、磁界についても見てみましょう。

実は、磁界の考え方も電界と同じように考えることができるのです。電気力と同じように、磁気力という存在があります。方位磁針が東西南北を指し示すことができるのは、この磁気力が作用しているためです。

この磁気力は、磁石のS極とN極という二つの磁極によって存在します。二つの磁極は、電荷と対応するように磁荷という存在に置き換えて、考えていきましょう。

磁荷は存在しない!?

磁荷は、電荷と対応する存在です。ただし、この磁荷は実際には存在しません。電荷と磁荷、電気力と磁気力、という対応した存在があることで理解しやすくなるために、仮定した存在なのが磁荷なのです。

1. 磁荷と磁気力

1. 磁荷と磁気力

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磁気力は、画像のような式から説明することができます。電気力と同じように考えることができますね。

式から、磁気力には磁荷と距離が関係しているということがわかります。

2. 磁気力と磁界

2. 磁気力と磁界

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磁気力から、磁界の存在を示すことができます。この式も、電界と同じ考え方ですね。磁界の単位はTと書いててテスラと読みます。

ただし、磁界は本当に磁荷という存在があるわけではありません。実は、ここが磁界の最も大事なポイントとなります。

磁界には電流が関係している?

磁界には電流が関係している?

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実は、磁界は磁石だけでなく電流にも存在します。

電流に対してねじが進む向きに磁界が生じることから、右ねじの法則として有名な現象です。磁界は、電流によって存在することができるため、画像のような式で表現します。

\次のページで「電界と磁界の関係とは?」を解説!/

電界と磁界の関係とは?

磁界に電流が関係してくるとは、どういうことなのでしょうか?

電流は、電荷の流れがまとまったもののことです。電荷の流れが大量に生じることで電流となります。電荷の動きが生じているわけですから、もちろん電界が発生しているわけです。

ここで、磁界を思い出してみます。磁界の式に電流がありますね。これは、磁界の大きさに電流が影響してるということです。そして、電流は電荷の流れなので磁界は電荷によって生じる、と考えることができます。つまり、電界と磁界は密接な関係があるのです。

電界と磁界の関係についてもっと知りたい!

電界と磁界の関係は、マクスウェル方程式という4つの式から説明されています。そして、マクスウェル方程式を展開することで、電磁波という存在を導き出すことができるのです。

電界と磁界の存在は不思議だけど不思議じゃない!

電界と磁界について解説してきましたが、案外難しくないと感じた方もいらっしゃると思います。電界は、電気の力が及ぶ範囲。磁界は、磁力が及ぶ範囲。これさえわかってしまえば大丈夫です!

公式だけ覚えるのは、なかなか難しいですよね。また、理論も言葉が難しくて挫折しがちです。身近な存在から、理論を導き出して考えてみましょう。そうすれば、理論が伴って理解できますし、そこから公式の理解も深まっていくはずです。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

【物理】「電界」と「磁界」は不思議な世界?理系大学院生が身近な例からわかりやすく解説!

磁界を見てみよう

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電界についての理解が深まったところで、磁界についても見てみましょう。

実は、磁界の考え方も電界と同じように考えることができるのです。電気力と同じように、磁気力という存在があります。方位磁針が東西南北を指し示すことができるのは、この磁気力が作用しているためです。

この磁気力は、磁石のS極とN極という二つの磁極によって存在します。二つの磁極は、電荷と対応するように磁荷という存在に置き換えて、考えていきましょう。

磁荷は存在しない!?

磁荷は、電荷と対応する存在です。ただし、この磁荷は実際には存在しません。電荷と磁荷、電気力と磁気力、という対応した存在があることで理解しやすくなるために、仮定した存在なのが磁荷なのです。

1. 磁荷と磁気力

1. 磁荷と磁気力

image by Study-Z編集部

磁気力は、画像のような式から説明することができます。電気力と同じように考えることができますね。

式から、磁気力には磁荷と距離が関係しているということがわかります。

2. 磁気力と磁界

2. 磁気力と磁界

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磁気力から、磁界の存在を示すことができます。この式も、電界と同じ考え方ですね。磁界の単位はTと書いててテスラと読みます。

ただし、磁界は本当に磁荷という存在があるわけではありません。実は、ここが磁界の最も大事なポイントとなります。

磁界には電流が関係している?

磁界には電流が関係している?

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実は、磁界は磁石だけでなく電流にも存在します。

電流に対してねじが進む向きに磁界が生じることから、右ねじの法則として有名な現象です。磁界は、電流によって存在することができるため、画像のような式で表現します。

\次のページで「電界と磁界の関係とは?」を解説!/

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