今回は物質の性質を調べる指示薬について勉強していきます。

酸性かアルカリ性を調べるリトマス試験紙がその代表です。知っているか知らないかで、テストの点は大きく変わる。覚えておいて損はないぞ。

すでに習ったもののこの機会に復習しておこう。さあ、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.酸性・アルカリ性に反応する指示薬

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化学実験で使用されるものの多くは酸とアルカリに関連した実験で使用されます。どちらの性質を示すかで色の変化が起こるので、しっかりと頭の中を整理しておきたいですね。

酸とアルカリについては既に解説していますが、「酸は酸っぱい梅やレモンの色、アルカリは苦い石鹸の青いイメージ」を掴んでおくと理解しやすいでしょう。色の変化で混乱してしまったときにはこれを思い出してくださいね。

では、酸性とアルカリ性、そして中性を見分ける試薬について見ていきましょう。

1-1.リトマス紙

リトマス紙はもともと赤と青の2色です。水溶液に浸けてこの2色の色がどう変化するかを確認しましょう。

・青色リトマス紙 → 赤に変化 : 酸性

・赤色リトマス紙 → 青に変化 : アルカリ性

・どちらも変化なし :中性

酸っぱい梅の赤と苦い石鹸の青と覚えるといいですね。

1-2.BTB溶液

Colors of bromothymol blue.jpg
By PureySmart - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

BTB溶液もリトマス紙同様pHを調べる指示薬ですが、その強度に応じた色の変化があります。

まずは写真を見てみてください。

一番左はBTB溶液を入れていない溶液、左から2本目がpH4の酸性、5本目がpH7.2の中性、右端がpH12のアルカリ性です。

・黄色 : 酸性

・緑色 : 中性

・青色 : アルカリ性

酸っぱいレモンの黄色と苦い石鹸の青、黄色と青を混ぜて緑色と覚えるといいですね。

1-3.万能試験紙

PH indicator paper roll.jpg
By Kiyok - 本人撮影 (Self-made), CC 表示-継承 3.0, Link

万能試験紙は1枚の紙に溶液を浸けることでpHを読み取ることができます。色の変わった部分がどう変化しているかで簡単にpHを調べることができますよ。

テストでは比較的出題の少ない試薬ですが、実際の実験では最も簡単にpHを調べられる指示薬としてよく用いられます。

\次のページで「1-4.フェノールフタレイン溶液」を解説!/

1-4.フェノールフタレイン溶液

フェノールフタレイン溶液はアルカリ性にのみ反応する指示薬です。これまでに覚えやすいよう言ってきた酸性とアルカリ性のイメージに反し、フェノールフタレイン溶液はアルカリ性に反応して水溶液を赤く染める性質を持ちます。

その代表例がアンモニアで、噴水実験を学校で見たという人も多いのではないでしょうか。インパクトのある実験なので、比較的覚えやすいと言えそうですね。

1-5.メチルオレンジ

Methyl orange 02035.JPG
By Rubashkyn - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

フェノールフタレイン溶液がアルカリ性に反応する一方、酸性のみに反応するのがこのメチルオレンジです。

この指示薬は酸性の中でも非常に限定的な反応を見せるという特徴があります。まずは写真を見てみましょう。

左端がpH3.1、右端がpH4.4の酸性の水溶液で、pHはこれ以上でもこれ以下でも変化はありません。つまり、メチルオレンジはpH3.1から4.4の範囲でのみ色によってその強度を見せる試薬なのです。

1-6.紫キャベツの液

Indicateur chou rouge.jpg
By Indikator-Blaukraut.JPG: Supermartl derivative work: Haltopub (talk) - Indikator-Blaukraut.JPG, CC 表示-継承 3.0, Link

ブドウやブルーベリーに含まれるアントシアニンという紫色の色素をご存知でしょうか。これを紫キャベツから抽出することで、水溶液の性質を見ることができるのです。

千切りした紫キャベツを水とアルコール1:1の溶液に浸け込み、紫色の溶液を作ります。これを酸性やアルカリ性の溶液と合わせることで、指示薬としての働きを示すのです。

・濃い赤からピンク色 : 酸性

・元の溶液である紫色 : 中性

・青から黄緑色、黄色 : アルカリ性

中学の化学実験ではアントシアニンでpHを測定することは稀ですが、方法の1つとして覚えておくといいでしょう。

2.その他の化学で学ぶ指示薬

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金属を使った実験や酸化と還元に関する実験では、水溶液の性質よりもそれがなんであるか物体そのものを判断するための指示薬が多く使われています。反応するイコール○○が含まれていると判断できるものなので、テストでも点につなげやすいと言えそうですよ。

2-1.塩化コバルト紙

塩化コバルト紙は塩素とコバルトという物質を化合した塩化コバルトという化合物が使われている指示薬です。コバルトブルーという色があるように、これ自体は青色の紙のカタチをしています。この塩化コバルト紙は水に反応して色を変える性質がありますよ。

・水を吸収して青から赤に変わる

「水なんて見ればわかるじゃん」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、例えばエタノールに代表されるアルコールとは反応しません。見た目では判断できない、その液体に水が含まれているかどうかを判断するための試薬なのです。したがってpHの判断や人体にとっての影響等を調べる場合には、別の方法を使う必要があります。

2-2.石灰水

石灰水は気体の検出に使われる指示薬として最も有名なものでしょう。みなさんも何に反応するか、きっとご存知ですよね。

実験によって生成された気体をこの石灰水に通し白濁すれば、その気体が二酸化炭素である証拠です。

還元の実験では、炭素の粉末が酸化物についていた酸素と酸化することで二酸化炭素として出ていくと解説しましたね。まさに物質の還元が行われているという証明にもなるのでテストでも頻出ですよ。

2-3.薄い塩酸

薄い塩酸は多くの実験に使われています。二酸化炭素を発生させる実験として石灰石と薄い塩酸、水素を発生させる実験として金属と塩酸を反応させるものがありますね。それと同時に、酸化実験などでは金属の検出にも使われているのです。

金属であるマグネシウムは薄い塩酸に入れることで水素を発生させます。しかし酸化後の物質、酸化マグネシウムを同様にしても水素は発生しないのです。つまり、水素が発生するかどうかで金属か否かを判断できる試薬として使えるということですね。

ちなみに、塩酸は人体への影響が大きく危険なため、希釈した薄い塩酸にして使用することも覚えておきましょう。

2-4.硝酸銀溶液

最後に解説するのは硝酸銀溶液という指示薬で、無色透明な液体が、塩化物イオンに反応して沈殿を生じるという反応です。

少しわかりにくいので、化学反応式を使ってみましょう。

AgNO3 + HCl → HNO3 + AgCl

硝酸銀が塩酸や水酸化ナトリウム等に含まれる塩化物イオンClに反応し、塩化銀という沈殿を生成するために起こる反応です。

使用頻度は高くないのですが、名前だけでも覚えておけるといいですね。

\次のページで「指示薬を覚えて化学の理解を深めよう」を解説!/

指示薬を覚えて化学の理解を深めよう

化学実験に指示薬は不可欠です。指示薬を使うことで実験によって生成した物質の性質を調べることで、その実験が何を意味するものであったのかが明確になるでしょう。

ただやみくもに暗記してもつまらないですよね。だからこそ学校での実験を楽しんでもらいたいのです。実体験として学ぶことで、化学の楽しさを感じられるはずですよ。

指示薬のおさらいには、使用する実験の用途と合わせて考えることをおすすめします。テスト前にもさらっと確認しておくと安心ですね。

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化学

覚えておけば確実に点数UP!「指示薬」について元塾講師がわかりやすく解説&総まとめ!

今回は物質の性質を調べる指示薬について勉強していきます。

酸性かアルカリ性を調べるリトマス試験紙がその代表です。知っているか知らないかで、テストの点は大きく変わる。覚えておいて損はないぞ。

すでに習ったもののこの機会に復習しておこう。さあ、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.酸性・アルカリ性に反応する指示薬

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化学実験で使用されるものの多くは酸とアルカリに関連した実験で使用されます。どちらの性質を示すかで色の変化が起こるので、しっかりと頭の中を整理しておきたいですね。

酸とアルカリについては既に解説していますが、「酸は酸っぱい梅やレモンの色、アルカリは苦い石鹸の青いイメージ」を掴んでおくと理解しやすいでしょう。色の変化で混乱してしまったときにはこれを思い出してくださいね。

では、酸性とアルカリ性、そして中性を見分ける試薬について見ていきましょう。

1-1.リトマス紙

リトマス紙はもともと赤と青の2色です。水溶液に浸けてこの2色の色がどう変化するかを確認しましょう。

・青色リトマス紙 → 赤に変化 : 酸性

・赤色リトマス紙 → 青に変化 : アルカリ性

・どちらも変化なし :中性

酸っぱい梅の赤と苦い石鹸の青と覚えるといいですね。

1-2.BTB溶液

Colors of bromothymol blue.jpg
By PureySmart投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

BTB溶液もリトマス紙同様pHを調べる指示薬ですが、その強度に応じた色の変化があります。

まずは写真を見てみてください。

一番左はBTB溶液を入れていない溶液、左から2本目がpH4の酸性、5本目がpH7.2の中性、右端がpH12のアルカリ性です。

・黄色 : 酸性

・緑色 : 中性

・青色 : アルカリ性

酸っぱいレモンの黄色と苦い石鹸の青、黄色と青を混ぜて緑色と覚えるといいですね。

1-3.万能試験紙

PH indicator paper roll.jpg
By Kiyok – 本人撮影 (Self-made), CC 表示-継承 3.0, Link

万能試験紙は1枚の紙に溶液を浸けることでpHを読み取ることができます。色の変わった部分がどう変化しているかで簡単にpHを調べることができますよ。

テストでは比較的出題の少ない試薬ですが、実際の実験では最も簡単にpHを調べられる指示薬としてよく用いられます。

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