
・「作用」と「反作用」の力は必ずいつもペアで発生する
・「作用」と「反作用」の力の大きさはいつどのような場合も必ず同じ
・その向きは必ず一直線上逆向き
です。あなたの理解は正しいでしょうか?
しかし、自然はなぜこのような力を律儀にお互いに発生させるのでしょうか?
その答えは「わかりません」。今のところ自然はそうなっていると考えるしかありません。
ニュートン自身は運動量保存則の考察過程から作用反作用の法則を考え付いたのではないかとも言われていますが、真相は不明とされています。
大事なことは、現在までに「作用・反作用の法則」に対しての例外は見つかっていないということです。ということは今のところ「作用・反作用の法則」は自然を支配する根本的な基本法則と考えていいでしょう。
この法則は広大な宇宙の動きから原子の世界までを支配するのです。
作用反作用の例

image by Study-Z編集部
図を見てください。
子供が飛び上がっています。このとき、子供が地面をける力が地面に対する作用だとすると、地面が子供を押し返す力が反作用です。子供はこの反作用の力によって飛び上がることができます。
ここで先ほどの
・「作用」と「反作用」の力は必ずいつもペアで発生する
・「作用」と「反作用」の力の大きさはいつどのような場合も必ず同じ
・その向きは必ず一直線上逆向き
を思い出しましょう。
これに従えば、「子供が地面をける力」と「地面が子供を押す力」の大きさはいつでも同じで一直線上反対向きになります。作用と反作用の力は、たとえ子供がジャンプの途中で大きな力を加えていてもその瞬間瞬間で常に同じなのです。
同様に次の図ですが、ミニカーを指で押している状況を考えましょう。

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このとき、指がミニカーを押す力とミニカーが指を押し返す力はいつも同じで、一直線上逆向きです。
ミニカーが加速していようが減速していようが止まっていようが、力が加わっている限り、作用と反作用は同じ大きさで一直線上逆向きに働いています。
「作用・反作用」と力のつり合いについて
「作用・反作用」と力のつり合いの関係についても誤解の多いところです。多くの人が混同しています。
ここでつり合いとはなにかについておさらいしてみましょう。
つり合いとは
ある物体に働く外力についてのみ考える。
これら外力の合力が0であるとき、つり合っているといえる。
のでしたね。
作用・反作用の力を思い出してください。
作用・反作用の法則
物体1から物体2に力をはたらかせるとき、物体2から物体1へ一直線上逆向きに等しい大きさの力がはたらく
物体1から物体2への力を「作用」とよぶとき物体2から物体1への力を「反作用」と呼びます。あるいは物体2から物体1への力を「作用」とよび、物体1から物体2への力を「反作用」としてもかまいません。またこの力はお互いに瞬間的に働きます。図をもう一度見ましょう。

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物体1が物体2に及ぼす力は物体2が受ける外力
一方、物体2が物体1に及ぼす力は物体1が受ける外力
そうですね。そもそも力を受ける対象が違うのです。この力同士は互いに他の物体に作用する力にあり、つり合い関係ではありません。したがってつり合うことはありえないのです。
作用・反作用の間違い例
以下作用反作用に関する典型的な間違い例をあげます。
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「壁を押す力が作用である場合、壁から押し返される力が反作用ですね。その合力が0でない場合、壁は動くか、さもなければ壊れます!」(出典 クイズで学ぶ大学の物理 BLUE BACKS)
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この文のどこがおかしいかわかりますね?
壁を押す力は壁が受ける力で壁から押し返される力は手が受ける力です。力を受ける対象がそもそも違います。さらに、壁が動こうが壊れようがそのままであろうが、作用と反作用はいつも同じ大きさの力ですね。
壁が動くかどうかは、壁が受ける外力についてのみ考えないといけません。
壁が及ぼす力(押し返す力)は壁が受ける外力ではないのです。
まとめ
ニュートンの天才ぶりがわかるひとつの例がこの作用・反作用の法則ですね。
そもそも力とは何でしょうか?考えたこともなかった・・・ですね。
力を本当に考え出すとずいぶん不思議なものだと思いませんか?まして、作用・反作用という力がどんなときも同じ大きさで一直線上逆向きに働くというのも不思議な話です。さらに、力は単独では存在せず必ずペアで存在するというのもおもしろいですね。
最後に、作用と反作用の力の見分け方をお教えしましょう。
AからBに働く力を作用とした場合、反作用は
BからAに働く力ですから、このAとBを入れ替えればよいのです。それらが作用・反作用の関係にあります。
例えば、
重力(作用)・・・地球があなたを引く力
反作用・・・あなたが地球を引く力 (これも重力ですが)
のように、あなたと地球を入れ替えればいいのです。
あなたもあなたにかかる重さと同じ大きさの力で地球を引っ張っているのですよ。