今回はニュートンの運動の第3法則「作用・反作用の法則」について解説していこう。

ニュートン運動の法則は力学の基礎の基礎ですが、これを構成する3つの法則はどれをとっても概念的にはとても高度です。
その中でも、「作用・反作用の法則」というヤツは、なかなか理解するのが難しい法則です。わかっているつもりでも多くの人が間違っているんです。「作用・反作用の法則」について物理系ライターのタッケさんと解説します。

ライター/タッケ

物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。

作用反作用の法則について

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作用・反作用の法則はニュートン運動の法則の第3法則

ニュートン運動の法則として次の3つの法則が知られています。

第1法則  慣性の法則
第2法則  運動の法則
第3法則  作用・反作用の法則

第1法則である慣性の法則ついては以下の記事も参考にしてください。

および慣性の法則に関連する慣性力については以下の記事が参考になります。

\次のページで「作用・反作用の法則は簡単?」を解説!/

作用・反作用の法則は簡単?

作用・反作用の法則は現行の物理カリキュラムでは物理基礎の最初に出てくる概念です。
したがって、基礎的な事項といえるでしょう。

しかし、大事なことですが物理学では「基礎事項」イコール「簡単」では決してないということです。それどころか、物理学における基礎事項は理解が難しく高度なものが多く存在します。

例えば、先にあげた慣性の法則ですが、

物体に働く外力が働かないか働いていてもつり合っている場合、物体は等速運動を続ける

などとさらっと教科書等に書いてありますね。
思い出してください。あなたはこれを読んで、「なるほど!」と納得できましたか?この内容はかなり高度だと思います。日常生活では、押すのをやめると、物体は止まってしまうものだからです。

また、あなたは力学のつりあい問題を解くにあたって外力と内力の区別が難なくできましたか?普通はかなり苦戦します。
なぜなら、普段私たちが感じている力にそのような区別はしていないからです。
力のつり合いで外力だけを描くというのは物理の学習で誰もが難しいと感じる部分でしょう。

その他では、重さと質量について、その違いを正確にいえますか。

これらはほんの一部ですが、どれも物理学の基礎の基礎です。しかし、その内容は物理学を深く学習して後、振り返って初めて納得できることも多いことなのですね。

物理の学習ではこのような高度な概念が次から次へと出現し、学習者を悩ませることになります。

その中でも、誤解がとりわけ多いのが今からお話しする「作用・反作用の法則」です。

作用・反作用の法則とは

作用・反作用の法則とは

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作用・反作用の法則

物体1から物体2に力をはたらかせるとき、物体2から物体1へ一直線上逆向きに等しい大きさの力がはたらく

物体1から物体2への力を「作用」とよぶとき物体2から物体1への力を「反作用」と呼びます。あるいは物体2から物体1への力を「作用」とよび、物体1から物体2への力を「反作用」としてもかまいません。また、この力はお互いに瞬間的に働きます。

何のことはない法則だと思われるかもしれません。しかし、この文章をしっかりと読み解くと私たちの常識では考えられないことが書いてあることがわかります。
次にそういった重要なことを列挙しましょう。

作用・反作用の法則は非常識?

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\次のページで「作用反作用の例」を解説!/

・「作用」と「反作用」の力は必ずいつもペアで発生する
・「作用」と「反作用」の力の大きさはいつどのような場合も必ず同じ
・その向きは必ず一直線上逆向き

です。あなたの理解は正しいでしょうか?

しかし、自然はなぜこのような力を律儀にお互いに発生させるのでしょうか?
その答えは「わかりません」。今のところ自然はそうなっていると考えるしかありません。

ニュートン自身は運動量保存則の考察過程から作用反作用の法則を考え付いたのではないかとも言われていますが、真相は不明とされています。

大事なことは、現在までに「作用・反作用の法則」に対しての例外は見つかっていないということです。ということは今のところ「作用・反作用の法則」は自然を支配する根本的な基本法則と考えていいでしょう。

この法則は広大な宇宙の動きから原子の世界までを支配するのです。

作用反作用の例

作用反作用の例

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図を見てください。
子供が飛び上がっています。このとき、子供が地面をける力が地面に対する作用だとすると、地面が子供を押し返す力が反作用です。子供はこの反作用の力によって飛び上がることができます。

ここで先ほどの
・「作用」と「反作用」の力は必ずいつもペアで発生する
・「作用」と「反作用」の力の大きさはいつどのような場合も必ず同じ
・その向きは必ず一直線上逆向き
を思い出しましょう。

これに従えば、「子供が地面をける力」と「地面が子供を押す力」の大きさはいつでも同じで一直線上反対向きになります。作用と反作用の力は、たとえ子供がジャンプの途中で大きな力を加えていてもその瞬間瞬間で常に同じなのです。

同様に次の図ですが、ミニカーを指で押している状況を考えましょう。

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このとき、指がミニカーを押す力とミニカーが指を押し返す力はいつも同じで、一直線上逆向きです。

ミニカーが加速していようが減速していようが止まっていようが、力が加わっている限り、作用と反作用は同じ大きさで一直線上逆向きに働いています。

「作用・反作用」と力のつり合いについて

「作用・反作用」と力のつり合いの関係についても誤解の多いところです。多くの人が混同しています。
ここでつり合いとはなにかについておさらいしてみましょう。

つり合いとは
ある物体に働く外力についてのみ考える。
これら外力の合力が0であるとき、つり合っているといえる。

のでしたね。

作用・反作用の力を思い出してください。

作用・反作用の法則
物体1から物体2に力をはたらかせるとき、物体2から物体1へ一直線上逆向きに等しい大きさの力がはたらく

物体1から物体2への力を「作用」とよぶとき物体2から物体1への力を「反作用」と呼びます。あるいは物体2から物体1への力を「作用」とよび、物体1から物体2への力を「反作用」としてもかまいません。またこの力はお互いに瞬間的に働きます。図をもう一度見ましょう。

image by Study-Z編集部

物体1が物体2に及ぼす力は物体2が受ける外力
一方、物体2が物体1に及ぼす力は物体1が受ける外力

そうですね。そもそも力を受ける対象が違うのです。この力同士は互いに他の物体に作用する力にあり、つり合い関係ではありません。したがってつり合うことはありえないのです。

作用・反作用の間違い例

以下作用反作用に関する典型的な間違い例をあげます。

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「壁を押す力が作用である場合、壁から押し返される力が反作用ですね。その合力が0でない場合、壁は動くか、さもなければ壊れます!」(出典 クイズで学ぶ大学の物理  BLUE BACKS)
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この文のどこがおかしいかわかりますね?

壁を押す力は壁が受ける力で壁から押し返される力は手が受ける力です。力を受ける対象がそもそも違います。さらに、壁が動こうが壊れようがそのままであろうが、作用と反作用はいつも同じ大きさの力ですね。

壁が動くかどうかは、壁が受ける外力についてのみ考えないといけません。
壁が及ぼす力(押し返す力)は壁が受ける外力ではないのです。

まとめ

ニュートンの天才ぶりがわかるひとつの例がこの作用・反作用の法則ですね。

そもそも力とは何でしょうか?考えたこともなかった・・・ですね。
力を本当に考え出すとずいぶん不思議なものだと思いませんか?まして、作用・反作用という力がどんなときも同じ大きさで一直線上逆向きに働くというのも不思議な話です。さらに、力は単独では存在せず必ずペアで存在するというのもおもしろいですね。

最後に、作用と反作用の力の見分け方をお教えしましょう。

AからBに働く力を作用とした場合、反作用は
BからAに働く力ですから、このAとBを入れ替えればよいのです。それらが作用・反作用の関係にあります

例えば、
重力(作用)・・・地球あなたを引く力
反作用・・・あなた地球を引く力 (これも重力ですが)
のように、あなた地球を入れ替えればいいのです。

あなたもあなたにかかる重さと同じ大きさの力で地球を引っ張っているのですよ。

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物理物理学・力学理科

多くの人が勘違い?「作用・反作用の法則」を理系ライターがわかりやすく解説

今回はニュートンの運動の第3法則「作用・反作用の法則」について解説していこう。

ニュートン運動の法則は力学の基礎の基礎ですが、これを構成する3つの法則はどれをとっても概念的にはとても高度です。
その中でも、「作用・反作用の法則」というヤツは、なかなか理解するのが難しい法則です。わかっているつもりでも多くの人が間違っているんです。「作用・反作用の法則」について物理系ライターのタッケさんと解説します。

ライター/タッケ

物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。

作用反作用の法則について

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作用・反作用の法則はニュートン運動の法則の第3法則

ニュートン運動の法則として次の3つの法則が知られています。

第1法則  慣性の法則
第2法則  運動の法則
第3法則  作用・反作用の法則

第1法則である慣性の法則ついては以下の記事も参考にしてください。

および慣性の法則に関連する慣性力については以下の記事が参考になります。

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