「代謝」とは?生物のエネルギー利用の要点を生物専攻ライターが5分でわかりやすく解説!
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まず、ATPは、分子中のリン酸どうしの結合が切り離されるときに多量のエネルギーを放出します。このことから、リン酸間の結合には「高エネルギーリン酸結合」という名前が与えられました。
「生体内でエネルギーをつくって貯える」ことは、「ADP(アデノシン二リン酸,adenosine diphosphate)にリン酸を1つくっつけて、ATPを合成する」と言ってよいでしょう。反対に、「生体内でエネルギーをつかう」ことは、「ATP分子中の高エネルギーリン酸結合を切断してエネルギーを取り出す」と言い換えられますね。
高エネルギーリン酸結合が切れるときに放出されるエネルギーは、さまざまな生命活動のエネルギー源になります。このように、ATPは代謝においてエネルギーの受け渡しを仲立ちしていることが、生体のエネルギー通貨と呼ばれる所以なのです。
同化とは
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同化とは、ATPを「つかって」単純な物質から複雑な物質を合成する反応です。
ジグソーパズルを考えてみてください。バラバラのピースを正確に組み合わせて複雑なパズルを完成させるには、かなりの集中力や根気が必要ですね。
同じように、二酸化炭素からグルコースを合成したり、アミノ酸からタンパク質を合成したりと、単純な物質から複雑な物質を合成するためには、エネルギーが欠かせません。
参考までに、筆者の受験生時代の覚え方です
複雑な物質を合成する = 単独だったものが一堂(“同”)に会する = 同化
異化とは
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異化とは、複雑な物質を単純な物質に分解してエネルギーを「つくる」反応です。
先ほどのようにジグソーパズルを考えてみましょう。完成したパズルを壊すのは簡単ですね。例えば高いところから地面に落とすだけで簡単にピースはばらばらになります。特にエネルギーを加える必要はありません。
例えば、細胞における呼吸ではグルコースが二酸化炭素に分解されます。まさにこのとき、細胞内の酵素がはたらいてエネルギーがつくられているのです。激しい運動をして呼吸が荒くなるのは、からだがより多くのエネルギーを得ようとしているから、ということになります。
呼吸を一度詳しく勉強したことがある方ならきっと、グルコースが解糖系を経てピルビン酸に分解され、クエン酸回路に入り、最後に電子伝達系のATP合成酵素がぐるりと回転してATPがつくられる、という一連の流れを思い浮かべることができるでしょう。呼吸の詳しい反応機構はまた別の記事でご紹介します。
参考までに、筆者の受験生時代の覚え方です
異→異なる→ばらばらなイメージ
化→変化させる
つまり、異化=ばらばらに分解する
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