
「代謝」とは?生物のエネルギー利用の要点を生物専攻ライターが5分でわかりやすく解説!

代謝が良い・悪い、なんて、テレビや日常会話で耳にしたことがある人も多いだろう。ただ、生物学でいう「代謝」とは、少し意味に違いがあるんだ。まずはその違いを説明してから、具体的な現象も交えて代謝の要点をまとめよう。
理系大学生ライターこみとりと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/こみとり
某国立大に通う理系ライター。高校時代から生物の図説を愛読している。今回は生物の重要テーマの1つ、「代謝」についてまとめた。
日常会話で使われる「代謝」という言葉
「代謝がいい」というフレーズを聞いたことはありませんか?
日常会話で使われる「代謝」は、摂取したエネルギーを消費すること自体、あるいはエネルギーの消費効率を指しています。
「代謝が良い人」とは、たくさんご飯を食べても、たくさんエネルギーを消費するため太りにくい一方、「代謝が悪い人」はエネルギーの消費量が少なく、太りやすいということです。
また、「新陳代謝」という言葉も日常的に使われますね。こちらは「古いものと新しいものが次々と入れ替わること」を指す言葉です。細胞の新陳代謝が正常に行われた場合、肌の細胞は約28日で、筋肉の細胞は約2ヶ月で入れ替わるのだとか。
生物学用語としての「代謝」
生物学では、「代謝」というと、生体内で起こる化学反応をまとめて指します。
筋肉などのタンパク質を合成することも、体内に取り込んだ食物を分解することも、呼吸をすることも、すべて「代謝」とみなされるわけです。
もちろん、代謝をしているのはヒトだけではありません。あらゆる生体で、例えば、イヌでもミジンコでも、植物の体内でも代謝は起こっています。
重要なのは、代謝には必ずエネルギーの出入りが伴うということです。
エネルギーが関わる点は、先ほどご紹介した、日常的に使われる「代謝」と共通していますね。
ただ、生物学の「代謝」という用語には、エネルギーを消費することだけでなく、つくって貯えることも含まれます。

ここから先は代謝の詳しい話をしていくが、次に挙げる2つのポイントを念頭において読み進めてくれ。
1. 生体のエネルギー通貨はATPだ。
2. 代謝は、エネルギーをつかう「同化」とATPをつくる「異化」に分けられる。
生体のエネルギー通貨:ATP

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ATPとは、アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate)の略で、アデニン(塩基)、リボース(五炭糖)、3つのリン酸が結合した化合物です。異化が起こるときに合成され、同化が起こるときに分解されます。
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