今日はハロゲンについてです。ハロゲンとは何か知っているか?塩素やフッ素など聞いたことあるでしょう。それもハロゲンの一種です。今日はハロゲンとは何なのか、そしてそれらの生成方法や性質について、化学に詳しいライターどみにおんと一緒に解説していきます。

ライター/どみにおん

化学の塾講師をしている現役大学生。高校時代には化学の参考書を読み漁った。今回はハロゲンの種類と特徴について詳しく解説していく。

ハロゲンとは

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皆さん、ハロゲンという単語を一回は聞いたことがあるでしょう。ただ、「ハロゲンって聞いたことあるけれど何だっけ?」という人も多いかもしれません。

でも大丈夫。ハロゲンは特徴的な性質を持っているので、覚えやすいですよ。そして今回はハロゲンの正体を分かりやすく説明していこうと思います。それでは、早速ハロゲンの種類から見ていきましょう。

ハロゲンの種類

ハロゲンとは、17族元素の総称のことを指します。ハロゲンの種類は下記で全てです。

・フッ素(F)
・塩素(Cl)
・臭素(Br)
・ヨウ素(I)
・アスタチン(At)
・テネシン(Ts)

塩素や臭素など日常生活でよく耳にするものから、アスタチンやテネシンなど聞いたことがないようなものもありますよね。ハロゲンには共通の性質があり、比較的理解しやすい範囲なんです。

ハロゲンの共通の性質

ハロゲンは、17族元素に属しており、最外殻電子に電子が7個入っています。そのため、最外殻電子に電子が8個入っている安定状態(オクテット)を満たそうとするので、電子を引きつける力が非常に強いのです。その結果、ハロゲンは1価の陰イオンになりやすいのですね。

ハロゲンそれぞれの特徴的な性質は?

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ハロゲンは共通の性質があると述べましたが、当然それぞれ異なる性質も存在しているんですね。色、融点、沸点などに違いが存在しているので、詳しく見ていきましょう。今回は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を取り扱っていこうと思います。

ハロゲンの色

ハロゲンの色は有色です。それぞれの色の違いは、簡単に説明すると、吸収する光の波長の違いによるものなんですね。

\次のページで「ハロゲンは気体・液体・固体?」を解説!/

フッ素:淡黄色
塩素:黄緑色
臭素:赤褐色
ヨウ素:黒紫色

ハロゲンは気体・液体・固体?

フッ素と塩素は気体、臭素は液体、ヨウ素は固体です。融点がヨウ素<臭素<塩素<フッ素という順番になっています。この原因は、ファンデルワールス力の大きさによるものです。分子の表面積が大きくなるにつれてファンデルワールス力が大きくなるので、原子番号が大きいハロゲンほど融点、沸点が高くなるということなんですね。

ハロゲンの酸化力

ハロゲンは先ほど述べたように、電子を1個欲しがっているので、酸化力が大きいという特徴があります。しかし、ハロゲンの中でも酸化力の強さの順があり、

フッ素>塩素>臭素>ヨウ素

という順番になっているんですね。この原因は、原子半径によるもの。原子半径が大きくなれば、原子核にある正電荷から最外殻までの距離が遠くなり、電子を引きつける力が弱くなるからということなのです。

ハロゲンの反応と生成方法

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ハロゲンの反応や生成方法はよく問題で出てくるから覚えている方が有利です。せっかくなので、この機会にハロゲンの生成法を見ていきましょう。

フッ素の反応

フッ素は先ほど述べたとおり酸化力がハロゲンの中で最も強く、水を酸化させ激しく反応します。反応式は、

2F2+2H2O→4HF+O2

また、低温・暗所でも水素と爆発的に反応し、反応式は

\次のページで「塩素の生成方法」を解説!/

F2+H2→2HF

となっていますね。よく出てくる反応なので、覚えておきましょう。

塩素の生成方法

洗剤などに使われている塩素。果たしてどのようにつくられているのでしょうか?塩素は工業的には塩化ナトリウム水溶液の電気分解によって生成されています。ただ、他にも生成方法がいくつかあるんですね。

1.酸化マンガン(Ⅳ)に濃塩酸を加えて加熱する
 MnO2+4HCl→MnCl2+2H2O+Cl2

2.さらし粉に希塩酸を加える
 CaCl(ClO)・H2O+2HCl→ CaCl2+2H2O+Cl2

塩素の反応

塩素は水と少し反応し、

Cl2+H2O⇄HCl+HClO

となります。ここで生じた次亜塩素酸HClOは非常に強い酸化作用を持ち、漂白剤などに使用されているんですね。また、水素とは光が当たることで爆発的に反応します。

H2+Cl2→2HCl

臭素、ヨウ素の反応

臭素は少し水と反応しますが、ヨウ素はほとんど水と反応しません。また、どちらも水素とは加熱によって少し反応します。臭素やヨウ素はフッ素や塩素と比べると反応性に乏しくなることを覚えておきましょう。

ハロゲン化水素って?

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上記の反応式を見てもらえばわかると思いますが、ハロゲン化水素は、ハロゲンが水素と反応した時の生成物なんですね。ハロゲン化水素はどれも無色で、よく水に溶け、水溶液は酸性になるんです。ここからは、ハロゲン化水素について解説していきます。

フッ化水素

フッ化水素は、ホタル石(CaF2)に濃硫酸を加えて加熱することで生成します。

\次のページで「塩化水素の生成方法と反応」を解説!/

CaF2+H2SO4→CaSO4+2HF

フッ化水素の水溶液は、水素結合によってH+が電離しにくくなっているので弱酸なんですね!また、フッ化水素酸はガラス(SiO2)を溶かすことで有名ですよね。

SiO2+6HF→H2SiF6(ヘキサフルオロケイ酸)+2H2O

そのため、フッ化水素酸はガラスではなく、ポリエチレン容器に保存するんです。

塩化水素の生成方法と反応

塩化水素の水溶液はみなさんご存知だと思いますが、塩酸といいます。塩酸は、もちろん水素との反応で生成されますが、他にも有名なものがあるんですね。それが、塩化ナトリウムに濃硫酸を加えるというもの。

NaCl+H2SO4→NaHSO4+HCl

ここで気をつけて欲しいのは、この反応は不揮発性の酸の遊離のように見えますが、実際には加熱なしでも反応するので酸塩基の反応であるということです。濃硫酸の第一電離はHClの電離より起きやすいですが、第二電離になると起きにくいので、NaHSO4で反応が止まるということを覚えておいてください!

塩化水素はアンモニアと反応して、白煙(塩化アンモニウム)を生じます。反応式は以下の通りです。

HCl+NH3→NH4Cl

臭化水素とヨウ化水素

臭化水素とヨウ化水素はどちらも無色刺激臭の気体です。それぞれ水に溶けた臭化水素酸とヨウ化水素酸はどちらも強酸なんですね。

ハロゲンは特徴的な性質!

今回はハロゲンについて学びました。ハロゲンは特徴的な性質を持っており、受験問題によく出てくる所なのでしっかり覚えましょう。今日の解説をしっかり吸収して、勉学に活かしていただけると幸いです。

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化学

簡単にわかる「ハロゲン」とは何か?種類や特徴も理系大学生がわかりやすく解説

今日はハロゲンについてです。ハロゲンとは何か知っているか?塩素やフッ素など聞いたことあるでしょう。それもハロゲンの一種です。今日はハロゲンとは何なのか、そしてそれらの生成方法や性質について、化学に詳しいライターどみにおんと一緒に解説していきます。

ライター/どみにおん

化学の塾講師をしている現役大学生。高校時代には化学の参考書を読み漁った。今回はハロゲンの種類と特徴について詳しく解説していく。

ハロゲンとは

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皆さん、ハロゲンという単語を一回は聞いたことがあるでしょう。ただ、「ハロゲンって聞いたことあるけれど何だっけ?」という人も多いかもしれません。

でも大丈夫。ハロゲンは特徴的な性質を持っているので、覚えやすいですよ。そして今回はハロゲンの正体を分かりやすく説明していこうと思います。それでは、早速ハロゲンの種類から見ていきましょう。

ハロゲンの種類

ハロゲンとは、17族元素の総称のことを指します。ハロゲンの種類は下記で全てです。

・フッ素(F)
・塩素(Cl)
・臭素(Br)
・ヨウ素(I)
・アスタチン(At)
・テネシン(Ts)

塩素や臭素など日常生活でよく耳にするものから、アスタチンやテネシンなど聞いたことがないようなものもありますよね。ハロゲンには共通の性質があり、比較的理解しやすい範囲なんです。

ハロゲンの共通の性質

ハロゲンは、17族元素に属しており、最外殻電子に電子が7個入っています。そのため、最外殻電子に電子が8個入っている安定状態(オクテット)を満たそうとするので、電子を引きつける力が非常に強いのです。その結果、ハロゲンは1価の陰イオンになりやすいのですね。

ハロゲンそれぞれの特徴的な性質は?

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ハロゲンは共通の性質があると述べましたが、当然それぞれ異なる性質も存在しているんですね。色、融点、沸点などに違いが存在しているので、詳しく見ていきましょう。今回は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を取り扱っていこうと思います。

ハロゲンの色

ハロゲンの色は有色です。それぞれの色の違いは、簡単に説明すると、吸収する光の波長の違いによるものなんですね。

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