今回は加速度について説明しよう。加速度は時間あたりの速度の変化量です。加速という言葉は聞いたことがあるでしょうが、加速度となるとどうでしょう。このふたつは似ているようで違うんです。

今回は力学を専攻しているライター、eastflowerと解説していこう。

ライター/eastflower

大学で建築構造力学を専攻する学生。構造力学では専門的な考えのほかに中高の物理の知識が基礎となるため、その知識をかみ砕いて説明できるよう心掛けている。

1.加速度の定義

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今回は加速度について説明します。加速度は速度の時間変化を表す量です。

車のアクセルを踏む、ボールを坂から転がすなどすると、速度はどんどん増加していきます。その速度がどれだけの割合で増えていくのか、それが加速度です。

車が少しずつ1時間かけて速度がゆっくり増加するより、アクセルを踏んで一気に速度を出した場合の方が加速度が大きいのですが、これからそれを理解できるよう説明していきたいと思います。まずは定義式を紹介しましょう。定義式は以下の通りです。

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a:加速度
⊿t:微小時間
⊿v:⊿t間の速度の変化

1-1.加速度とは

加速度の定義は、上式のとおり微小時間あたりの速度の変化量のことを表します。(単位時間あたりの、と表記しているものもあります)嚙み砕いて言えば、どれだけ速度が変化したか、のことです。変化したか、なので加速度にも正負の概念があります。

速度v=atという式が成り立つとおり、加速度の単位は[m/s^2]です。これは、時間あたりの速度変化ということからもわかるかと思います。

定義では微小時間とありますが、例えば数秒間の速度の差がわかれば、その間の平均加速度を求めるように用いることもあるでしょう。

2.加速度と加速の違い

加速度の詳しい説明の前に、加速と加速度の違いをお話しましょう。加速度は先にある通り、微小時間あたりの速度の変化量です。つまり、ある時間でどれだけ速度が変化したかの割合を表します。対して、加速は速度が増加することです。速度が大きくなる、そのこと(現象)自体を表します。

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3.加速度の解説

3.加速度の解説

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加速度について、例を通して説明しましょう。

上図は40m/sで走る2つのボールです。上のボールは40m/sで走り続け、下のボールは80m/sまで加速します。加速度とは、速度の時間あたりの増加量です。まずはボールに加速度があるかどうかの判断をします。

上のボールは速度が変化していないので加速度は0であり、対して下の車は速度が増加しているため正の加速度がかかっていることがわかるでしょう。しかし、加速度は時間あたりの量であるため、ここでは具体的な数値は求められません。

3-1.例題

3-1.例題

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では、この図ではどうでしょうか。10秒間で、それぞれボールの速度が10m/sから、80m/sと50m/sに増加していますね。このように速度の変化前と変化後、変化にかかった時間がわかれば、その時間の平均加速度が求められます。上のボールは10秒間で40m/s増加しているため、10秒間の平均加速度は

a=40/10=4[m/s^2]

です。また、下のボールは10秒間で10m/s増加しているため、10秒間の平均加速度は

a=10/10=1[m/s^2]

となります。

\次のページで「4.加速度とv-tグラフ」を解説!/

ここで平均加速度としているのは、加速度の定義が微小時間あたりのものだからです。

この例題では10秒間の速度変化を例にしていますが、その間常に一定の割合で加速度が増加しているとは限りません。(1秒目で2[m/s^2]増加し、2秒目で5[m/s^2]増加していき、10秒間の平均で10[m/s^2]となる可能性もあります。)そのため、このように幅の広い時間で加速度を考える際は、常に一定の割合で増加するという仮定の上で進めるのです。

4.加速度とv-tグラフ

加速度は速度と時間に関係していることはおわかりいただけたでしょう。そのため、加速度はv-tグラフの形にも表れます。以下に、先ほど例に挙げた10秒間で速度が40m/sのまま50m/sまで増加、80m/sまで増加したボールのv-tグラフを示しましょう。ここでは10秒間一定の割合で増加していると仮定しています。

v-tグラフとは、x軸に時間、y軸に速度をとったグラフです。物体の速度の時間変化を表していますよ。このグラフの面積は、物体の移動距離を表します。

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グレーは速度が40m/sで一定の物、オレンジは50m/sまで増加した物、ブルーは80m/sまで増加したものです。

オレンジとブルーの物は速度が増加しているため、グラフの線の傾きは右上がりですね。対して、グレーの40m/sで一定の物は速度が増加しないため、グラフの線も横ばいです。このように加速度が0で速度が一定のものは、等速直線運動とも言います。

図からは、速度の増加量が大きいものほどグラフの傾きが大きいことが読み取れますね。

ここでは時間は10秒間で等しいため、速度の増加量だけでなく加速度も同様の傾向を示していることがわかります。つまり、グラフの傾きは加速度を表し、その傾きから加速度が読み取れるということです。

4-1.v-tグラフは本当か

実際にv-tグラフから加速度を求めてみましょう。まずは、ブルーのグラフについて計算してみます。ブルーのグラフは、0秒では40m/s、10秒のときでは80m/sですね。一次関数の傾きの求め方は、yの増加量/xの増加量なので、

\次のページで「加速度は速度と時間に関係する」を解説!/

(80-40)/(10-0)=40/10=4

となります。これは以前に計算した加速度と同じ値を示しますね。同様に、オレンジ色は0秒では40m/s、10秒のときでは50m/sですので、

(50-40)/(10-0)=10/10=1

です。これも先ほどの加速度と同じ値ですね。

加速度は速度と時間に関係する

加速度は時間あたりの速度の増加量です。定義では微小時間ですが、あくまでも定義ですので、こだわらずに考えていただければと思います。また、[m/s^2]という単位から速度と時間とも計算できる単位のものです。

このような速度と加速度の関係について限りませんが、その単位を見ることで、式を立てるきっかけになることが多いので覚えておいてください。

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物理物理学・力学理科

3分で簡単にわかる「加速度」!求め方や単位・v-tグラフも力学専攻学生がわかりやすく解説!

ここで平均加速度としているのは、加速度の定義が微小時間あたりのものだからです。

この例題では10秒間の速度変化を例にしていますが、その間常に一定の割合で加速度が増加しているとは限りません。(1秒目で2[m/s^2]増加し、2秒目で5[m/s^2]増加していき、10秒間の平均で10[m/s^2]となる可能性もあります。)そのため、このように幅の広い時間で加速度を考える際は、常に一定の割合で増加するという仮定の上で進めるのです。

4.加速度とv-tグラフ

加速度は速度と時間に関係していることはおわかりいただけたでしょう。そのため、加速度はv-tグラフの形にも表れます。以下に、先ほど例に挙げた10秒間で速度が40m/sのまま50m/sまで増加、80m/sまで増加したボールのv-tグラフを示しましょう。ここでは10秒間一定の割合で増加していると仮定しています。

v-tグラフとは、x軸に時間、y軸に速度をとったグラフです。物体の速度の時間変化を表していますよ。このグラフの面積は、物体の移動距離を表します。

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グレーは速度が40m/sで一定の物、オレンジは50m/sまで増加した物、ブルーは80m/sまで増加したものです。

オレンジとブルーの物は速度が増加しているため、グラフの線の傾きは右上がりですね。対して、グレーの40m/sで一定の物は速度が増加しないため、グラフの線も横ばいです。このように加速度が0で速度が一定のものは、等速直線運動とも言います。

図からは、速度の増加量が大きいものほどグラフの傾きが大きいことが読み取れますね。

ここでは時間は10秒間で等しいため、速度の増加量だけでなく加速度も同様の傾向を示していることがわかります。つまり、グラフの傾きは加速度を表し、その傾きから加速度が読み取れるということです。

4-1.v-tグラフは本当か

実際にv-tグラフから加速度を求めてみましょう。まずは、ブルーのグラフについて計算してみます。ブルーのグラフは、0秒では40m/s、10秒のときでは80m/sですね。一次関数の傾きの求め方は、yの増加量/xの増加量なので、

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