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「インディアン」の現在は?西部開拓時代の消された歴史を元大学教員が徹底解説

先住民(インディアン)は開拓者の前進を阻む存在

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By Siegel, Cooper & Co. – This image is available from the United States Library of Congress‘s Prints and Photographs division under the digital ID cph.3c12856. This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing for more information., パブリック・ドメイン, Link

強制移住により苦汁を強いられた先住民(インディアン)。アメリカの歴史のなかで事実はさまざまに歪められました。その代表的な歴史記述が白人開拓者の前進を阻む存在とみなすものです。

先住民(インディアン)は「野蛮」な存在として位置づけられた

アメリカ史のなかで白人開拓者は「英雄」のような存在。「未開」の地にあらわれる先住民(インディアン)と戦いをくりひろげ、テリトリーを拡大させていきます。それは「野蛮」な人々を退け、その地を「文明化」するという考えでした。

このような考え方は20世紀に入ってからも長く続きます。西部開拓期の映画にでてくる先住民(インディアン)は好戦的で狂暴。その生活も不気味なものとして描かれました。白人開拓者は「文明」、先住民(インディアン)は「野蛮」と対比されたのです。

「よいインディアンは死んだインディアン」

その一方「よいインディアンは死んだインディアン」という見方も浸透しました。そのような見方が出現したのは19世紀から20世紀にかけて。主に西部の生活を描いた小説や映画を通じて広まりました。

ここで登場する先住民(インディアン)は、白人入植者に影響されてキリスト教に改宗。文明化することのすばらしさを知ります。先住民(インディアン)と白人入植者の衝突が勃発。自ら犠牲になる道を選ぶ者が「よいインディアン」の典型でした。

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先住民(インディアン)のなかには武力をもって開拓者に立ち向かう部族もいた。それは野蛮だからではなく先祖代々の土地を守るため。受け継がれてきた土地を引き渡すことは、先祖を敬う気持ちが強い人々にとって考えられないことであったんだ。

先住民(インディアン)の権利を主張する運動の活発化

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By Tripodero (talk) – New SVG derived from the source PNG image I created, as to restore the original Public Domain attribute. Based on the Flag of the American Indian Movement, author uncertain. このW3C-unspecified ベクター画像Inkscapeで作成されました., パブリック・ドメイン, Link

「フロンティアの消滅」が宣言されたあと、先住民(インディアン)は長らく指定されたインディアン居留地にて、貧しい生活をすることを強いられました。1940年代にはいると、アメリカ国家に対する先住民(インディアン)の貢献と地位向上を主張する動きが出てきます。

アメリカインディアン国民会議(NCAI)がロビー活動を展開

1944年、ワシントンD.C.に設立されたのがアメリカインディアン国民会議(NCAI)。部族の代表たちで構成された組織です。第二次世界大戦における先住民(インディアン)の貢献などから発言力を高めていきました。

NCAIはデモをしないことが方針。活動の場は合衆国議会にとどまりました。先住民(インディアン)に不利な法案を撤廃させるなど、小さい成果をだしています。しかし、人種差別などの根本的な問題を解決することはできませんでした。

アメリカインディアン運動(AIM)は直接的行動を特徴とする

都市部で最下層の生活を強いられる先住民(インディアン)の若者は、デモなどの直接的な行動にでるアフリカ系アメリカ人の公民権運動に刺激をうけるように。そこで設立されたのがアメリカインディアン運動(AIM)です。

AIMは、先住民(インディアン)のアイデンティティーを取り戻す必要性を主張。伝統的な服装や髪形、儀式や風習を復活させることを試みました。また、マスコミが集まるお祭りなどで破壊活動を展開、AIMの存在と主張をアメリカ全土に広めるに至ります。

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hikosuke