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「インディアン」の現在は?西部開拓時代の消された歴史を元大学教員が徹底わかりやすく解説

北極圏で暮らす先住民(エスキモー・アレウト)

カナダの北部やアラスカ州などに住んでいる先住民は「エスキモー・アレウト」と呼ばれています。エスキモーという言葉も総称で、正確には「イヌイット」と「ユピック」。主にロシア極東に住んでいる先住民がアウレトに区分されます。

北極圏の先住民は狩猟をしながら移動生活をしました。イグルーと呼ばれるかまくらのような雪の家で生活。移動ではそりが使われました。命をささえたのがあざらしやクジラの肉。極寒の厳しい生活を乗り越えるために一夫多妻の団体的な家族をもつ習慣もありました。

ハワイ島に住んでいる先住民(ハワイ原住民)

現在、ハワイ諸島はアメリカ合衆国の一部ですが、もともとは先住民が暮らす場所でした。1778年にイギリス人のキャプテン・クックがハワイ諸島に来たことをきっかけに、白人の入植者が増えていきます。

3つに分裂していた王国をまとめてハワイ王国をつくったのがカメハメハ1世。白人入植者から武器を譲り受けて統合をなしとげました。その後、1800年代にはいるとイギリスとフランスがハワイをめぐって争い始めます。最終的に1898年、アメリカ合衆国によりハワイが併合されました。

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何気なく「インディアン」と言っていたが、いろいろな問題が入り組んでいる。すべてに共通するのが白人入植者に翻弄されてきた過去。もともと自然と調和した暮らしをしていたが、入植者がもちこんだウィスキーが原因で、堕落した生活をするようになった人々も多かったらしい。

アメリカ国旗の13植民地は先住民(インディアン)を排除して形成

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By Unknown or not provided – U.S. National Archives and Records Administration, Public Domain, Link

アメリカの愛国の印となるのが「星条旗」。星は現在のアメリカの州の数。青いストライプは最初の入植で形成された13植民地を意味します。13植民地の形成はアメリカの歴史のスタートであると同時に、先住民の住みかを奪うことでした。

土地や契約の概念がなかった先住民(インディアン)

アメリカ大陸に入ってきたヨーロッパの入植者が、いとも簡単に先住民(インディアン)の土地を奪うことができたのは、文化の違いにあります。先住民(インディアン)は、土地の所有や契約の概念を持っていませんでした。

入植者たちは表面的には契約をかわしましたが、その内容は一方的であったと言われています。また、先住民(インディアン)は、ものを貨幣の価値に変えて考える習慣がありません。土地の搾取のかわりに、まったく見合わないものを与えていました。

インディアン移住法の制定がつくったのは「涙の道」

先住民(インディアン)の強制移住を合法化するためにつくられたのが「インディアン移住法」。1830年にジャクソン大統領により制定されました。とくにアメリカ南部の入植を推しすすめるための施策だったようです。

アメリカ南部にはチェロキー族という大きな部族がいました。この部族はヨーロッパの習慣を採用していることから土地をめぐる交渉が難航。そこでチェロキー族を無理やり追い出すために法律を作ってしまったのです。

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最終的にチェロキー族は強制移住によりアメリカ南中部のオクラホマまでの長い旅を強いられる。15,000名いたチェロキー族の約半分が、強制移住の途中で病気により亡くなったそうだ。そこからその移動は「涙の道」と呼ばれている。

\次のページで「先住民(インディアン)は開拓者の前進を阻む存在」を解説!/

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