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「インディアン」の現在は?西部開拓時代の消された歴史を元大学教員が徹底解説

よぉ、桜木建二だ。アメリカ先住民である「インディアン」。アメリカ大陸に住んでいるのに、どうして「インディアン」よ呼ばれるのだろうか。「インディアン」という表現はアメリカ大陸を征服したヨーロッパの入植者の立場によるもの。長いあいだ「インディアン」の歴史は歪められて伝えられてきた。

そこじゃ、アメリカ史における「インディアン」の位置づけやその歴史について、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/ひこすけ

文化系の授業を担当していた元大学教員。専門はアメリカ史・文化史。西部開拓時代のアメリカを見ていくとき「インディアン」その存在を避けて通ることはできない。「インディアン」の歴史は、白人入植者の目線による歴史のなかで歪められてきた。そこで、「インディアン」をキーワードに西部開拓時代の歴史と現代における影響をまとめてみた。

「インディアン」という表現は適切ではない?

image by PIXTA / 49193173

何気ない文章のなかで「インディアン」という表現を目にすることがあります。日本ではあたりまえのようにこの表現が使われますが、現在のアメリカ合衆国ではNG。差別用語とみなされるため要注意。「先住民」を意味するNative AmericansもしくはIndigenous peoplesが正しい呼び名です

新大陸の先住民はみんな「インディアン」と名付けられた

「インディアン」を直訳すると「インド人」。その理由が大航海時代のコロンブスの探検にあります。南北アメリカの中間にあるカリブ諸島に到着したとき、コロンブスはインドに着いたと勘違いして、先住民を「インディオス」と名付けました。

そこから北アメリカ大陸の先住民は英語読みで「インディアン」と総称されることに。つまり「インディアン」は、ヨーロッパの白人の立場からつくられた歴史のなかの呼称。アメリカ大陸に以前から住んでいた先住民の歴史を無視した呼び方であり、現在は改められています。

アメリカに先住する個々の「部族」を尊重

くわえて「インディアン」という呼び方にはもうひとつの問題が。それは先住民と一口で言っても、そこには多種多様な「部族」が含まれていることです。「部族」の数は正式に認められているものだけでも500以上。それぞれに固有の歴史、風習、集団の規律などが根付いています。

便宜上「先住民」と総称することがあっても、それぞれの部族は独立した存在。ひとつのグループにくくることは適切ではありません。「スー族」「アパッチ族」「ダコタ族」というように、それぞれの部族の名前で呼ぶことがベストです。

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本来はそれぞれの部族名をあてることがいちばんいい。ただ現実的にそれをするのは困難だ。また、日本では「インディアン」という表現がいまだ根強く残っている。そこで苦肉の策であるが、先住民(インディアン)という表現を使って話を進めていくことにした。

アメリカの先住民(インディアン)は大まかに3つに分類される

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By G. Mülzel – Nordisk familjebok (1904), vol.1, Amerikanska folk [1] (the colour version is available in this zip-archive). Nordisk Familjebok has credited the image to Bibliographisches Institut, Leipzig., パブリック・ドメイン, Link

アメリカの歴史で先住民(インディアン)というとき、おおまかに3つのグループが含まれています。それが「インディアン・インディオ」「エスキモー・アレウト」そして「ハワイ原住民」。それぞれまったく異なる文化が形成されています。

南北アメリカに居住する先住民(インディアン・インディオ)

わたしたちが先住民(インディアン)と聞いたとき、多くの人が思い浮かべるのが南北アメリカに住んでいる先住民です。北アメリカは英語読みで「インディアン」。南アメリカはスペイン語読みで「インディオ」となります。

アメリカの西部開拓史のなかで登場する先住民(インディアン)は、この北アメリカに住んでいる人たち。主にイギリス系の開拓者と衝突しました。一方、南アメリカの先住民(インディオ)の居住地はスペインもしくはポルトガルの支配下。そのためことなる経緯をたどります。

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