元気にやっているか?

受験は長丁場です。あせらずじっくりやっていこう。
今回は入試で要チェック! コンデンサってヤツは入試に良く出るんですね。
それではコンデンサについて物理系ライターのタッケさんと解説していきます。

繰り返すが、この分野は非常に良く出るんです。くれぐれも取りこぼしのないようにな。

ライター/タッケ

物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。今回は入試頻出の「コンデンサ」について考えてみた。

コンデンサとは

image by iStockphoto

大学入試で非常に良く出る分野としてはもちろん力学ですが、他にひとつあげるとしたら電磁気です。多くの高校では、電磁気の分野は3年次の物理の最後のほうで学習します。皆さん実感されていると思いますが、やはり難易度もそれなりに上がってきていますね。

電磁気分野のなかでも、コンデンサは頻出分野といえるでしょう。
教科書の内容を理解することはもちろんですが、コンデンサの問題は現在の大学入試ではいろいろなバリエーションが考案されています。そのため、なかなか攻略が難しい分野といえるのです。

ところで、そもそもコンデンサとは何でしょうか。
もちろん電子部品ですが、何をするための機器だと思いますか?

そうですね、単純にいうと、電気(電荷)をためるためのものです。
コンデンサを日本語でいうと「蓄電器」といいます。電気をためる機器、という意味ですね。

コンデンサはその特性を利用して、いろいろな回路で使用されています。
ここでは、コンデンサの構造と特性を理解することが目標です。

コンデンサのしくみ

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コンデンサの構造を見ていきましょう。

簡単なコンデンサは金属の板を2枚、向かい合わせて作ります
あなたも簡単に作ることができますよ。では作ってみましょう。

アルミ箔を2枚用意します。この2枚でラップを一枚はさめば出来上がりです。
このとき、ラップは絶縁のために入れます。なので、もし2枚のアルミ箔が触れ合わなければ、なしでもかまいません。

image by Study-Z編集部

これで立派にコンデンサとしての機能をはたします。この金属の上に電気がたまるのですね。
実用上はともかく、ラジオなどの回路で実際に使用可能です。

\次のページで「比誘電率」を解説!/

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コンデンサの構造としては、原理的には図のように金属を対抗させているのです。このとき、電池は電気を運ぶポンプの役割をしています。この図の場合はコンデンサの片側の極板から電子を奪い取ってもう一方のの極板に運んでいるのです。(+の電気をはぎとってもう一方の極板に運んでいると考えても良い。)

そのため、電池の+側に接続したコンデンサの極板は+に帯電するのです。当然、その逆の-側の極板は-に帯電します。

こうしてコンデンサは電気をためることができるのです。
電気がたまった後に電池を切り離しても勝手に電気が逃げることはありません。それはなぜだかわかりますか?

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コンデンサの極板には+と-の電気がたまっているので、お互いにクーロン力で引き合います。そのため、極板を他の電気が流れるものに接触させない限り電気は保持されるのです。

クーロン力は、クーロンの法則に従います。
すなわち、電荷間の距離が短ければ短いほど大きな力が働くのです。

したがって、コンデンサの極板間の距離が短いほどコンデンサの極板上でのクーロン力の影響が大きくなりたくさん電気をためることができます。

また、当然、極板の面積が広いほど電気がたまるはずですね。
コンデンサの電気をためる能力のことを電気容量といい、Cで示します。
まあ、バケツでいうとバケツの容量、つまり水をためることができるバケツの大きさというくらいの意味です。

コンデンサの電気容量の単位としては、電圧を 1 V 加えたとき 1C の電気(電荷)を蓄えることができる電気容量を 1 F(ファラド)と定めました。

 F はコンデンサとしては大きな数値なので、μF(マイクロファラド)や nF(ナノファラド)、 pF(ピコファラド)などが良く使われています。ここで、
   μ (マイクロ)・・・ 106
   n(ナノ)・・・ 109 
   p (ピコ)・・・ 1012 
です。

このCの大きさは、コンデンサの極板間距離 d に反比例し、その面積 S に比例するのでしたね。

つまり、コンデンサの「バケツの容量」は金属板どうしが近いほど大きく、金属板面積が広いほど大きいのです。よって、

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ここで ε は、コンデンサによって違う値をとる比例定数と考えてください。極板間距離 d  極板面積 S とした場合、この式で示せるのです。

次に、コンデンサの極板間が真空の場合を考えましょう。
そして真空のときの比例定数( ε ) を εo と定めます。

比誘電率

さて、コンデンサ間に何か物を挟むとどうなるでしょうか?
ここでは、極板間に絶縁体を挟むことを考えましょう。

コンデンサの極板間に絶縁体を挟むと、コンデンサの電気容量は一般に増加していくのです。

このとき増加する割合を考えて、真空のときの εr 倍になるとします。
この εr を比誘電率と呼ぶのです。ここで、

ε = εr × εo

として、この ε を単に誘電率といいます。
すなわち、比誘電率とは真空のときの何倍なのかを示す量です。
よって、

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となりますね。

では、主な物質の比誘電率を以下にあげます。

空気・・・1.0
紙・・・3.2
チタン酸バリウム・・・5000

です。

ということは、間が空気の場合は 1.0 なので真空と同じ値。間にチタン酸バリウムを挟むと、単純に電気容量は5000倍になるということですね。

なぜ間に物を挟むと電気容量が大きくなるのでしょうか?それは絶縁体がコンデンサの極板の近くで誘電分極したために、極板同士が近くなったのと同様な効果をもたらすからです。このあたりの詳細については別の機会に詳しく解説したいと思います。

そうですね。

コンデンサは基本的に両極版は絶縁しているので回路は切れていることになるのです。
しかし、コンデンサの両極版が接触していると、もはやコンデンサとしての役目を果たすことができません。

コンデンサは電気をためたり出したりをして回路に活かされているのです。
特に交流電源では+と-が入れ替わります。その結果、コンデンサの極板にたまる電気も入れ替わるため、まるでつながっているかのように電流が流れるのです。

コンデンサの基本 まとめ

コンデンサは基本的に電気をためる機器です。

教科書の内容はコンデンサの基礎が詳しく書かれています。しかし、現代の物理の入試に出題されるコンデンサの問題はさまざまなバリエーションが考案されており、なかなか一筋縄ではいかないことも多いのです。

まずは、基本的なコンデンサの仕組み、電気容量、誘電率の意味、をしっかり理解しましょう。その上で、問題にトライしていってください。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

入試で要チェックの「コンデンサ」を物理系ライターがわかりやすく解説

元気にやっているか?

受験は長丁場です。あせらずじっくりやっていこう。
今回は入試で要チェック! コンデンサってヤツは入試に良く出るんですね。
それではコンデンサについて物理系ライターのタッケさんと解説していきます。

繰り返すが、この分野は非常に良く出るんです。くれぐれも取りこぼしのないようにな。

ライター/タッケ

物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。今回は入試頻出の「コンデンサ」について考えてみた。

コンデンサとは

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大学入試で非常に良く出る分野としてはもちろん力学ですが、他にひとつあげるとしたら電磁気です。多くの高校では、電磁気の分野は3年次の物理の最後のほうで学習します。皆さん実感されていると思いますが、やはり難易度もそれなりに上がってきていますね。

電磁気分野のなかでも、コンデンサは頻出分野といえるでしょう。
教科書の内容を理解することはもちろんですが、コンデンサの問題は現在の大学入試ではいろいろなバリエーションが考案されています。そのため、なかなか攻略が難しい分野といえるのです。

ところで、そもそもコンデンサとは何でしょうか。
もちろん電子部品ですが、何をするための機器だと思いますか?

そうですね、単純にいうと、電気(電荷)をためるためのものです。
コンデンサを日本語でいうと「蓄電器」といいます。電気をためる機器、という意味ですね。

コンデンサはその特性を利用して、いろいろな回路で使用されています。
ここでは、コンデンサの構造と特性を理解することが目標です。

コンデンサのしくみ

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コンデンサの構造を見ていきましょう。

簡単なコンデンサは金属の板を2枚、向かい合わせて作ります
あなたも簡単に作ることができますよ。では作ってみましょう。

アルミ箔を2枚用意します。この2枚でラップを一枚はさめば出来上がりです。
このとき、ラップは絶縁のために入れます。なので、もし2枚のアルミ箔が触れ合わなければ、なしでもかまいません。

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これで立派にコンデンサとしての機能をはたします。この金属の上に電気がたまるのですね。
実用上はともかく、ラジオなどの回路で実際に使用可能です。

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