今回は化学実験や反応式で何度も登場する「金属」について勉強していこう。

金属といえば鉄や銅、アルミニウムのように生活の中でたくさん使われていますね。そんな金属には共通する条件があるのを知っているか?

テストでも金属の性質に関連した問題はかなり多い。化学が苦手でも、難しい知識はなくても理解できる内容だから、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

金属ってどんなもの?

Atom(ver.2018.06).jpg
By iseri - http://www.chiba-kc.ac.jp/user/~iseri/siryo/atom.pdf, CC 表示-継承 4.0, Link

まずは金属とはどんなものがあるか挙げてみましょう。いくつ思いつくでしょうか。

鉄や銅、アルミニウムや銀といったものを思い浮かべる人が多そうですね。これらは実験でもよく使われるものですから、きっと皆さんも聞いたことがあるでしょう。

しかしあなたが想像する以上に金属にはたくさんの種類があるのです。試しに理科の教科書に載っている周期表を見てみましょう。金属元素非金属元素で元素を分けたとき、金属元素の多さに驚くかもしれませんね。

これらの金属には、共通する条件があるのです。

1.金属光沢がある

image by iStockphoto

折り紙を思い浮かべてみましょう。黄色と金色の違いは何だと思いますか?

似たような色なのに金色は黄色にはない輝きを持っているのがわかりますね。もちろん実際に折り紙は紙からできているので金属とは言えませんが、これが光沢というものです。

あなたの想像した金属はどれもキラキラと輝いているのではないでしょうか。メダルや硬貨は新品なものであれば光沢がありますよね。真新しいステンレスのキッチンであれば、きっと鏡のように表面が磨きあげられていることでしょう。

金属には磨けば光るという性質があり、それを金属光沢といいます。

1-1.磨き直せば何度でも輝きを取り戻す

きっと自宅にある銅や鉄、ステンレスのフライパンも、買ったばかりの頃は光沢があったでしょう。それが次第に傷付き、焦げなどの汚れで光沢を失っていったと考えられます。しかし金属は金属として存在している限り、再度磨けば輝きを取り戻すのも金属の条件です。

もしお母さんの許可が下りれば、お掃除のお手伝いがてら磨かせてもらうのもいいかもしれませんね。

しかし酸化実験ではもともとの金属には光沢がありますが、酸化することで色が変わりその輝きは失われるのを解説しました。見た目の変化は、その物質が金属から金属ではない化合物に変わってしまったという1つの証明になるのです。

\次のページで「2.熱や電気をよく通す」を解説!/

2.熱や電気をよく通す

image by iStockphoto

フライパンやお鍋、お玉などの調理器具を思い出してみましょう。金属製のものは取っ手の部分に木やゴム、シリコンで出来たカバーがついていませんか?

金属のフライパンでお肉が焼けるのは金属が熱をよく伝えるからで、取っ手のカバーは火傷を防ぐためのものですよね。熱をよく伝えるという性質、熱伝導率の高さは金属の大切な条件です。

伝えるのは熱だけではありません。物理の授業でも習った回路を作るうえで、金属の配線はなくてはならないものですよね。金属は電気をよく通す、電気伝導率の高さももう1つの特徴なのです。

2-1.伝導率の高さを応用した技術

あなたはカチカチのアイスでも食べることのできるアイス専用スプーンを知っていますか。

これは熱伝導率の高い金属を利用し、体温をアイスまで伝えることで固いアイスもすくえるようになったものです。アイスが解け始めるのを待つことなく食べられるとあって人気商品となりました。ぜひお店で見つけたら試してみてくださいね。

中学生のみなさんであれば、はんだ付けをやったことがある人も多いでしょう。これには金属の電気伝導率の良さが応用されています。

金属と金属を繋ぎ合わせて回路をつくる際、その隙間を埋めるものは電気が流れるのを阻害するものであってはなりません。だからこそ、電気をよく通すはんだと呼ばれる鉛とスズを主成分にした合金が使われるのです。

3.叩いたり圧力をかけたりすれば伸びる

image by iStockphoto

金属からできている製品は世の中にたくさんありますよね。それも、金属が加工しやすい性質を持っているからにほかなりません。

大きいものでいえばジェット機や船などにも金属板は用いられ、小さいものではスマホやテレビの中のごく小さなパーツにも金属が使用されています。これは金属に叩いたり圧力をかけたりすれば伸びるという性質があるからです。

引っ張る力を加えることで変形する延性圧力をかけることで変形する展性、この2つを合わせて展延性と呼びます。

3-1.金属加工に欠かせない展延性

延性を利用した金属製品といえば針金がその代表でしょう。金属の塊を引っ張って伸ばすことで、限りなく細く長い1本の線のように加工することができるのです。

展性を利用するものといえばアルミホイルや金箔ですね。一般家庭で使われるアルミホイルは約1000分の12mm、金箔に至っては1000分の1mmという薄さです。あまりにも薄すぎて触ったらすぐ破れてしまいそうですよね。

金はアクセサリーや金箔に加工できることからもわかるように延性・展性の両方に優れています。しかし鉛のように展性のみが高いという金属もあり、その傾向は金属によって様々です。

\次のページで「4.磁石につきやすいのも条件の1つ?」を解説!/

4.磁石につきやすいのも条件の1つ?

image by iStockphoto

先に挙げた3つの条件の程度は金属ごとに異なるとはいえ、全ての金属に当てはまる条件です。それに加え、磁石につくかどうかを金属の条件と考えた人はきっと少なくなりませんよね。

実際に硬貨で試してみましょう。硬貨は確かに複数の金属からできた合金ですが、必ずしも磁石にくっつくものではないはずです。それもそのはず、1円玉の主成分であるアルミニウムは磁石に反応しないものの代表ですよね。

これからわかるように、金属の条件として磁石にくっつくかどうかは必須条件ではありません。しかし、あくまでも必須ではないというだけで、金属の性質の1つとして覚えておきたいですね。

また、水銀を除き常温時に固体であることも忘れがちな金属の条件です。当たり前のようですが、しっかりチェックしておきましょう。

金属の条件は身の回りの金属製品でおさらい!

金属は水銀を除き常温時に固体であり、光沢があって伝導率が高く、展延性を持つものと覚えましょう。

金属は身の回りに溢れているものではありますが、その性質について知るとまた違った見え方ができるようになります。この金属製品はこの性質が応用されているんだ!と楽しみながら勉強できるといいですね。

今回解説した内容は、テストでは「化学反応前、もしくは後の物質が金属であるかどうかを調べる方法」を問う問題でもよく出てきます。記号や計算式を覚えていないと解けない問題とは異なり、身の回りをヒントに解ける問題の1つですよね。身近な化学を楽しむ気持ちを持てば、それが自然とあなたの知識になっていきますよ。

" /> 中学理科の記述問題で頻出!「金属」であることの条件を元塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
化学無機物質理科

中学理科の記述問題で頻出!「金属」であることの条件を元塾講師がわかりやすく解説

今回は化学実験や反応式で何度も登場する「金属」について勉強していこう。

金属といえば鉄や銅、アルミニウムのように生活の中でたくさん使われていますね。そんな金属には共通する条件があるのを知っているか?

テストでも金属の性質に関連した問題はかなり多い。化学が苦手でも、難しい知識はなくても理解できる内容だから、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

金属ってどんなもの?

まずは金属とはどんなものがあるか挙げてみましょう。いくつ思いつくでしょうか。

鉄や銅、アルミニウムや銀といったものを思い浮かべる人が多そうですね。これらは実験でもよく使われるものですから、きっと皆さんも聞いたことがあるでしょう。

しかしあなたが想像する以上に金属にはたくさんの種類があるのです。試しに理科の教科書に載っている周期表を見てみましょう。金属元素非金属元素で元素を分けたとき、金属元素の多さに驚くかもしれませんね。

これらの金属には、共通する条件があるのです。

1.金属光沢がある

image by iStockphoto

折り紙を思い浮かべてみましょう。黄色と金色の違いは何だと思いますか?

似たような色なのに金色は黄色にはない輝きを持っているのがわかりますね。もちろん実際に折り紙は紙からできているので金属とは言えませんが、これが光沢というものです。

あなたの想像した金属はどれもキラキラと輝いているのではないでしょうか。メダルや硬貨は新品なものであれば光沢がありますよね。真新しいステンレスのキッチンであれば、きっと鏡のように表面が磨きあげられていることでしょう。

金属には磨けば光るという性質があり、それを金属光沢といいます。

1-1.磨き直せば何度でも輝きを取り戻す

きっと自宅にある銅や鉄、ステンレスのフライパンも、買ったばかりの頃は光沢があったでしょう。それが次第に傷付き、焦げなどの汚れで光沢を失っていったと考えられます。しかし金属は金属として存在している限り、再度磨けば輝きを取り戻すのも金属の条件です。

もしお母さんの許可が下りれば、お掃除のお手伝いがてら磨かせてもらうのもいいかもしれませんね。

しかし酸化実験ではもともとの金属には光沢がありますが、酸化することで色が変わりその輝きは失われるのを解説しました。見た目の変化は、その物質が金属から金属ではない化合物に変わってしまったという1つの証明になるのです。

\次のページで「2.熱や電気をよく通す」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: