今回のテーマは「熱伝導性」、物質内部を熱が伝わっていく現象。例えば、冷たい物と熱いものをくっつけておくと、どちらもぬるくなるでしょう?あれは熱い物から冷たい物に熱が移動するからなんです。

そういった「物質内の熱の移動」について理科教員を目指すR175と一緒に解説していきます。

ライター/R175

理科教員を目指すブロガー。前職で真空設備や高温設備を扱っていた。その経験を活かし、教科書の内容を実際の現象に照らし合わせて分かりやすく解説する。

1.熱伝導性とは

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熱伝導とは物質内を熱が伝わっていく性質です。身の回りで熱伝導性が関係している現象といえば、「お湯を入れたお茶碗が徐々に熱くなっていく」とか、「冷たいジュースが入った缶を長時間握っているとぬるくなる」といった現象。

熱い物と冷たい物が触れ合うと、熱は「熱い物A→冷たい物B」に移動し、最終的に同じ温度になろうとします。熱い物ほど物質内部の運動が激しく、それが(あまり運動が激しくない)冷たい物Bに伝わっていくというもの。

2.熱の定義

2.熱の定義

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そもそもなぜ物は熱くなるのか?熱の定義とは?

一言でいうと物質を構成している粒子(原子or分子)が不規則に揺れ動いているからです。原子が揺れ動いている状態を人間は「熱い」と認識するもの。原子が「パチパチ」当たってくると人間がそれを感じ「熱い」として認識(熱いと痛いは似ているかもしません)。そして、手で触れない範囲の温度範囲においても「熱」を定義していったのです。

さて水を例にとって、熱運動の様子を観察してみましょう。H2O分子ではHとOが近づいたり離れたり(振動)、回転したり、HとOの間の角度が変わったりします。こうやって不規則に揺れ動いている原子たちの運動エネルギー=熱エネルギーであり、運動が激しければ激しいほど「熱い」のです。このような運動を熱運動といいます。

原子が全く動かない時

ちなみに、こういった原子の運動が全くない状態がいわゆる絶対零度です。摂氏-273.15℃。原子が全く動かず、ぴたりと止まっている状態。物質はこれ以上低い温度になることはできません。

3.熱はどうやって伝わるのか

物質内での原子の運動の激しさ=熱です。激しく動いてる物の隣にほとんど動いていない物があったらどうなるでしょうか?

\次のページで「3-1.熱運動の伝播~ミクロ、原子レベル~」を解説!/

3-1.熱運動の伝播~ミクロ、原子レベル~

3-1.熱運動の伝播~ミクロ、原子レベル~

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熱の伝播に関し、原子レベルの小さいスケールで見てみましょう。物質内で原子が揺れ動いていると、その動きが結合等を通じて隣の原子にも伝播

イラストに示すように、隣の原子が揺れ動くと、また隣の原子、隣の原子と順に揺れ動いていきます。つまりある原子が熱を持っていると、隣の原子、また隣の原子といった具合に順に熱が伝わっていくわけです。

3-2.熱の伝播~マクロ、観察できるレベル~

3-2.熱の伝播~マクロ、観察できるレベル~

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ここでは、我々が直感的に認識できる「マクロ」な現象と原子レベルの「ミクロ」な現象を結び付けます。

さて、鉄板の1か所に熱をかける実験をされたことはあるでしょうか?

金属の板を熱すると、同心円状に熱くなっていきますよね。それは、3-1項で述べた通り、熱運動が隣接する原子に順に伝わっていくからなのです。熱運動が伝わる現象のスケールを大きくしたのが鉄板上で熱が同心円状に伝わる現象。

原子レベルでの熱運動。肉眼で見えないので想像しにくいですが、鉄板を加熱した時の同じことが極小さなスケールで起こっているのです。

4.熱の伝わりやすさ

4.熱の伝わりやすさ

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原子の運動が隣の原子にも伝わることで熱が伝わります。

仮に、原子が運動してるのに隣の原子には全然伝わりそうにない配置をしてたらどうでしょうか?

隣の人がアツくなっていても御構いなし。といった具合です。

熱は伝わるでしょうか?

逆はどうでしょうか?隣の原子が動いてたらすぐ影響される状態。

このように、原子と原子の並び方やつながり方は熱の伝わり方に大きく影響します。

結合の種類と熱の伝わり方の例を見ていきましょう。

4-1.結合と熱の伝わり方〜共有結合〜

4-1.結合と熱の伝わり方〜共有結合〜

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共有結合とは、自分の持ってる電子を隣の原子と共有して結合すること。いわばガチガチにつながっている状態です。

隣の原子とはかたい握手で結ばれていて、そうそうのことでは離れません。

さて、そんな状態でお隣さんが揺れ動き始めたらどうてしょうか?

ガチガチに握手してるのだから、おおいに隣の影響を受け自分も動き出してしまいます

つまり、熱運動が伝播しやすい、熱が伝わりやすいわけです。

4-2.結合と熱の伝わり方〜金属結合〜

4-2.結合と熱の伝わり方〜金属結合〜

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今度は金属の例を見ましょう。

金属原子は金属結合といって、原子が規則正しく並び、その周りを電子が自由に行き来出来るようなつながり方をしています。

金属の原子は+に帯電(金属イオン)。その合間を縫うようにある自由電子(-に帯電)に金属イオンがそれぞれ吸い寄せられるようにして、配列を保っています。

さて、ある原子が動いた時。それにつられて、周りの自由電子も動きます。自由電子は元いた原子の周りだけでなく隣の原子あるいはその隣にも行ける存在。行動範囲が広いのです。金属イオンが動くと、それに影響された自由電子が隣接する金属イオンにスムーズに運動を伝えます

すなわち、金属は熱運動が伝わりやすい→熱が伝わりやすいのです。

\次のページで「4-3.結合と熱の伝わり方〜プラスチックの場合〜」を解説!/

4-3.結合と熱の伝わり方〜プラスチックの場合〜

4-3.結合と熱の伝わり方〜プラスチックの場合〜

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プラスチックは細い繊維が何本も絡み合って形を成しているイメージです。例としてPE(ポリエチレン)を見ていきましょう。

ポロエチレンんはイラストに示すように、1本の繊維内はCとCやCとHの結合が繰り返すような形状。繊維と繊維間は特にこれといった結合をしていません。

*ここでは、PEの高分子1本のことを便宜上「繊維」と呼称。

さて、ある繊維のある原子が運動しているとします。その繊維内では隣のCあるいはHに結合を通じて運動が伝わりますが、隣の繊維はどうでしょうか?

繊維同士は直接手を繋いでいません。時々繊維同士が衝突する時に熱運動が伝達。そんな状態ですから、直接結合している場合に比べて熱運動が伝達されにくいすなわち、熱が伝わりにくいのです。

物質の構造と熱伝導

熱とは、物質を構成する原子の運動(熱運動)の激しさのこと。

熱伝導とは、熱運動が順次伝わっていく現象。

熱運動の伝わり方には物質の構造や結合状態が大きく関係しています。

隣の原子と強固につながる場合(共有結合など)では隣の原子に熱運動が伝わりやすく、結合が弱い場合は伝わりにくいです。

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化学

3分で簡単「熱伝導性」!物質内を熱が移動するこの現象について理系ライターがわかりやすく解説

今回のテーマは「熱伝導性」、物質内部を熱が伝わっていく現象。例えば、冷たい物と熱いものをくっつけておくと、どちらもぬるくなるでしょう?あれは熱い物から冷たい物に熱が移動するからなんです。

そういった「物質内の熱の移動」について理科教員を目指すR175と一緒に解説していきます。

ライター/R175

理科教員を目指すブロガー。前職で真空設備や高温設備を扱っていた。その経験を活かし、教科書の内容を実際の現象に照らし合わせて分かりやすく解説する。

1.熱伝導性とは

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熱伝導とは物質内を熱が伝わっていく性質です。身の回りで熱伝導性が関係している現象といえば、「お湯を入れたお茶碗が徐々に熱くなっていく」とか、「冷たいジュースが入った缶を長時間握っているとぬるくなる」といった現象。

熱い物と冷たい物が触れ合うと、熱は「熱い物A→冷たい物B」に移動し、最終的に同じ温度になろうとします。熱い物ほど物質内部の運動が激しく、それが(あまり運動が激しくない)冷たい物Bに伝わっていくというもの。

2.熱の定義

2.熱の定義

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そもそもなぜ物は熱くなるのか?熱の定義とは?

一言でいうと物質を構成している粒子(原子or分子)が不規則に揺れ動いているからです。原子が揺れ動いている状態を人間は「熱い」と認識するもの。原子が「パチパチ」当たってくると人間がそれを感じ「熱い」として認識(熱いと痛いは似ているかもしません)。そして、手で触れない範囲の温度範囲においても「熱」を定義していったのです。

さて水を例にとって、熱運動の様子を観察してみましょう。H2O分子ではHとOが近づいたり離れたり(振動)、回転したり、HとOの間の角度が変わったりします。こうやって不規則に揺れ動いている原子たちの運動エネルギー=熱エネルギーであり、運動が激しければ激しいほど「熱い」のです。このような運動を熱運動といいます。

原子が全く動かない時

ちなみに、こういった原子の運動が全くない状態がいわゆる絶対零度です。摂氏-273.15℃。原子が全く動かず、ぴたりと止まっている状態。物質はこれ以上低い温度になることはできません。

3.熱はどうやって伝わるのか

物質内での原子の運動の激しさ=熱です。激しく動いてる物の隣にほとんど動いていない物があったらどうなるでしょうか?

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