今回のテーマは「弾性力」。バネが伸び縮みした分だけ働く力だろ?その通り!

けど、弾性力っていうのはそれだけじゃない!例えば、「この弾力…」というグミのキャッチコピー。噛んだ時の食感、つまりグミの弾性力をPRしている。

実はバネだけじゃなく、あらゆる物体に弾性力が発生するのです。その本質を理系ライターR175と解説していくぞ!

ライター/eastflower

理科教員を目指すブロガー。前職でセラミックスの強度計算を行っていた。その経験を活かし、教科書の内容を実際の現象に照らし合わせ分かりやすく解説する。

1.「弾性力」とは

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「弾性力」とは、「弾力」という単語から連想されるように、物体に何かの力を加えたときに元に戻ろうとする力。身近なものだとスポンジやグミがイメージしやすいとでしょう。押すと元の形に戻ろうとして押し返され、引っ張ると引っ張り返されます。この「押し返す力」「引っ張り返す力」が弾性力です。

2.弾性力が働く物体〜弾性体〜

弾性力とは、物体に力をかけた時元に戻ろうとする力のことです。

力をかけると物体は変形しつつ、元に戻ろうとします

このような力が発生するのは、例えばどんな物があるでしょうか?

2-1.弾性体例題

2-1.弾性体例題

image by Study-Z編集部

次のうち弾性力が働く物体(弾性体)はどれ?(複数選択可)

ヒント:押したり引いたりしたら元に戻ろうとするもの。

A.バネ
B.ゴムひも
C.ゴムの板
D.鉄の板
E.氷
F.水

2-2.弾性体とは

先程の例題で弾性体だったA〜Eの共通点は何でしょうか?

ヒントは、敢えて最後に氷と水を出してきてるところ。

そう、A〜Eは固体です。固体は押したら押し戻され、引いたら引っ張り返されます。

実は、バネやゴムだけに限らず全ての固体に弾性力が発生するのです。

\次のページで「3.弾性力が発生するメカニズム」を解説!/

3.弾性力が発生するメカニズム

弾性力は物体が伸びたり縮んだりした時元に戻ろうとする力。

物体が変形して元に戻ろうとしている時、どのようなことが起こっているのでしょうか。

3-1.全ての固体はスポンジ?

3-1.全ての固体はスポンジ?

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まず、固体がどのような構造になっているか見ていきましょう。

+の電荷を持つ「原子核」の周りに、-の電荷を持つ「電子」が配列。所定の位置に存在し、液体や流体のように行ったり来たり出来ません。

スポンジのようなメッシュになっているイメージです。

+電荷同士や-電荷同士は反発し、+電荷と-電荷は引き合うもの。これらの斥力(互いに反発しあう力)や引力(互いに引気う力)が釣り合うようにバランスを保った配置になっています。

力が加わりそのバランスが崩れそうになると、当然元に戻ろうとする力(弾性力)が発生するのです。

もちろん全ての固体の原子がスポンジのような立方体の配置ではありません。三角錐状に配置していたり、六角錐状だったり色々。ですがここでは分かりやすいようにスポンジの形状を例に出しています。

いずれにせよ、原子と原子が何らかの結合をして並んでいるイメージは間違いありません。

形状が違っても、力を加えた時元に戻ろうとするメカニズムは同じなので気にしないでください。

3-2.スポンジに力をかけると

3-2.スポンジに力をかけると

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スポンジを押したら、押し戻され、引っ張っると引っ張り返されますよね?つまり元に戻ろうとしています。

少し押した時よりたくさん押した時の方が変形が大きくなり、返ってくる力も大きくなりますよね。変形が大きいほど元に戻る力も大きい。

変形をx、元に戻ろうとする力(弾性力)をFとしたら

F=kx(k定数)と表せるわけです。

いわゆるフックの法則。変形の大きさと元に戻る力は比例するというもの。

スポンジを変形させた時と同じようなことが原子レベルの小さい範囲で起こっています。

固体はものすごく細かいスポンジがいっぱい集まって出来ているとイメージしたください。

\次のページで「4.作用反作用の力も実は弾性力?」を解説!/

F=kxのxが何か分かりづらい

表題の通り、フックの法則を習って問題を解いた時こんな経験ありませんか?

F=kx

Fは重りの重さや外力の大きさなどから判明、kはバネ定数で大概与えられていますが、xってなんだろう。

バネが自然長10cmから12cmに伸びました。xには何を代入したらいいんだろうか。

フックの法則習いたての頃には起こりがちなこと。

けれど、この記事を読んで、「フックの法則=元の位置からのズレありき」と意識してもらえば上記のようなトラブルは起こりにくいのではないでしょうか。

4.作用反作用の力も実は弾性力?

4.作用反作用の力も実は弾性力?

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壁を押したら押し戻す力(反作用の力)が働きます。

これは弾性力でしょうか?

まず固体である壁を押したら必ず変形するもの。石であれレンガであれ、μmオーダーもしくはnmオーダーかもしれませんが、ちょっとは変形します。でなければ固体ではないですね。

変形した壁は元に戻ろうとします。それが押し戻す力、反作用の力ですね。

強く押せば押すほど、反作用の力も強い。これは強く押せば押すほど、壁の変形が大きいから、元に戻ろうとする力(反作用)も大きくなるからです。

反作用の正体も実は弾性力でした。

5.グミの弾力性とは?

冒頭に出てきたグミの「弾力」。

これは、噛んだ時にグミが変形して元に戻ろうとする力のこと。

噛んだ時の反発が大きいと歯ごたえが感じられる。そういった食感のことを指しているのです。

ちなみに、飴も噛んだら少しは変形し、元に戻ろうとしますので弾性力が働いています。

弾性力は全ての固体にはたらく

弾性力とは物が変形した時、元に戻ろうとする力。

変形が大きいほど弾性力は大きくなります(弾性力は変形量に比例)。

バネやゴムだけでなく、全ての固体は力がかかると変形し元に戻ろうとして、弾性力が発生するものと考えましょう。

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物理物理学・力学理科

バネ伸縮だけじゃない「弾性力」の正体を理系ライターがわかりやすく解説

今回のテーマは「弾性力」。バネが伸び縮みした分だけ働く力だろ?その通り!

けど、弾性力っていうのはそれだけじゃない!例えば、「この弾力…」というグミのキャッチコピー。噛んだ時の食感、つまりグミの弾性力をPRしている。

実はバネだけじゃなく、あらゆる物体に弾性力が発生するのです。その本質を理系ライターR175と解説していくぞ!

ライター/eastflower

理科教員を目指すブロガー。前職でセラミックスの強度計算を行っていた。その経験を活かし、教科書の内容を実際の現象に照らし合わせ分かりやすく解説する。

1.「弾性力」とは

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「弾性力」とは、「弾力」という単語から連想されるように、物体に何かの力を加えたときに元に戻ろうとする力。身近なものだとスポンジやグミがイメージしやすいとでしょう。押すと元の形に戻ろうとして押し返され、引っ張ると引っ張り返されます。この「押し返す力」「引っ張り返す力」が弾性力です。

2.弾性力が働く物体〜弾性体〜

弾性力とは、物体に力をかけた時元に戻ろうとする力のことです。

力をかけると物体は変形しつつ、元に戻ろうとします

このような力が発生するのは、例えばどんな物があるでしょうか?

2-1.弾性体例題

2-1.弾性体例題

image by Study-Z編集部

次のうち弾性力が働く物体(弾性体)はどれ?(複数選択可)

ヒント:押したり引いたりしたら元に戻ろうとするもの。

A.バネ
B.ゴムひも
C.ゴムの板
D.鉄の板
E.氷
F.水

2-2.弾性体とは

先程の例題で弾性体だったA〜Eの共通点は何でしょうか?

ヒントは、敢えて最後に氷と水を出してきてるところ。

そう、A〜Eは固体です。固体は押したら押し戻され、引いたら引っ張り返されます。

実は、バネやゴムだけに限らず全ての固体に弾性力が発生するのです。

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