今回のテーマは「応力ひずみ」。
勉強に集中出来ずついつい消しゴムをいじってしまうことがあるよな。押したり引っ張たりねじったり。いろいろな方向に力をかけ、色んな変形をさせるが手を離したら元通り。

消しゴムを変形させている時の消しゴムの負担を「応力」、消しゴムの変形度合いを「ひずみ」と思ってくれ。「応力ひずみ」は応力がかかって起きているひずみのことです。力学に詳しいライターR175と解説していきます。

ライター/R175

理科教員を目指すブロガー。前職でセラミックスの強度計算を行っていた。その経験を活かし、教科書の内容を実際の現象に照らし合わせ、分かりやすく解説する。

1.応力ひずみ

image by iStockphoto

物体(例えば消しゴム)に力を加えると、変形します。この時、物体内部にかかっている圧力が「応力」変形の度合いが「ひずみ」です。

弾性変形(力をかけるのをやめたら物体が元に戻る範囲の変形)の範囲では、応力とひずみは比例。比例定数はヤング率と呼び、式で表すと、

σ=E・ε

σ:応力[Pa]、E:ヤング率[Pa]、ε:ひずみ[-]

この関係も実はフックの法則

弾性力が変形量に比例するという、F(力)=k(ばね定数)・x(変形変位)の別の表し方です。

この記事では、応力、ひずみのそれぞれの概念と、フックの法則を応力とひずみの比例関係の式で表す意義について解説します。

2.応力とは

2.応力とは

image by Study-Z編集部

応力とは、物体内部に働く圧力のこと。単位は圧力と同じ[Pa]、物体の破壊に大きく関わるパラメータです。

例えばイラストの場合、棒にかかる力は1000Nで断面積が100mm2ですから、応力は1000N/100mm2=10N/mm2=10MPa。

応力を示すときはしばしばMPa(メガパスカル=10^6Pa)を使用するもの。

この棒をこの荷重で引っぱっても壊れないか?そういった強度計算をするとき、物体に内部に働く圧力=応力を計算することが多々あります。

では、なぜ力[N]ではなく応力[Pa]を用いるのでしょうか。

2-1.力[N]ではなく応力[Pa]で表す意義

2-1.力[N]ではなく応力[Pa]で表す意義

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物体の破壊には、「力」より「応力」が大きく関係します。力ではフェアな比較ができない場合があるからです。

例えばイラストのように、Aの棒Bの棒どちらも1000Nの力で引っ張っている場合。どちらが多く変形するでしょうか?長さは同じです。

棒にかかる力は、AもBも同じで1000N。

応力はAが1000N/10mm2=10MPa、Bは1000N/40mm2=2.5MPa。

同じ1000Nの力がかかっていても、Bより細いAの棒は応力が高くなり、よく伸びます。

このように、物体の変形を調べたい時は力ではなく「応力」で見ないとフェアな比較ができません。

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応力のイメージ

応力→単位はPa、固体内部の圧力。

ですが「応力=力をかけた時の負担」とイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか?

同じ力をかけても、細い物ほど負担は大きいもの。太い物にとっては平気でも細い物にとっては大変な負担。

それを反映するために断面積で割って、細い物ほど数字が大きく出るようにしたのが応力。

応力は英語で言うとstress(ストレス)。圧力というより負担とイメージした方が分かりやすいと思われます。

\次のページで「3.ひずみとは」を解説!/

3.ひずみとは

3.ひずみとは

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ひずみは物体の変形度合いの指標で、全長に対する変形量の割合です。

例えば、イラストの場合、棒の全長は1mで変形量は1wp_。このときひずみは0.01m/1m=0.01。1%です。

さてここで疑問。ばねの伸び縮みの計算のように、変形量という情報だけでよくなですか。なぜ全長に対する割合を出してくるのですか?

これも理由があります。フェアな比較ができないからです。

3-1.変形量ではなくひずみで表す意義

3-1.変形量ではなくひずみで表す意義

image by Study-Z編集部

今度は太さと材質がが同じで、長さの異なる棒を引っ張ることを想定しましょう。

Aは1m、Bは3m。どちらの方が伸び量が大きそうでしょうか?

分かりにくいので、Bを3等分して考えます。1mの棒(Aと同じ)が3本縦に並んでいるとしましょう。左端、中央、右端、すべてAと同じだけ伸びますね?

すると、合計の伸びはAの3倍。

長さが3倍のBは伸びる長さも3倍。全長に依存する変形量では、長さが異なる物同士で変形の度合いを比較できません。今回のケースでは、変形量が3倍だからといってBの方が変形の度合いが大きいわけではありませんね。

変形の度合いを表す時には、全長に対する変形量の割合である「ひずみ」を用いるのです。

ひずみのイメージ

ひずみ→どれだけ無理してるか?というイメージが分かりやすいと思います。

3mの棒が3wp_伸びより、1mの棒が3wp_伸びる方が無理してますよね?

同じ3wp_の伸びでも、長い棒はあまり無理せず伸びられるものの、短い棒は本気で無理しないと伸びられない。そんなイメージです。

4.フックの法則(応力-ひずみ編)

Stress-Strain Type V.png
By Meisam - 投稿者自身による作品 Based on: Arie Ram, Fundamentals of Polymer Engineering, Plenum Press, New York, 1997. ISBN 0-306-45726-1, Page 75., CC 表示-継承 3.0, Link

イラストのグラフをご覧下さい。

横軸→strain=ひずみ

縦軸→stress=応力

ある物体を変形させた時の応力とひずみの関係を表したグラフです。

物体への負担、つまり応力が大きければ大きいほど、変形の度合い(ひずみ)も大きくなります。

ひずみが小さい範囲では、応力とひずみは比例するもの。

比例定数はヤング率。物の丈夫さの指標です。

同じ負担(応力)をかけても、ヤング率Eの値が大きければあまりひずみません。

4-1.ひずみが大きい変形

Stress-Strain Type V.png
By Meisam - 投稿者自身による作品 Based on: Arie Ram, Fundamentals of Polymer Engineering, Plenum Press, New York, 1997. ISBN 0-306-45726-1, Page 75., CC 表示-継承 3.0, Link

ひずみが小さい範囲では応力と比例関係と書きましたが、ひずみが大きい変形ではどうなるのでしょうか?

例えば、ひずみが100%。元の全長に対し100%伸び、2倍の長さになったことになります。

物にもよりますが、おそらく壊れますよね?レンガや石が2倍の長さに伸びるとは思えません。

中には壊れない物もありますが、ここまで伸びきってしまうと元には戻らないでしょう。

一般にひずみが大きくなり過ぎると、応力は上がらないまま伸び続けるような挙動を示し、最終的に破断してしまいます。

\次のページで「負担と変形が比例」を解説!/

image by Study-Z編集部

フックの法則イメージ

ここでは応力→負担、ひずみ→無理している度合い、ヤング率→丈夫さと言い換えます。

フックの法則は負担が大きいほど物体が無理して変形しなければならないという意味。

ただし、ヤング率が高いすなわち丈夫な物体は負担が大きくてもあまり無理をしなくてよい。

物体に無理に変形させ過ぎると、負担は増えていないのにどんどん無理をしなければならず、最終的に壊れてしまう。そんなイメージです。

弾性力を表す式F=kxとの対応

弾性力と変形量を示すF=kxという式。それと応力とひずみの関係を示す式。実は同じ意味です。

F=kx、単位で書くとN=N/m ・m

両辺をm2で割ると、

N/m2=N/m2・m/m

これ実は応力とひずみの関係式の単位を表しています。

σ(N/m2)=E(N/m2)・ε(m/m)

負担と変形が比例

応力ではなくあえて負担と書きました。

力がかかってどれだけ大変なことになってるか→応力

それによって物体にどれだけ無理が生じてるか→ひずみ

両者が比例します。

比例関係が成り立つのはひずみが小さい範囲だけです。

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物理物理学・力学理科

ストレス5倍でひずみも5倍。物体にかかるストレス「応力ひずみ」について理系ライターがわかりやすく解説

3.ひずみとは

3.ひずみとは

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ひずみは物体の変形度合いの指標で、全長に対する変形量の割合です。

例えば、イラストの場合、棒の全長は1mで変形量は1wp_。このときひずみは0.01m/1m=0.01。1%です。

さてここで疑問。ばねの伸び縮みの計算のように、変形量という情報だけでよくなですか。なぜ全長に対する割合を出してくるのですか?

これも理由があります。フェアな比較ができないからです。

3-1.変形量ではなくひずみで表す意義

3-1.変形量ではなくひずみで表す意義

image by Study-Z編集部

今度は太さと材質がが同じで、長さの異なる棒を引っ張ることを想定しましょう。

Aは1m、Bは3m。どちらの方が伸び量が大きそうでしょうか?

分かりにくいので、Bを3等分して考えます。1mの棒(Aと同じ)が3本縦に並んでいるとしましょう。左端、中央、右端、すべてAと同じだけ伸びますね?

すると、合計の伸びはAの3倍。

長さが3倍のBは伸びる長さも3倍。全長に依存する変形量では、長さが異なる物同士で変形の度合いを比較できません。今回のケースでは、変形量が3倍だからといってBの方が変形の度合いが大きいわけではありませんね。

変形の度合いを表す時には、全長に対する変形量の割合である「ひずみ」を用いるのです。

ひずみのイメージ

ひずみ→どれだけ無理してるか?というイメージが分かりやすいと思います。

3mの棒が3wp_伸びより、1mの棒が3wp_伸びる方が無理してますよね?

同じ3wp_の伸びでも、長い棒はあまり無理せず伸びられるものの、短い棒は本気で無理しないと伸びられない。そんなイメージです。

4.フックの法則(応力-ひずみ編)

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By Meisam投稿者自身による作品 Based on: Arie Ram, Fundamentals of Polymer Engineering, Plenum Press, New York, 1997. ISBN 0-306-45726-1, Page 75., CC 表示-継承 3.0, Link

イラストのグラフをご覧下さい。

横軸→strain=ひずみ

縦軸→stress=応力

ある物体を変形させた時の応力とひずみの関係を表したグラフです。

物体への負担、つまり応力が大きければ大きいほど、変形の度合い(ひずみ)も大きくなります。

ひずみが小さい範囲では、応力とひずみは比例するもの。

比例定数はヤング率。物の丈夫さの指標です。

同じ負担(応力)をかけても、ヤング率Eの値が大きければあまりひずみません。

4-1.ひずみが大きい変形

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By Meisam投稿者自身による作品 Based on: Arie Ram, Fundamentals of Polymer Engineering, Plenum Press, New York, 1997. ISBN 0-306-45726-1, Page 75., CC 表示-継承 3.0, Link

ひずみが小さい範囲では応力と比例関係と書きましたが、ひずみが大きい変形ではどうなるのでしょうか?

例えば、ひずみが100%。元の全長に対し100%伸び、2倍の長さになったことになります。

物にもよりますが、おそらく壊れますよね?レンガや石が2倍の長さに伸びるとは思えません。

中には壊れない物もありますが、ここまで伸びきってしまうと元には戻らないでしょう。

一般にひずみが大きくなり過ぎると、応力は上がらないまま伸び続けるような挙動を示し、最終的に破断してしまいます。

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