簡単でわかりやすい「岡崎久彦」!著書や陸奥宗光との関係・集団的自衛権も歴史好きライターが詳しく解説
安倍内閣の有識者委員に就任
2007(平成19)年発足の第1次安倍晋三内閣は、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置しました。会はひとまず中断しますが、2012(平成24)年に第2次安倍内閣が成立すると、懇親会も再開。岡崎久彦は、発足時から有識者委員として参加しています。
2014(平成26)年、懇談会の提言を受けた第2次安倍内閣は、憲法解釈を変更することで集団的自衛権の行使容認を閣議決定しました。「行使する以外に適当な手段がない」など、3つの要件を満たした場合に限り、集団的自衛権を行使できるとしたのです。2015(平成27)年に安全保障関連法が成立し、集団的自衛権の行使が可能になりました。
きっかけはイラン・イラク戦争
第2次安倍内閣が集団的自衛権容認を閣議決定した直後、岡崎久彦はインタビューに答えています。1980(昭和55)年当時、岡崎は防衛庁に出向して国際関係を担当していました。その時、イラン・イラク戦争に臨むアメリカ軍と仕事していましたが、肩身が狭かった様子がインタビューからうかがえます。日本が憲法上、戦争に加勢できなかったからです。
攻撃に加わるのはともかく、日本はパトロールにも参加できませんでした。そのことを歯痒く思った岡崎が、集団的自衛権を安倍内閣に提言したであろうことは、想像に難くありません。もちろん、岡崎1人の力で閣議決定させたわけではありませんが、少なからず閣議決定に影響を与えたでしょう。
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集団的自衛権は何が問題?
集団的自衛権で最も懸念されているのは、戦争に巻き込まれる可能性が高くなることでしょう。確かに、3つの要件が揃わないと集団的自衛権は行使されないことになっています。行使されたとしても、直接戦闘に加わるわけではありません。しかし、自衛隊が戦地に赴く限りは、そのようなリスクは避けられないでしょう。
さらに、集団的自衛権の閣議決定が憲法違反だとする意見もあります。それは、集団的自衛権の行使が憲法第9条の趣旨に反しているというものだけではありません。憲法の解釈変更は憲法改正に等しく、正しいプロセスを踏まなければ憲法違反であると指摘する意見もあるのです。
岡崎久彦は自らの体験が元で集団的自衛権を提言した
岡崎久彦は外交官としてだけでなく、作家や外交評論家としても活躍しました。祖父が岡崎邦輔、そのいとこが陸奥宗光という有能な政治家だったと聞けば、そのマルチな活躍にも納得できるでしょう。そんな岡崎久彦は、自らの経験が元で集団的自衛権を安倍内閣に提言したと考えられます。しかし、集団的自衛権の行使が憲法違反だとする意見は、今も少なくありません。